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熊田は黒猫を抱く大堂を見つめ、不思議そうに首をかしげた。
「一つ聞いてもいいですか?」
「何だ」
「仲間がここにくるよう、どうやって伝えたんですか?」
大堂は黒猫の背中を優しく撫でながら、小さく笑う。
「車でお嬢さんの執事と移動してる時、お嬢さんの親から電話がかかってきた」
熊田は「はぁ」と頷く。
「その時、黒崎のスマホから組の連中へメッセージを送ったんだ」
「メッセージ?」
「ああ」
大堂は静かに続ける。
「『赤いリボンをつけた黒い猫を見つけたら保護しろ。俺たちの車を追い、俺がいなかったらその黒猫を可愛らしいお嬢さんのところまで届けろ』ってな。」
熊田は目を見開く。
「それで……!」
「この黒猫は赤羽が可愛がってる飼い猫だ、ずっと探してたんだがよくやく見つかった。
これで奴と和解できるはずだ」
大堂は腕の中の黒猫へ視線を落とす。
熊田は感心したように息を吐く。
「さすが……若頭」
その時、赤羽組の構成員たちが再び距離を詰め始めた。
「おい!お前!その猫を返せ!」
「その猫は赤羽さんの飼い猫、ルビーちゃんだぞ!わかってんのか!?」
大堂は赤羽組の男たちを鋭く睨みつける。
「あなたたち…」
可愛らしくも低い声が倉庫前に響く。
「私たちに手を出せば……」
腕の中の黒猫を少しだけ持ち上げる。
「この猫が傷つくことになりますわよ?」
男たちの表情が一変した。
「なっ……!なにを…!」
大堂は口元に不敵な笑みを浮かべる。
「こいつに何かあれば、お前らがどうなるか分かるよな?」
静まり返る赤羽組の構成員たち。
「赤羽による……」
大堂はわざと間を置いて言った。
「きつーい、お仕置きが待ってるぞ」
その言葉に、男たちは思わず顔を見合わせる。
赤羽の恐ろしさを誰よりも知っているからこそ、その脅しは十分すぎるほど効果があった。
大堂は静かに命じる。
「分かったら、そこで待機してろ」
誰一人として動けない。
倉庫前は、不気味な静寂に包まれた。




