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「それじゃあ、大堂ちゃん」


赤羽は麗華の首から手を離すことなく、不敵な笑みを浮かべた。


「あたしと一緒に来てもらうわよぉ♡」


「っ……!」


麗華は抵抗しようとするが、赤羽の力は想像以上に強い。

腕を強引につかまれ、そのまま部屋の外へ連れ出されてしまう。


「赤羽!!!!」


桐谷が立ち上がる。


「どこへ行くつもりだ!」


部屋を出て追いかけようとした、その時。


「桐谷!」


大堂の姿をした麗華が鋭く叫んだ。

桐谷の足が止まる。


「追うな」


麗華は傷だらけの新垣へ視線を向ける。


「それより新垣を頼む」


「だが……!」


「今は仲間を優先しろ」


短く、それでいて迷いのない言葉だった。

桐谷は拳を強く握り締める。

歯を食いしばりながら、ゆっくりとうなずいた。


「……分かった」


そして再び新垣のもとへ駆け寄る。


「新垣!しっかりしろ!」


その様子を横目に、赤羽は満足そうに笑った。





エレベーターが一階に到着する。

赤羽は麗華の腕をつかんだまま、ビルの外へ出た。

夜風が二人の間を吹き抜ける。

赤羽は辺りを見回しながら首をかしげる。


「あらぁ……車はどこかしら?」


その時だった。

少し離れた場所に停められた黒い車が目に入る。

運転席には熊田が座っている。

赤羽は妖しく微笑んだ。


「見つけたわ♡」


そのまま麗華を引っ張り、熊田の車へ歩いていく。


「なっ……赤羽!?」


熊田が驚いてドアを開けようとした瞬間、赤羽は素早く後部座席へ麗華を押し込み、自分も隣へ乗り込んだ。

赤羽はジャケットの内側から拳銃を取り出し、熊田の後頭部へ静かに突きつける。


「変な真似はしないこと」


甘い口調とは裏腹に、その声は氷のように冷たい。


「この近くにあたしの倉庫があるの」


赤羽は麗華を見つめ、妖しく微笑む。


「そこで、ゆっくりお話ししましょう♡」


熊田は悔しそうに奥歯を噛み締めた。


「……くそっ」


「ほら、早く発進」


銃口がわずかに押しつけられる。

熊田は静かにエンジンをかけた。

車は夜の街へ走り出していく。

その直後だった。


一台の黒い高級セダンがビルの前へ滑り込む。

急ブレーキとともに停車すると、運転席の黒崎が鋭く前方を見据えた。


「……いた」


後部座席の大堂も前方を凝視する。

走り去る車の後部座席。


そこには、自分の身体――麗華の姿が見えた。


「赤羽……!」


大堂の拳に力が入る。

黒崎は何も言わずアクセルを踏み込んだ。

エンジンが唸りを上げ、黒崎の車は前方の車を追うように勢いよく走り出す。



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