隠密之王
それから、俺は怪我人を村の治療院のところに運んだりと大変だった。
まあ、村がなくなるよりはマシなんだけどな..........。
俺が忙しくしている間にアキラも起きて無事回復していた。
後やる事は来年の王立魔法学院の入学だけだな。
俺は入学出来るか怪しいがな。
何せ俺は反射的に魔術が出てしまう。
もし、それを見られたら一発で魔族扱いにして追放だ。
しかも、今はこの容姿だからな。
疑われる要素がありすぎだな。
せめてもの救いが金眼な事だな。
本当は魔眼なんだけど紅目よりはマシだからな。
だが、満月になると魔眼が勝手に封印を解こうとするから満月の時だけは紅目に戻るんだよな.............。
とにかく、今はこの廃墟みたいな村の状況をなんとかしないとな............。
少しだけ魔眼を使うか...........。
「魔眼開眼!第十階帝魔術:時間逆行!..........こんなところか。」
「主人は第十階帝も使えるのじゃな。我は第十階帝が限界なんじゃが主人はまだ上の階帝魔術が使えるみたいじゃのぅ。」
「銀狼は魔力や地力が高いとは聞いた事はあるが俺が知っている限りで銀狼が第十階帝も使えるなんて聞いた事がないな。」
「我は他の銀狼よりも強いし神獣じゃから当然じゃ!」
「なるほどな.........。銀狼にも強さなどいろいろあるのか。」
「まあ、そうじゃな。じゃが、人間界程難しくもないし魔界よりも単純ではないと言っておくのじゃ。」
「それもそうだろうな。神は神で面倒な奴らばかりだからな。」
「主人は神と会った事があるのじゃな。」
「記憶は消されたが話によるとその天界に住んでいたらしい。」
「それじゃあ、主人は神の筈じゃが.........?」
「一度、転生したからだな。転生したら元の身体には戻れないからな。」
「そうなのじゃな。我も天界の事はよく分からないのじゃ。」
「神獣なのにか?」
「神獣だからこそとも言えるのじゃ。神獣は力が強すぎるが故に神も簡単には手出しが出来ないのじゃ。だから、いつもは天界とは違う神聖な場所にいるのじゃ。」
「なるほどな。なら、何故シルバーはあそこにいたんだ?」
「誰かに呼ばれた気がしたのじゃ。」
「..........アキラか?」
「違うのじゃ。アレは多分主人の声じゃったかのぅ?主人が誰でも良いからアキラを助けてと言った声が聞こえたのじゃ。」
「.........俺はそんな事言ってないが?」
「心の声は己自身には聞こえないものじゃからのぅ。」
もし、シルバーの言っていた事が本当なら俺がアキラに入れ込んでいるようじゃないか。
いや、もっと大分前からそうだったのかもな..........。
「..........他の神獣たちにも聞こえていたのか?」
「多分そうじゃろうな。代表で我が見に行ってみたらアキラがいて主人がいたという感じじゃな。じゃが、我は幸運じゃったのぅ。何せ念願の主人と神獣契約出来たからのぅ。」
「..........どう言う意味だ?」
「我ら神獣たちは暇を持て余しては人間界を覗いていたのじゃ。そこで、主人を見つけてからは皆主人と神獣契約をする為に日々奮闘しているのじゃ。」
「..........そうか。興味ないな。」
「アキラを守る為に必要な戦力じゃと思うのじゃがのぅ。」
「いつでも大歓迎だな。」
「ホォホォホォ、主人は切り替えが早いのぅ。」
「これもアキラの為だからな。」
「何故、そこまでしてアキラを守るのじゃ?アキラとは一体どう言う関係なのじゃ?」
「.........理由は答えられない。だが、関係性はそうだな..........。アキラは俺の光だ。俺はいつも闇の中にいた。抜け出せないな。けど、アキラと出会ってからは毎日が光輝くように楽しいんだ。だから、アキラは俺にとっては光だ。」
「ホォホォホォ、主人はアキラが好きなのじゃな。」
「そうなのかもな..........。」
最初は違ったんだけどな..........。
ここまで仲良くなるつもりは無かった。
けど、いつの間にかアキラに入れ込んでしまっていた。
アキラは懐かしい感じがするからかどうしても一緒にいたら落ち着く。
それに、アキラは危なっかしいからな。
俺が見ておかないとすぐに死んでしまう。
だから、アキラの為にもアキラの警護を増やさないとな。
「主人よ。警護が欲しいのなら神獣を呼んだらどうじゃ?」
「..........それしかないのなら仕方ないか。だが、どうやって呼ぶんだ?神獣を呼ぶには大量の生贄が必要だ。」
「?.......そんな物は必要ないのじゃ。ただ、魔力が大量に必要なだけじゃ。」
「なるほどな......。伝承が誤って伝えられているらしい。まあ、どうでもいいがな。」
「して、誰を呼ぶのじゃ?」
「隠密行動が出来て戦闘能力が高い奴で良い。これ以上は何でも良い。」
「ふむ。なら、あやつかのぅ?」
「何でも良いから早くしてくれ。アキラが来てしまう。」
「分かったのじゃ。.........はて?どうやって召喚するのじゃったか?」
「.........チッ、面倒だな。詠唱くらい覚えておけ。我は呼ぶ。太古の英霊よ。我が下に姿を現せ。隠密之王:レイン!」
「..........主人よ。詠唱が違った気がするのじゃが?」
「..........頭に浮かんだ詠唱を言ってしまっただけだ。問題ない..........筈だ。」
「主人!?離れるのじゃ!此奴、何者じゃ!?ただならぬ闘気を感じるのじゃ!」
俺が呼んだ召喚陣からは黒髪に紫色の瞳をした奴が立っていた。
容姿は見れば見るほど綺麗に整っている。
だが、残念な事にそれを上回る程此奴の性格は面倒でうるさい。
「.........あ、あなた様はもしや.........レオ様!?はて?もしや此処は魔界でしたか!?」
「.........人間界だ。落ち着きのなさは相変わらずだな。」
「人間界?何故.........?も、もしや、また死んでしまったのですか!?」
「また、死んでしまったじゃと?主人は何回か死んだ事があるのじゃな?」
「..........レイン!余計な事を言うな。」
「は、はい!申し訳ございません!」
「.........記憶にはないが死んだ事は確かに何回かはある。」
「........そうなのじゃな。」
「と、ところで、何故私を呼んだのでしょうか?」
「お前の紙人形たちに護衛してもらいたい人がいる。」
「人、ですか?しかも、監視ではなく護衛?一体、誰ですか?」
「アキラだ。」
「..........アキラ?誰でございましょう?」
「とにかく、アキラには見つからないように護衛しろ。アキラに何かあったら俺に報告しろ。」
「では、私はその間はレオ様の側にいても........?」
「構わない。..........お前、魔法は使えるか?」
「え?あ、はい。魔術はあまり使えませんが魔法なら大体使えます。」
「何級までだ?」
「え?多分、超越級くらいまでなら..........。」
「なら、ちょうどいいな。レインは俺と一緒に来年王立魔法学院に入学する。もちろん、アキラの警護も頼みながらな。」
「!ほ、本当ですか!?ま、まさか、レオ様にまた仕える事が出来ようとは..........!」
「じゃあ、またよろしくな。レイン。」
「はい!よろしくお願い申し上げます。」
「よろしくなのじゃ、隠密。」
「..........隠密とは私の事か?」
「それ以外に誰がいるのじゃ?」
「私の名前は隠密などと言う名前ではありませんが?まあ、あなたのような銀狼に名前を言われても嫌ですけどね。」
「なんじゃと!?貴様、我を神獣と知って言っているのか!?」
「貴様こそ私が神と言う事を知っての狼藉か!?」
「うるさいぞ!もう少ししたらアキラが来るんだ。黙っていろ!」
「承知しました。」
「分かったのじゃ。」
だが、問題はレインをどうやってアキラに紹介するかだな。
後は母さんにも言っておかないとな..........。
いっそ、拾ったって事にするか?
そうして、アキラが来るまでレインの設定を考える俺だった。
次回もお楽しみに!




