表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

春一番の男の娘!!

1:




 うーむ、まだヒゲは生えていないようだ。




「はい、あーん」


「……自分で食えるから」


「やだ! ボクがやる!」




 自分で食べたほうが早いんだけど、滉介が箸に白米を乗っけて突き出してきた。


 もぐもぐと俺は口に運ばれた白米を食べる。




「どう? おいしい?」


「フツーだろ」




 ぶっちゃけ、お米のおいしさってどれもたいして違いはないよな? 俺の舌がそこまで敏感じゃないのかもしれないが。




「ボクが食べさせているのに!」




 滉介にもらっても、白米は白米だ。俺にはコメの味の違いが判らない。




「フツーだよ」


「もー、ユースケはガサツだなあ」


「ああもう、自分で食うから!」




 俺は滉介から茶碗と箸を奪い取る。すると、箸先に残っていた米粒が俺の頬にくっついた。




「あ!」




 滉介が身を乗り出して顔を近づけて、




 ――ちゅ!




 俺の頬に付いた米粒を自分の口で拭き取るように食べた。




「おいぃ! そういう事するな!」


「そーいう事ってなーに?」




 にまにまと笑う滉介。




「こういう事だよ!」


「こういう事ってなーに?」




 くっそう。からかってやがる……。




 だけど決して口には出さないぞ。明確な単語にしたら、事実になる。既成事実。そうさせてかまるか。




「今日も仲が良いわね。よしよし」


「母さん!」




 台所から母さんもからかってきて、つい声を荒げる。




「ふっふっふー。ふうん」




 横に伸びた唇を手で押さえて、滉介がまじまじと俺の顔を見てくる。




 べつに顔が赤くなったわけじゃない。今日は暖かいからだ。絶対にそうだ。


 俺は自分の頭の中をごまかすように、朝食に男らしくがっついた。




 対面にいる俺の妹たち。双子の妹の翔子と響子が「今日もにーちゃんたち仲良しだね」「そーだね」と頷きあっている。




 まだ五歳の妹たち。この子たちも入学式を終えていて。今日から小学校の初日、始業式だった。俺の双子の妹たちは、見た目に差が無くて、瓜二つな双子であるために、困ったことがある。




 幼いため『自分たちの名前がどっちなのか? 時々分からなくなってしまう』のだ。




 まあ、クラスが離れる分、幼稚園の時とは違って、これからは自分たちの名前がどちらかなんて、間違えることは無くなるだろう。




「ごちそうさんっと」


「おっし! じゃあガッコにいこう! ユースケ!」


「おう」




 滉介は俺と話しているのに、語尾に必ずと言っていいほど俺の名前を言う癖がある。




 何故かは知らない。


 俺は椅子から立ち上がって、ブレザーのネクタイの位置を締め直す。




「んじゃ母さん行ってくるよ」


「いってらっしゃーい」


「ボクも行ってきまーす!」


「はい、いってらっしゃい」




 温厚な母が俺たち二人を見て、微笑ましいと言わんばかりの笑顔で、俺たちを見送ってくれた。今日も朝ご飯は美味しかったよありがとう。と日々の母に感謝。




 玄関に置いた学生リュックを背負って革靴を履き、日差しが眩しい外へと出た。


 


「わー、良い天気だねえ!」




 朝から忙しい……空を見上げながらはしゃぐ滉介。俺のちょっと先を歩いてくるりと回る。




「わーい!」




 川沿いにある桜並木の通学路。中等部でもここを歩いた。




 今度は高校生として、その道を歩く。うんまあ、特に何も変わり映えがしたわけでもない。思うところも何もなし。




 高等部、高校生活か。まあ中等部からのエスカレーター式の俺たちの学園では、少々新入生がやってくる程度で、生徒が変わらない。




 そう考えると、高等部にあがっただけで、ただそれだけって感じなんだよな。




「ちょっと暑いかな?」




 生地の厚いブレザー、胸元をはたく。中に来ていたTシャツが少しばかり湿ってきた。




 着ていたら暑いけど、脱いだら寒いって事があるよなあ。今まさにそんな状態だ。




「そうかな? ちょうど良いくらいじゃない?」




 お前はミニスカートだからだろうなと思いつつ、そっと滉介の短く調節したスカートを見る。




 ――と。




 ふわっさぁー




「おわ!」




 春一番の風が吹いて、滉介のスカートがふわりと持ち上がった。


 慌ててスカートの前と後ろを手で押さえる滉介。




 そして、滉介は半眼になってこっちを睨んだ?




 やばい。これはやばい。




 俺はきつく目を閉じて、顔を横に振った。




「見えた?」


「いいや、見えてない」


「その顔は見たんだね」


「見てない見えてない、断じて見えてない」


「ユースケ……」


「見てねーよ」


「むう、ふんだ!」




 くそう滉介のやつ、下着も女性用の純白のショーツを履いてやがった。




 小学三年生。八か九歳ぐらいの時からもう七年。どんどん『男の娘』として磨きがかかっていた。




 もう、どー見ても活発でボーイッシュな感じの女子だ。




 男なんだがなあ……。




 もう完璧な『男の娘』だ。




 俺は桜並木と川の間の一本道、ちょうど『シカ注意!』の看板標識を素通りして、もう何度目かの実感をした。




 滉介は、確かに可愛い男の娘だ。と――




2:




「シカだー!」




 俺たちが学園の校門に到着したとき、誰かが叫んだ。




 名門私立、知理芥川学園。中高一貫で大学付属。中学から大学までエスカレーター式のエリート校だ。




 誰が叫んだかはわからないが、ソイツは確かにそこにいた。




「シカよ! シカ・ファイトが始まるわ!」


「シカ・ファイト! 略して知理芥川学園のSF!」


「誰か! 誰か鹿を倒せるファイターはいないのか!」


「この中に鹿と戦える人はいませんかー!」




 生徒たちがさっそく騒ぎ始めていた。騒いでる生徒たちは、シカ・ファイトに絶対に出ない姿勢をしている。まあ常識的に考えて、鹿と戦うなんて非日常なんだろうなとも思っているけどさ、現実はこうである。少なくとも俺たちの中ではね。




 学園の出入り口。校門に、雄々しい角を冠した大きな鹿が堂々と立っていた。ふうむ、風格からして並みじゃないな。




 ところで、何でここに鹿がいるかというと。




「初日から鹿かー」


「今回のは大きめだね」




 俺たちには、それほど驚くことではなかった。




 ここから少し離れたところに、山々が連なっており、『鹿山』からしょっちゅう鹿が降りてくるのだ。




 だがしかし、この地域の狩猟会は鹿を殺す事、駆除することを禁じられている。よって人里に降りてきた鹿は、一般人にはどうしようもない状態になるのだった。




 手段は逃げるの一手しかない。




 ……そう一般人ならね。ただしシカ・ファイターはそれに限らない。




「ボク、行ってくる!」


「おう、頑張ってこい!」




 滉介が飛び出し、校門にいる大きなシカと対峙した。




 俺は特に滉介が鹿と戦って、酷い目にあうなんて一片も思わない。




 なぜなら、滉介は中等部からの生粋の、シカ・ファイターなのだから。




 即座に滉介を対戦相手と判断した鹿。蹄でアスファルトを削り威嚇し始めた。




「よし! 来い! ぼくが倒してやる!」




 鹿が滉介に向かってかっ飛び出した。一般人なら車に激突するほどの勢い。


 だがそれを滉介は。




「ていやぁ!」




 鹿と激突する直前に、手を伸ばし、鹿の角の根元がっしり掴んだ。




 ずささささささ――




 鹿の勢いが止まらず、後退していく滉介は革靴の底を滑らせながらも、姿勢を保っている。




 俺はこの時点で、『勝ったな』と思った。




「おおおお! うりゃ!」




 鹿の突進の勢いが緩んだ瞬間に、滉介が鹿の下顎に膝蹴りをぶち込んだ。




 バギッ! ボギッ!




 鹿の大角が根元から両方折れた。




 角を失い、下あごに強烈な打撃を受けた鹿は、きゅう……と鳴いてその場に倒れ込んだ。……ひくひくと痙攣し、再び立ち上がる様子は見えない。




 鹿よ。野に帰れ。




「よっしゃー! 今回もボクの勝ち!」




 ブイサインを高らかに揚げて、勝利宣言をした。もうお前は立派なシカ・ファイターだよ。滉介。




 周囲からも、見事な一撃だったと拍手と称賛の声が上がった。


 倒された鹿は、そのまま狩猟会によって運ばれ、山に返される事になる。




 この知理芥川学園の名物。S・Fシカ・ファイト




 それは終わりなき、鹿と人間との果てしないバトルだった。




「ねえねえユースケ。この折った角売れるかな?」


「狩猟会が黙ってないからやめときなさい」




3:




 始業式と生徒会長の亜国神司先輩の訓辞も終わり、高等部の新しい教室へ。


 俺たちはまた同じクラスだった。




 滉介とは小学一年から六年まで同じクラス。この学校に進学して中等部でも三年間同じクラス。そしてどうやら高等部も同じクラスになるらしい。




 ちらりと聞いた情報では、俺はどうやら教師陣から滉介とワンセット扱いにされているらしい。滉介に何かしらトラブルが起きた時のために、俺が要るんだと。そういった感じで中等部はずっと同じクラスだった。そして高校生になっても俺はそういった役割に充てられているらしい。




 だからと言って、滉介が問題児というわけではない。




 この学園は制服の指定で女子にも希望があればズボンの制服も選べる。そしてその逆のパターンもアリだったらしい。今は校則上も性別に縛られず選べる。 




 そんな時代だ。




 この学園は一応エリート校というやつだが、意外と寛容らしい。


 男子が女子の制服を選んでも問題ないのだ。




 中等部の時は『滉介ファンクラブ設立大戦』の事件から。俺は滉介の金魚の糞とまで名声が落ちたこともあったが、それを口にすると滉介が怒りだすのでNGワードとなった。




 俺は新しい教室で新しく買った小説、神永学の心霊探偵八雲シリーズを読んでいる。それに対して滉介は人当りも良く、クラスの男子たちと会話して遊んでいる。




 ――何の変哲もなく、平和だ。




 だが、中等部からの繰り上がりなので、この学校全体規模で滉介が男の娘だという事を、みんな知ってるんだよなあ……。




 新しい転入生でもない限り、滉介が男だとはきっとわからないだろう。




 ちなみに女子たちの反応も特に滉介について悪い印象は持って、いないはずがないんだよなあ……。




 この学園の女子の7割が、髪はロングで後頭部あたりで輪ゴムでひとくくり、スカートはひざ下まで、ついでに野暮ったい眼鏡。そしてなぜか前髪だけは気にする。




 いわゆる地味系女子の量産型ばかりである。そして何故かコミックマーケット……コミケの参加率も同じ7割。




 何で同じ割合の七割なのかは、察して欲しい。




 男の娘である滉介に、『腐』の感情が起こらないわけがない。




 そう、『腐』の感情である。




 心の奥底では、滉介の同人誌があったりしてないだろうなと懸念している。




 そんな俺は、やっぱり滉介の陰の部分に立っているのだなと実感する。だがそれも悪くはない。ぶっちゃけた話、滉介がいつも輝いて笑っているところを観るのは、悪い事でもない。




 そんな俺たちの関係は、産まれたころから始まり、そんなこんなで今に当たる。




 こんな脚光を浴びることのない人生になるかもしれなくても、俺は滉介が泣き顔になるよりかは、はるかにましだと思っていた。




「つくづく、平和だなあ」




よく晴れた春の空は、そんな俺にも等しく優しい日差しと、柔らかい風を送ってくれていた。




4:




 昼休み。




「ユースケ! ご飯食べよ! どこにする?」


「うん? じゃあ屋上行ってみるか」




 俺もカバンから弁当箱を取り出して席を立った。


 教室から出て廊下を歩いていると。




 ゲシッ!




 目の前を女子の長い脚で塞がれた。




「なんだ?」


「おうおう、天下の往来でお熱いねえ」




 なんだこの女?




「こんなところに押し込まれて鬱憤が貯まり続けてるんだ。そしたらちょうど、イジれそうなお前らを見つけたわけよ」




 滑らかな亜麻色のロングヘアー。背もそれなりに高くニヒルな顔つき。


 口にはたばこ? じゃないな、棒付きの飴を咥えている。




 見たことが無い女子だな。




「あー、高等部からの転入生か、お前」


「おうよ、どいつもこいつも地味で大人しくて、さすがエリート校だよなって感じだな」




「ンでお名前は? 俺は羅生門游介」




「来栖川早智くるすがわさち。そっちのお前の彼女は?」




「は?」


 何言ってんだこいつ?




「ああそうか、お前転入だから知らないのか」




「なにがだよ」




「こいつ、斜陽滉介。女子のブレザーとスカートを着てるけど男だ」


「は?」




「聞き返されてもそれ以上も以下もない」




「どう見てもお前らカップルじゃねえか! 恋人同士しか見えねえよ!」




「あー……」




 やっぱりそういう反応なのね。外部からの視点では俺たちはそう見えるわけか。


 だが滉介は男だ。




 ……あれ?




「滉介、どうした?」




 パソコンがフリーズでもしたかのように、滉介が無表情で固まっていた。


 すると、




 ぼんっ!




 頭の中で爆発したかのように一気に滉介の顔が真っ赤になった。さらには真っ赤になったかを両手で隠しながら、滉介はその場でしゃがんでしまった。




 来栖川早智がにやにやと笑みを浮かべている。




「なんだよ、カップルって聞いて急に照れだしたのか? 可愛いじゃねえか。イジリ甲斐がありそうだなあ」




 滉介を困らせることは俺が許さん。さすがにこれ以上は看過できんぞ、お前。




「ねえユースケ」


「うん?」


「ボク達って、恋人同士に見えるの?」




 しゃがんだ状態で、顔が赤いまま瞳を潤ませて、上目づかいで聞いてくる。




 え?なんだ? だんだん顔が熱くなってくる。




 まるで同意を懇願する子犬のように見上げてくる滉介。




 その表情に胸がどきどきしてきた。




 ――こんなの反則だろ!




 なんだこの状況は。




 まるで俺の庇護欲が試されてるみたいだ。




 顔が、顔が熱い。




 ――いやいやちょっと待て。




 滉介はずっと一緒に生きてきた間柄だ。


 冷静になれ俺。




「ユースケ、実はボクのことが嫌いだったとかしない?」


「そんなこよねーよ!」




 冷静になろうとしてからの追撃。これは手ごわい。




 ――な、何か言わなければ!




「お前とは……小さい頃からの、親友。そう、親友だよ」


「親友なだけなの?」




 だからそんな顔して見上げてくるな!




 ――なにか、なにかないのか? もっと他に。




「そ、そうだな。あえて言うなら。……弟? みたいなものかな?」


「……ユースケ、お兄ちゃん?」




 ――しまったああああ!




 俺は答えを間違えてしまった。




 妹たちから言われる「お兄いたん」とは違う。なんだこの感覚は? お兄ちゃんと滉介に呼ばれただけで、言い表せない感情がわいてくる。くそう、自分から言ったくせに、滉介に「お兄ちゃん」と呼ばれることに激しく動揺される。




「游介お兄ちゃーん!」


「やめろ抱き着くな! 頬ずりするな!」


「えへへ。お兄ちゃん!」




 滉介は一人っ子である。ゆえにうちの双子の妹たちを可愛がっていた。




 だからこそだろう。「兄弟みたいな関係」に、滉介の琴線に触れて喜ばせてしまったようだ!




 くそう。こんな滉介だかこそ、強く当たれない。


 されるがままにされるしかない。




 それを見ていた来栖川早智は。




「お前ら……」




 とても苦々しい表情をしてこう言ってきた。




「堂々とイチャイチャしてんじゃねーよ……」




「してねえよ!」


「説得力がねえわ……」




 引くな引くな。出会って早々だが、そんな引いた表情でこっちを見るな!




「っていうか、マジで男なの? その滉介ってやつ」




 やっと滉介が離れてくれて、着崩れたブレザーを整える。




「うん、そーだよ。ボクは男の娘おとこのこだよ」


「男の子、ねえ……」




 滉介に近づいてまじまじと見てくる来栖川早智。




 そして。




「てい」 


「うひゃあ!」




 来栖川早智が突然に滉介の胸に手を当てた。




「あ、無い」




 そりゃそうだ。




 だが滉介は、触られた胸を両手で隠して抗議する。




「いきなり何するんだー!」




「んで? こっちは? っと」




 来栖川早智がしゃがんだと同時に。




 ぺらり。




 滉介のスカートをつまむとそのままめくりだした。




「わ! わわ! わああああ!」




 びっくりした滉介が慌ててスカートに手を押さえて隠す。




「……あった。わ」




 今度は来栖川早智の顔が真っ赤になっていた。




「可愛いのを履いてるのに。あった……」




 そらそうだ! 




「何やってんだお前!」




 俺が怒鳴っても、来栖川早智は自分でやっておいて顔を真っ赤にしながらフリーズしていた。




「だから男だって言ってるだろ!」




 滉介の方も、片手で胸を押さえつつ、もう片方の手でスカートを押さえてガードしながら、顔を真っ赤にしている。




 俺も火照った顔が戻らない。


 来栖川早智も顔が真っ赤だ。




 え? これどういう状況?




 三者三様で固まる俺たち。




「や、その。……すまん」




 しどろもどろな口調になっている来栖川早智。




 これ、どう収集つければいいんだよ!




5:




「いやあすまん! ほんっとごめん!」


「何してくれてんだよ本当に……」




 来栖川早智は顔の前でパンッ! と両手を叩くようにして謝ってきた。




 今俺たちは屋上にいる。昼飯の弁当を持ちながら。




 滉介はまだ顔が赤いままで黙したままだった。




「だってさ、確認する方法って、こうするしかなかったわけじゃん? マジでごめん」




 はぁあああああ……と俺は額に手を当てて重たい溜息をついた。




「まあ、これで私たちは正式にダチってことで! 誰にも言わないからさ!」


「は? 何を言ってるんだ?」


「いいじゃねえか、転入してきたばかりでまだダチがいないんだからよ」


「そこじゃねえ。誰にも言わないって何をだ?」


「え? 滉介が女装してるって秘密なんじゃないの?」


「この学園も全生徒たちも公認だけど?」




「マジかよ! この学園どうなってんだ!」




「確かにそこは何とも言えないな!」




 正直なところ、滉介が男の娘だということに、教員からも学園長すらも何も言ってきてはいない。




 一応、謎ではある。




「くすん、まだユースケにもちゃんと見せてなかったのにぃ」




「いや下着って普通見せるものじゃないだろ」




 そして昼食が始まる。




 滉介は。


 1:きんちゃく袋から弁当を取り出す。


 2:弁当の蓋をあける。


 3:箸を持つ。


 4:まずはタコさんウインナーを箸でつまむ。


 5:「はい、ユースケ。あーん」




「何でそうなる! 自分の弁当だろうに!」




「ユースケにご飯をあげるのは僕の役目だもん」


「だからなんでだ!」




 俺たちのやり取りを見ていた来栖川早智が、にやにやとこちらを眺めていた。




「何見てるんだよ?」




「いやあなんか、普通の男女カップルだとイラつくけど、こういう『設定』ってだと思うとなかなか面白いな」




「設定って言うな!」




「ユースケ! あーん!」




 俺は仕方がなく滉介の差し出したタコさんウィンナーを口に入れた。




「まったくもう……ちゃんと噛んで食べるんだよ」




 まったくもうと思うのはこっちの方なんだが。




 来栖川早智も弁当を持参していた。なかなか大きな弁当箱で弁当の範囲では十分豪華だった。




 そしたら、来栖川早智がそういえばと思い出したように口を開いた。




「ところでお前ら、他にダチはいないのか?」




 学生で昼食と言ったら、複数人のグループでつるんで、談笑しながらするものだ。




 ――だが俺は。俺と滉介が一緒にいる時は……。




「別にいいだろ。お前には関係ない」


「なんかワケありか? まあ初手から詮索はしないけど」




「そうしてくれると助かる」


 あの忌々しい出来事は。今になってもまだ許されていないようだからな。 




6:




 食後は一時滉介と分かれることになった。


『ちょっと来栖川さんに用があるから』




 というわけで、一人になった。




 ちょうど図書館に顔を出そうと思っていたし、まあいいかなと足を運ぶことにした。




「…………」




 廊下を歩いていると、男子女子がたむろして和気藹々と談笑をしていた。


 しかし、俺を見るなり、その陽気な顔が渋い顔つきとなった。




「…………」




 視線が集中していて息苦しい。だけど歩みを止めず。その男子グループ女子グループの中を通り過ぎて行く。




 はぁ……。と、ため息が出る。




 すると、男子の一団が俺の目の前に立ちふさがった。




「やあ、相変わらずボッチの羅生門君」


「鮭田九王しゃけだ くおう……」


「心気臭い顔だなあ、まだ高校初日じゃないか」


「何の用だ?」


「おいおい、ただ単に挨拶しただけじゃないか。そんなに気構えるなよ。ボッチ君」




 鮭田九王。因縁浅からぬ相手。度の厚い眼鏡をかけ、背が高くもずんぐりとした体形の、嫌らしいニヤつきをした男。




「高等部に上がって、新しい友達はもうできたのかな?」




 内心で舌打ちをする。ただし表情には出さない。こういう手合いは下目に見ている相手のリアクションに喜ぶ人種だ。




「できないよねえ……君には。だって中等部からボッチだもんねえ」


「…………」




 コイツは、中等部の時に『滉介ちゃんくんさんファンクラブ』を設立しようとした主犯だ。コイツ主導の元、滉介にファンクラブが創られそうになったのを、俺が一人でその計画を破綻させた。




 そのために、その後ファンクラブ設立賛成派から敵視され、外側から期待していた外野と野次馬から総スカンに合い、仲の良かった友人も離れて行った。




 ファンクラブの設立の阻止と引き換えに……いや、その罪状と共に俺は孤立することになった。




「残念でしたー羅生門ボッチ君! 高等部でも君と友達になりたい人は誰もいませーん! 高等部3年間も、ボッチ確定でーす! あっははははははは」




 取り巻き立ちも、してやったりとばかりに笑いだす。




 ――くっそ、胸糞悪い。




 だがここでまともに相手をしてはいけない。そういう俺の悔しがる様子を出そうとして楽しんでいるのだから。




 俺は無表情のまま、鮭田たちの男子グループの横を通り過ぎた。




「これで終わりと思うなよ! 羅生門ボッチ君! 君に友達は一生できないんだからさぁ!」




 背後から鮭田の高笑い。




「君はこれからも、楽しみを分かち合える素敵な友達は、一生できないんだよおおおおお! 身の程を知れぇ!」




 あー、無視無視。反応するな。


 平常心を保て。俺。




 鮭田のまるで周囲に言い聞かせるような大声の中傷。余計に他の生徒から注目を浴びるようになってしまった。




 早く立ち去りたい。




 俺は一歩一歩確実に踏みしめるように、この湧き出る嫌気を押さえながら立ち去った。






 そうして、俺は図書館にたどり着いた。


 図書室ではなく『図書館』である。




 この建物は中等部も高等部も関係なく、門が開いてあり、大量の本が蓄積されている。




「よう」


 俺はその相手に挨拶をしつつ、さっきまでの嫌気を振り払った。


「あ、こんにちは」




 図書委員の立花志保さん。小柄でショートカットの可愛らしい女子。癖っ毛でまるでウェーブがかかった髪型は良く似合っている。




 俺はここに来るときはいつも一人の時だ。




「お互いに高等部進学おめでとう」


「おめでとうございます」




 社交辞令でも、ぺこりと頭を下げて返してくれる。




 図書館の入口の貸出カウンターに座っている彼女は、誰にでもこのような感じで接する。控えめな女子だ。




 ――やっぱ癒されるな。


 正直な感想。




 友人だった男子とも違う、また滉介とも違う、そしてさっき初めて出会ったばかりの来栖川とも違う。




 俺の知る限り、最も女の子らしい女の子。と言えばわかるだろうか?




「何か面白い物入った?」


「あ、赤川次郎さんの新刊がいくつか入ってますよ」


「赤川次郎はちょっと好きになれないなあ……」




 カウンターの端に腰を掛けて話し込む。




 俺が推理小説が好きだということを把握してもらっているため、とても話しやすい。中等部でファンクラブ阻止の大事件を起こしても、この女子は態度を変えることもなく接してくれていた。




 俺の秘密の癒しスポットと言っても過言じゃない。




「羅生門君は心霊探偵八雲とか虚構推理とか、ちょっと癖のある推理モノじゃないと満足できないんですよね」


「ああ、そうだね」


「だったら、鴨乃橋ロンの禁断推理なんてどうでしょう? ああ、こっちはコミックスですね」


「それも春休み中に全部読んだよ」


「なんか推理モノなのに、全体的に可愛いんですよね」


「そうそう、元はジャンプで漫画を描いていた漫画家でさ――」




 ああ、心が潤う。




 友達と言えるほどの付き合いはしていないのだが、この女子の持っている癒し空間は。荒れた俺の心をも浄化してくれる。




 おっと、図書館だから、静かにしないと。


 周りに注意してなるべく声の大きさに気を使って。


 昼休みの残りの時間を立花さんとの談笑で費やした。




7:




 午後の授業も終わり、ここからは部活の時間になる。




 俺は剣道部――の幽霊部員。




 この学園はエリート校だけあって、全国大会に出場している部活もたくさんあった。




 運動部系から頭脳部系まで、さまざまな部活動が乱立しており、様々な形で結果を出している。




 もちろん、剣道部も全国大会出場常連で、厳しい練習の日々を積み重ねている。




 だが俺は剣道部に所属しつつも、その手腕をなかなかふるえないでいた。




 ――理由は、喘息だ。




 俺はそれなりに重い喘息を幼い頃から持っていた。




 道場の静まった冷たく乾燥した空気。激しく動き回って立ち上る埃。それらが俺ののどに悪い刺激を与えてくる。




 剣道防具の面を付けるのも息苦しい。




 慢心ではないが、自他ともに認められるほどに、俺には武道の才能があった。




 だが、成長につれて喘息が年々重くなり、とうとう道場の空気に耐えられないほどになってしまった。




 これは親父と母さんから譲り受けた才能だった。




 親父は剣というものに対して無双無類の才能を持っている。母も、薙刀使いで双子の姉と共に『双月姫』と呼ばれるほどだったらしい。




 とまあ、親の話をし出すと長くなるので、いったんここまでに。




 一応剣道部の道場に顔を出して、顧問の辻田先生と挨拶を交わして、練習風景を見て、喘息が発症する前に俺は退散した。




 暇だな。




 立花さんは図書委員でもありながら、茶道部だから、今図書館に行っても彼女はいない。時間を持て余していた。




 ――滉介の様子でも見てみるか。




 と、俺は第三体育館の二階へ足を向けた。




 基本は二階建ての、中等部高等部合わせて三つの大きな体育館がある。バレー部ハンドボール部、バスケ部に新体操部、等々。




 そして『チアダンス部』だ。




 階段を上がっただけでも、活気だった声が大きく聞こえる。




 中を覗いてみると、ユニフォームを着た女子たちがまばらに柔軟体操や、ふりつけの合わせ練習をしていた。




 その中に、チアガールのユニフォームを着た滉介を見つける。




 まるで俺の視線に気づいたかのように、滉介もこちらに向いて、小走りで近寄ってきた。




「滉介、がんばってるかー?」


「もっちろんだよユースケ!」




 黄色く輝くポンポンを両手に持って、滉介がその場でぴょんぴょんと跳ねた。




「中等部の新入生も入ったから、もう先輩だよ!」


「そっかー」




 もうこの学園では、滉介が男なのにチアダンスをなぜやっているのか? 許されているのか? は、野暮な話だ。




「ほらほら! ちゃんと見ててね!」




 滉介がそう言うと、その身に宿ったフィジカルの元、キレッキレのダンスを始めた。




「L! O! V! E! LOVELOVE! ユースケ―! なんちって!」




「はいはい。大声で言うな恥ずかしい」


「えへへへへ~」




 滉介が楽しんでいるなら、俺は何も言わない。


 元気で大変よろしい!




「じゃあ、部活が終わるまで待ってるわ」


「じゃあ練習してるとこ見てる?」


「いや、やめておくよ」




 俺は見逃さなかった。一部の女子からの、遠くからの冷たい視線を。




 この領域に入れる男子は、滉介か活動写真部、新聞部くらいだ。




 眺めているだけでも、邪な目で見られていると思われるだろう。退散するのが早計だ。




「またな。しっかりやれよ、先輩さん」


「うん! また後で!」 




 両手に持ったポンポンを振りながら、俺は滉介の元を去った。




8:




 そうして、俺たちの高等部、高校生の初日が終わった。


 平和で何より、中等部とそう変わらないな。




「今日も頑張ったー」


「楽しそうで何よりだな」


「うん!」




 帰り道は夕日が沈みかえていて、桜並木がライトアップされているかのように街灯が光っていた。




「ユースケはどうだったの?」


「うーん、普通かな?」


「ユースケは平常運転だね」


「まぁね」




 二人で歩く夜の桜並木は、結構良い雰囲気を出していた。




「あと三年か」


「うん? ユースケどうしたの?」




「いや、これからは進路とかも考えて、このまま大学に進学するか働くか。進路を決めないとな。ってさ……」




「進路? 将来?」


「そうそう、一応高校生だしな」




「ボク何も考えてない! ユースケといる今が楽しいから!」




 滉介は今を生きている。そう体現するほどに、様々なものに楽しんでいる。俺はどうかな? 楽しめているだろうか? 将来と口にしても、漠然とした思いしかできない今でも、俺は……。




 まあ、滉介が楽しそうならば。楽しんでいるのならばそれでいいか。




 ぶっちゃけ将来何になりたいか? って言ったら、小学校低学年の頃「ウルトラマンになりたい!」って言って笑われた俺が、相も変わらずこんなふうに生きている。




 それだけで、一体何を望めばいいのだろうか?




 俺だって、思春期並みに考える事だってあるさ……。




 黙って歩くだけでも、滉介と隣を歩いているだけで、それで十分。




 何も望めない渇望できない俺は、きっと今に満足しすぎているのかもしれない。




 恵まれて生まれてきたものほど、欲望に薄い。無欲になるらしい。




 流されるまま流れるままの、行雲流水。


 


 そういう生き方でも、悪くないだろ?


 そんなふうに思って夜の帰り道を、少しだけ感傷的に浸りながら歩いていく。


 そんなふうに、毎日を過ごして。あっちへ行ったりこっちへ行ったりもせず。


 そんなふうに、生きていこうか?


 そんなふうに、望められるのなら。


 


 ――ちょっとだけ、親と親友が特殊なだけだがな、




 そうして帰路に着いた。




 俺と滉介は家が隣同士。


 だが。




 ――今日も滉介のお母さんと親父さんはいないのか。




 俺の家は明るく。滉介の家は暗かった。




「じゃあまた明日ね。ユースケ!」


「ああ、またな」




 真っ暗な自分の家に一人で帰る滉介の背中は。




 ――やっぱり何度見ても寂しそうだった。




9:




「ただいまっと」




 滉介がそう呟いて玄関を占める。


 しいん……という無音。




「よっと」




 明かりもつけないまま、知って育った言えの階段を、躓くことなく上がっていく。


 滉介の部屋。




 勉強机にベッド、それから集めたぬいぐるみの量。




「よっこいせっと」




 ブレザーもスカートも脱いで下着姿になる。


 ブラジャーではなく、スポブラで胸を隠し、ショーツだけ。




 鏡の前に立つ。




「うーーん」




 自分の体を鏡越しにまじまじと見る。


 一見何も変わらない様子だが。




「ちょっとは背が伸びたかな?」




 もう月明りでしか見えない、鏡に移る全身の姿。




 一般男子よりも細いが、体幹が強くしっかりとした体つきにも見える。


 細めだがバランスのとれた体躯。




 小さい頃は空手をやっていた。




 だが、滉介の体質は、動けば動くほどに筋肉が落ちていき、疲労だけが蓄積される。


 肉体の発達障害かとも思われたが、そういう『体質』ということで落ち着いていた。




 体が太ったことは無い。チアダンス部で体を動かしても、筋肉が減っていく現象は起こらなかった。




 父親の空手道には答えられなかったが、特に鈍くさいわけでもなく、色んな事はある程度とんとん拍子にやれる。




「ほい、ほい、ほいっと!」




 軽くチアダンスのステップを踏んでみる。


 完璧なリズム感とポーズだった。




 ぐううううぅぅぅぅ……。




「お腹空いたな……」




 何か作らないと、何も食べれない。


 すると、ピンポーンと家のベルが鳴った。




「はーい! っとおととととと」




 下着姿では不味い。


 適当に放り投げていた部屋着を着る。




 ピンポーン




「はーい!」




 今度はもっと大きめの声で返事をした。


 


  ――――――――――




 時間はちょっとさかのぼり、俺の家。




「ただいまー」




 今日はシチューか。


 暖かい空気と明かりの中で、空腹感が増した。




「おかえり游介。……滉介は?」




 いつもおっとりとした母さんが出迎えてくれた。




「え? 家に帰ったけど?」


「何で帰しちゃったの?」


「え?」




 急に、ぴしりと母さんの声が硬くなった。




「今日も姉さんとお義兄さんが帰ってこないの知ってるわよね?」


「あ、うん。そうだけど……」




 あれ? なんで俺は叱られているんだ?




「だったら連れてきなさいよ」




 声の大きさはそう変わらないものの、物をはっきりという母さんは明らかに怒っていた。




「あんたはね、滉介を一人にしちゃいけないの」




 母さんは滉介を「ちゃん」とも「くん」とも呼ばない。


 まるで我が子のごとく、俺と同じで呼び捨てにする。




「私はね、二人が一緒に笑っているところが見たいの」




 そう、平等だ。母さんは俺たちを平等に見ている。


 ずっと昔から――




「滉介ももう高校生だし、一人になりたい時だってあるんじゃないかな?」


「馬鹿を言わないで!」




 母さんが本気で怒った。




「游介、あなたと滉介が、二人で一緒に幸せになっているところが、私は観ていたいの。わかる? 滉介も私の子供も同じなのよ。姉さんで例えるなら、私たちは双子、同じ遺伝子。あなたと滉介は、半分同じ遺伝子で出来ている者同士なのよ。だから滉介を一人にしちゃいけないの。游介、あなたが滉介を一人にしてどうするの? あなたと滉介が二人そろっていないと、とにかくダメなのよ!」




 後半はまるで理屈のない駄々っ子のようだ。




 ――だけど。




「そうだね、母さんの言う通りだよ。俺が悪かった」


「わかってくれればいいのよ、滉介」




「とりあえずリュックを置いて着替えたら、滉介を連れてくるよ」




「そうよ。それでいいの。あなたたちは、一人一人で別れてはいけないの。一緒にいるから、微笑ましくいられるのよ」




「はいはい」


 どうやら高校生になっても……。




 俺はまだまだ滉介と母親には勝てないようだ。




10:




「滉介さんおはようございます!」




 いつもの桜並木を過ぎたところで、来栖川早智が現れて俺たちに大きなお辞儀をして言ってきた。




 ――そういえば、昼休みの後から会ってなかったな。




「游介さんもおはようございます!」


「いや、どーした?」




 昨日の初登場のような皮肉った顔をしていない。




「う、ううぅ……」




 なんだなんだ? 頭をあげたと思ったら来栖川がいきなり泣き始めた。


 来栖川が赤くなった顔を両手で隠して。




「あんなの、初めてだった……初めてだったのに……」




 おーい……だから何があった?




 と、思い当たる人物の顔を俺は見た。




「滉介、昨日の昼休みの後、来栖川に何をした?」




 おれが滉介をじっと見ているが、滉介は顎に指先を当てて少し考えるように空を見てから。




「んとね……」




 可愛い笑顔で指を振りながら。




「わ、か、ら、せ、た。……なんてね!」




「そっかー……分からせちゃったかー……」




 何をされたんだろうか?


 何をしたのだろうか?




 自分の顔が渋い表情になっているのを実感する。




「私もう、お嫁にいけない……」




 しくしくと朝から泣き止まない来栖川。




「そんな固くならなくてもいいよー。普通で良いからねー。私たちお友だちなんだから」




 その滉介の言葉に対して、俺は一切のフォロー感を感じなかった。




「…………」




 どーしたものか……。




「ほら、いつもの口調でいいからね」


「はい、昨日はすいませんでした……」




 あ、ダメだこれ。深堀りしたらいかんやつだ。




 ――何があったのか絶対に聞かないようにしよう!




「みんなで仲良く学校へ行こう! おー!」


「は、はい……わかりました……ぐすぐす」




 まるで何事もなかったかのように明るくふるまう滉介。




 来栖川の背中をさすりながら、よしよしと諭す滉介の姿。




 ちょっとだけ、ぞっとする空気を感じた。




 ――滉介、お前はやっぱり最強だよ!




 俺は絶対に深くは聞かないことを固く心に誓った。




「今日もいい天気だな」


「そうだねー」




 俺のボヤキに、滉介が答えるが、来栖川は赤面し泣き顔がはがれていない。


 それを俺は全力で無視するしかなかった。




 ――南無阿弥陀仏!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ