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非承認ヒロイン  作者: 稲川ひそぐ
第1章 革命編
21/25

第21話 執行の日

 ボクがのベッドから起き上がると、サクが深刻そうな顔をして立っていた。

「さ、サク……?」

 サクはボクの声に応えることはなく、まっすぐに自分の正面を見据えていた。そこには。

「……お目覚めかな?『非承認ヒロイン』?」

 そこにいたのは、紛れもない国の剣士だった。エムブレムがついているから間違いない。

「……なんであなたがここに?」

 ボクは警戒しながら彼に問いかけた。

「刑の執行時間だ」

 そんな、あと1日はあるはずなのに…!キーラがベッドの上から抗議の声を上げる。

「おかしいわよ!あと10日はあるはずよ!」

 キーラ、流石にそれはサバを読みすぎだ。

「……王が短縮なさった。お前たちをもう野放しにしてはいられないんだとさ。残念だったなぁ?」

 ニタニタ笑いながら、剣士はそう言った。

「執行官だ。貴様らが裁かれる者たちだな?」

 ボクたちの近くに黒服の男たちが駆けつけ、鉄格子の隙間からボクたちを見た。

「…死亡確認が必要故、哨戒班長のディバインパネルとリンクしている貴様らのディバインパネルを返却する。持っていけ。絶対に道中でユニークスキルやスキルを使用するなよ」

 サクに目をやると、サクはわずかに頷いた。…指示は聞いておいた方がいいってことか。ボクたちは執行官たちからディバインパネルを受け取り、暗い曇り空の下で移動を開始した。

 随分と歩かされた。キーラが薪拾い担当になっていた山なのだが、結構頂上に近い場所にある。見晴らしが良い場所に、異常に巨大な塔が立っていた。もう雨が泣き始めている。土砂降りの中に見えるこのダンジョンは特級の不気味さと存在感を放っていた。

「あれがダンジョンだ」

ダンジョンはレンガでできており、その高さは雲にも届きそうだった。

「……何か言い残すことはあるか?」

 わざわざこんな朝早くからダンジョンまで登ってきたらしい王様が、ニヤニヤ笑いながら言う。勝ちを確信した顔だった。

「…一応ね」

「ほう?」

 すぅぅぅ…息を深く吸い、酸素を脳に回す。

「ボクたちは逃げも隠れもしない。絶対に生還して、正面からお前たちを撃砕する!」

 空気が痺れるくらい、力強く言い放った。

「ワハハ、抜かすか女傑よ!貴様らは死ぬのだ!」

「……ボクは絶対認めない」

 王様に答えさせることもなく、サクを先頭にボクたちはダンジョンの中に入った。

 ダンジョンの中は薄暗く、全体的に四角く暗い色の石のブロックを使って作られていた。ザ・ダンジョンって感じ。階層エレベーターというものが存在し、これを使用してもう開拓されている階層を行き来できるらしかった。エレベーターと言っても扉が閉まってから階層を指定すると、もうボタンから指を離したときにはその階層にいるという、半ば瞬間移動に近い方式の装置だった。中は人10人ぐらいが余裕で乗り込めるぐらいで、階層指定のボタンは石板に浮き出している、円に囲まれた青い数字だった。扉はまるで二枚の岩で、その扉の向こうは見えない。さながら、一つの箱に閉じ込められたようで落ち着かなかった。

 エレベーターの扉が開き、10メートルほど先にうっすら魔法陣が描かれた扉が見えてくる。近くにいた執行官が真剣な表情をして言った。

「……あとはその扉にディバインパネルをかざして挑戦者として登録し、そこをまっすぐ進むだけだ。ダンジョンマスターのいる場所はしばらく歩くと見えてくる」

「説明、ありがとうございます」

 ボクが頭を下げると、いやいや、と執行官は首を振った。

「昨日も、あのクソ野郎に腹いせで殺された兵士が一人いる。これ以上見過ごしてたら、もうあと何人殺されるかわからない」

「……知っている。だから俺たちはここにいるんだ」

 サクは幾分優しい声で、執行官に返した。

「……頑張れよ」

 衛兵は一言だけそう言うと、階層エレベーターに乗って下に降りた。

「これは、サクの計画通りなんだよね?」

「……ああ、今のところはな。もう一人、来てくれるはずだ」

 サクがそう言った瞬間に、白衣を着た影が階層エレベーターに現れた。

「……約束の品だよ」

 白衣を着た影は、紛れもなくフェードのものだった。フェードはディバインパネルのストレージを開き、ポケットライターのような形の白いものをボクたちにそれぞれ1本ずつ手渡した。箱を形成しているコンクリートはボクたちが作ったものだ。

「アイテムの名前はリヴァイブバー。注文通り、体の一部が吹っ飛ぶ大怪我でもない限り、どんな傷も一瞬で塞げる」

「ぶっ壊れ性能すぎない?」

 ボクが言うと、フェードが横目でボクを見ながら言った。

「……ただし、使い切りタイプだから使うタイミングはよく考えて。使いたい時は、容器の蓋を開けて中に入ってる固形の黒い石を傷に当てれば傷の回復ができるよ。

 ……使い終わったら、充電ができるかどうか調べたいから廃棄せずにストレージにしまっておいて」

 フェードはそうアイテムの説明をしてから、サクに言った。

「それで、私は戦闘に参加するの?」

「……よほど危険な状況にならない限りは大丈夫だ。流石にここまで付き合ってもらいながら、戦闘にまで巻き込むわけにはいかない」

「わかった。ボス部屋の入り口で待機してる」

 フェードはそう言うと、すぐにスキルオーダーをした。

「〈ハイディング〉」

 彼女の姿が一瞬にして空気に溶け、見えなくなった。

「…リンネ、ふせろ!」

 ボクがぼんやりとリヴァイブバーに見入っていると、サクが唐突に、緊張した声でそんなことを言った。ボクが伏せると、巨大な火球がボクの頭上を通り過ぎて回廊のはるか向こうで爆散した。

「…おい、誰だ?」

 サクが油断なく言うと、髭をはやした巨漢が階層エレベーターから現れた。装飾があちこちについている派手なプレートアーマーに身を包み、両手剣を持っている。さっきの魔法はこいつが放ったらしかった。つかつかとこちらに歩み寄ってきて、大剣を構える。

「……転生勇者が貴様らを残し全員抜け出した。貴様ら、何か仕組んだな?」

 将軍が鋭い眼光を宿しながら言った。

「……なぜそうなる?俺たちが何かをしたという証拠はないだろう?」

 サクはしらばっくれた。

「城の庭園内にあるレンズで、空間の歪みが確認された。…夜中のうちに何かをしていただろう?」

 サクはホルスターの中のベレッタに手をかけた。

「……そこで俺たちが疑われる訳を聞いているんだ。俺たちは罪人街の房に収まっていたはずだぞ」

「ふん。ここで嘘とは往生際が悪い童だ。

 ……申し遅れた。わしはこの国の将軍、メージだ。国王陛下から貴様らに厳罰を与えよとの命を授かっている」

「……と言うと?」

 サクが油断ない目で将軍を見つめながら言った。

「度合いはわしに任せると言うことだった。…残念ながら、わしは生かすか殺すかしか知らないものでな。…と言うことで、代表者、出てきてわしと剣で勝負しろ」

 ボクが前に踏み出そうとすると、サッと目の前を腕で遮られた。

「リンネ、まだ行くな」

「なんで?ここでボクが行かないと皆殺しにされるじゃないか」

「敵の実力がわからないうちは俺が出る。早々にアタッカーが傷付けられるのはまずいし、回復アイテムは温存しておきたいだろう?」

 サクがボクを諭そうとしている最中に、将軍が無表情に口を開いた。

「…〈ブレードウィング〉」

 将軍は目にも止まらない速さでこちらに飛びかかってきた。剣が青い光を纏い、ボクの眼前に迫る。攻撃的に刃が光って、ボクは我に返った。

「っ!」

 ボクはとっさに腰に下げていたパルスエッジを抜き払い、逆手に持って腕を庇う。光が爆散し、ボクはダンジョンの扉に頭を叩きつけられた。意識が一瞬飛びかけたが、頭をぶんぶん振って意識をはっきりさせる。剣を杖代わりにして起き上がると、すぐにオクスの構えに切り替えた。……背中を見せるとまずい。ボクはさりげなくディバインパネルを取り出すと、扉に押し当てる。扉が、重い音を立てて開き始めた。ボクは将軍の動向を探る。将軍は、ボクと同じオクスの構えをして襲いかかってきた。

「〈サイバイト〉」

 将軍がスキルオーダーを行い、今度は剣が緑色の光を纏う。目が吸い寄せられるような、異様な魅力を持った光だった。ボクはしゃがんで回避し、剣を引くように構えた。頭の上を巨大台風がぶつかったかと思うほどの風が掠めて、冷や汗が噴き出した。どの試合でもやったことがない動きだけど、成功してよかった。心の底から安堵する。ボクはそのまま下から切り上げ、将軍に反撃を叩き込む。さすがは一国の将軍をしているだけのことはあって、すぐに大剣を振り翳してボクの反撃をいなした。

「剣だけは異様にうまいな。泣かせがいがありそうだ」

 ニタァっと、嫌な笑顔で言う将軍。

「……」

 ボクは無言で鞘に収まったままのインフェルノを腰から外し、二刀流の構えをとった。…こうなったら、こいつを泣かせるまでだ。流石にここまでナメられたら、誰だって頭に来る。

「……ッ!」

 人呼吸と共に、ボクは二本の剣を同時に振り抜いた。将軍の大剣に受け止められたその攻撃の直後、ボクは大剣を思い切り蹴り付けて後ろに跳ね返り、壁を蹴って飛び上がった。ボクは壁キックで背面に回り込み、鞘に入っているインフェルノで将軍の鎧を突いた。ガクンッ、と言う衝撃と共に、手応えが伝わってくる。今頃、脊髄に突き抜けるような痛みと脱力感が、彼を襲っていることだろう。そうなるように剣を叩き込んだから当然だ。……まあ軍人がその程度の奇襲で揺らぐはずもなく、将軍はすぐに獣のような速度でこちらを振り返って大剣を握った。…この体勢から斬られるのは、まずい。

 が、すぐにその状況は変わることとなる。風のように渦巻く青白い光がボクたちの間に割込み、将軍を吹っ飛ばしたからだ。

「よぉ……久しぶりだな、とっつぁん?」

 影は立ち上がり、レイピアを振るって渦巻く光を払った。そこに立っていたのは、まごうことなきヤマトだった。……ほんとに、どこから湧いて出たんだよ。レイピアを構え、黒いマントを羽織っている姿がなんとも様になっていた。

「貴様、こちらを裏切るのか!?」

 将軍は、そんなわけがない、という風にヤマトに問いかけた。

「ああ。圧倒的な力が無造作に手に入る生活も悪くなかったけどな。軍神アシスト、まあまあ便利だったぜ?」

 ヤマトはニヤッと笑った。どこまでも不敵で、どんな相手にも怯まない、逆にこちらを一気に怯ませる迫力をはらんだ笑顔が、そこにあった。…つまるところ、こいつはこの王国を裏切る気満々ということだ。

「ヤマト、どうする気?」

 ボクがヤマトに問いかけると、ヤマトは不敵な笑顔のまま言った。

「…リンネ、こんな野郎どもに負けるな。裏切り者なりに足掻くことにしたからよ」

 彼らしくない、こちらを気遣うような発言だった。

「……ああ、あとサク。頼まれてたやつ、全部やっといたから」

「……感謝する」

 サクの一言のお礼に気を良くしたのか、ヤマトはニヤッと笑った。

「まあ、困ったヤツに恩を売るのは将来世界の中心に立つ男として当然の行いだからな」

 前言撤回。やっぱりこいつは苦手だ。

「君こそカッコつけた手前死なないでよ」

 ボクはヤマトに言ってから、ダンジョンの一つ目の扉に向けて急いだ。

「逃さんぞ!」

 将軍が叫び、ヤマトに向かって突撃していく。

「……ゴートゥーヘルだ、クソッタレ」

 ヤマトは将軍にレイピアを向けながら吐き捨ててから西洋剣を飛ばし、武器を構えて応戦していくのだった。

 ボクたちは急いでダンジョンの扉にディバインパネルをかざして開き、ダンジョンに突入した。最後のキーラが入った瞬間にダンジョンの扉が閉まり、鍵のような模様の入っている赤い魔法陣が現れた。…多分、他の奴らが入ってこられないようにロックしたんだと思う。

 しばらく特に話題もなく、物言わぬレンガで囲まれ、足元もレンガで構成された道を歩いていく。周囲は空洞になっていて、下を覗き込むとどこまでも暗いのがわかった。底が見えないのは、普通に恐怖だった。

「…………!?」

 なんでだろう。わからない。ボクは本能的に危険を察知して頭をサッと下げた。直後、その頭上を黒い剣が通過していった。……あんなのに刺されたら、まず間違いなく即死するだろう。ボクが振り返ると、そこには大量の黒い剣が浮いていた。

「……トラップか」

 サクが他人事みたいに呟いているが、彼ももちろんターゲットに入っている。

「に、逃げなきゃ!」

 キーラの声と共に、ボクたちは走り始めた。剣が矢継ぎ早に飛んできて、ボクたちは頭を下げたりジャンプしたりして必死に回避する。殺意を放つ人間と戦うのはもちろん怖いが、意思をもたない無機物に襲われるのも恐怖でしかなかった。

「サクのユニークスキルを使うわけにはいかないの?」

「…………」

 サクが、黙り込んだ。

「……サク?」

「それっ」

 沈黙を破る幼いウィスパーボイスと共に、青く輝く瓶が投げられた。ギラギラ輝いたかと思うと、爆発するような音とガラスが砕ける音を同時に通路に響かせた。一瞬で、あの瓶は恐ろしく分厚い氷の壁をボクたちの後ろに作り出したのである。その衝撃でボクたちはダンジョンマスターの扉の前まで吹っ飛ばされる。

「……え?」

 キーラがポカンとしながら、その壁を呆然と眺めている。

「……全員無事、かな?」

 フェードの声が、空中に響く。

「な、なに、今の?」

 今更ながら恐怖が襲ってきて、ボクはフェードに質問する。

「試作品のポーションだけど……これは流石にリスクが大きすぎるから没かな」

 なんだ、このデタラメな威力は……

「……それ、ダンジョンマスターとの戦いで使わせてもらえる?」

「あの1本だけだから無理」

 フェードがハイディングを解いたらしく、腕が血塗れになった彼女が姿を現した。彼女の腕からは、今も新鮮な血がどくどくと流れ出していた。……本数以前に、あれは安全性に問題があるようだ。

「あ、あの、フェードさん?」

 恐怖のあまり顔が引き攣る。

「ん?」

 フェードは、いつもと変わらない気だるげな表情で立っている。

「いや、腕……」

「……?それがどうしたの?」

 フェードはなんでもないかのように、白衣からリヴァイブバーを取り出して蓋を開け、中にある石の様なものを腕の傷にあてがった。たちまち、石が光って腕の傷を包み込み、数秒後にはもう傷は完全に回復していた。

「……これがリヴァイブバーの効果。実証するにはいい機会になった。

 それで、早く行かないの?」

 フェードに言われて、ボクたちは目の前の扉に向き直る。両手開きのめちゃくちゃ荘厳で大きい扉が放つ圧倒的存在感は、ボス部屋の入り口と言うにふさわしい見た目だった。

「…作戦を言う」

 サクが低い声でいった。

「……今回のボスについて、わかっている情報はこれだけだ。圧倒的力を持ち、それはとある宝物によって与えられていて、巨大な騎士型のモンスターだという事。

 そしてこのダンジョンのボスについてわかっていることは、総括して説明文通りの性質を持っているということだ」

「でも、それって当然じゃない?」

 ボクは聞き返す。

「性質は説明文通りじゃないと、話にならないじゃん」

 キーラも不思議そうだ。

「…説明文通りというのは少し違う。正確には言葉通り、だな。武器屋の商人の話を覚えているか?」

「ええっと、確かモンスターの体が変化しないって言う性質のフロアボスで、挑みに行ったらダメージを少しも与えられずに撤退したって言うやつ?単純に出動した人が弱かっただけじゃないの?」

「…その線もあるが、別のフロアボスは人を笑顔にするという性質で、疑問を持ちながら出動した奴らは全員滑稽な見た目に笑い転げ、笑い死んで戦闘不能となったそうだ」

「…えっ…何それ、ギャグ?」

 サクは苦笑した。

「本人たちは至って本気だっただろうがな。ともかく、これでこのダンジョンのボスはおそらく言葉のままの意味の性質を持っていると言うことが推測できた。体が変化しないボスは、体がどんな方法を使っても変化しない、つまり傷もつけられないということ、人を笑顔にするっていうのはまあ…そのままの意味だな。

 そして、さっき言ったダンジョンのボスが言葉のままの意味の性質を持っているという仮定が正しいと言う体で話を進めると、騎士のモンスターで、宝物によって力を得ているダンジョンマスターと言うのが、今回攻略するやつの正確な情報と言うことになる」

「…はい。そうなりますね」

「…で、騎士にとっての宝物を壊せば、詰まるところダンジョンマスターは力を供給してもらえなくなるわけだ」

 キーラは頭を抱えた。

「まあ、単純に考えたらそうなるけど…。手掛かりが全くないよ?」

「……単純な考えだが……騎士にとっての宝物は守るものだ。…そしてここのダンジョンマスターが守っているのは、紛れもないダンジョン。厳密にはそのボス部屋だ。つまり、だ。俺はこのボス部屋自体をぶっ壊してしまえば、戦いを有利に進められると考えた」

「ぼ、ボス部屋をぶっ壊す…」

 その発想からして、もうイカれているとしか言いようがない。

 キーラは頷いた。

「…わかったわ。それじゃあ、ダンジョンの壁を攻撃する方針なのね?」

 サクがボクの方を見ながら言った。

「ああ。壁の破壊はフェードから受け取った爆弾を壁に取り付けることで行う。スイッチで起爆する仕組みだ。爆弾が全て設置し終わるそれまでに、リンネとキーラはひたすら逃げ回ってくれ」

「…もし、それが失敗したらどうするの?」

 ボクが質問すると、サクが首を竦めた。

「失敗自体の確率が低いようにしているが、失敗した場合、基本は今世に期待しない方がいい。悲しいが、物事に絶対はないからな」

 あまり悲しくなさそうな声でサクが言い切った途端に、キーラがサクの前にバーンと飛び出した。

「ちょっとサク、夢も希望もないような事言わないでよ!」

「……まあそうだな。勝負事においてはどれだけ理論を積み上げようと、結果は根性論、メンタルがどれだけ持つかだ。所見はあるか?」

「その爆弾、ダンジョンマスターに使うわけにはいかないの?」

 キーラが抱いているのは、もっともな疑問である。その方が手っ取り早い。

「ダンジョンマスターのレベルは3桁だ。爆弾を一斉に起爆したところで、攻撃が通じるとも限らない。なら、確実に相手をレベルダウンさせた方が攻撃も当たるだろうというのが俺の考えだ」

 なるほど、それなら納得できる。

 サクは、ボクたちに疑問がないことを確認すると、重い扉を開けた。ギギギ、ときしんだ音を立てながら扉が全開になった。鬼の口のような扉から突風が吹き込み、圧倒的な威圧感がボクたちを襲った。

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