表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/28

20

倉庫の最奥にある一室。

薄暗い照明の下、麗華――大堂の姿となった彼女は壁際へ追い詰められていた。

赤羽はゆっくりと歩み寄る。


「あらぁ……」


妖しく微笑みながら、麗華の前髪を指先でそっとかき上げる。


「そんなに怯えちゃって」


麗華は思わず身を強張らせた。


(怖い……)


逃げようにも、後ろは壁。

赤羽は楽しむように麗華の顔を覗き込む。

その時だった。

赤羽の視線が、麗華の左耳につけたイヤホンに止まる。


「あら?」


細く目を細める。


「…なるほどね」


イヤホンから桐谷の焦った声が漏れる。


『おい!聞こえるか!…大丈夫か!?』


赤羽は口元をゆがめると、イヤホンを乱暴に取り外した。


「大丈夫なわけないでしょーが♡」


そう言って床へ放り投げる。

次の瞬間。


バキっ!!!!


赤羽は靴底でイヤホンを踏み砕いた。

雑音が走り、通信は途絶える。


「なんだか最初から違和感があったのよねぇ」


赤羽は腕を組み、麗華をじっと見つめる。


「大堂」


血走った瞳が細くなる。


「あんた……本当に大堂?」


麗華の心臓が大きく跳ねた。

だが、必死に平静を装う。


「ああ」


低い声を意識して答える。


「何、おかしなこと言ってるんだ」


赤羽から視線を逸らさず続ける。


「どう見ても、俺だろう」


赤羽はしばらく黙っていたが、やがて肩をすくめた。


「あっそ」


そう言うと、不意に麗華の肩を強くつかむ。


「きゃっ!」


思わずお嬢様らしい悲鳴が漏れる。

部屋に一瞬の静寂が流れた。

赤羽の口元がゆっくりとつり上がる。


「あははははっ!」


腹を抱えて笑い出す。


「大堂はそんな悲鳴、絶対に上げないわよぉ♡」


赤羽の瞳から笑みが消えた。


「……あんた、だあれ?」


麗華は言葉を失う。

その瞬間――。


バン!!!!!

部屋の扉が勢いよく開いた。


「お嬢様!」


黒崎だった。


赤羽が振り向くより早く、黒崎は一気に間合いを詰める。

鋭く踏み込み、迷いのない拳を振り抜いた。


「くっ!!!」


赤羽の身体が大きくのけぞり、床へ吹き飛ばされる。


「黒崎!」


麗華の瞳に、安堵の涙が浮かんだ。

黒崎は麗華をかばうように前へ立ち、倒れた赤羽を冷たい眼差しで見据えた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ