アザミ
「私たちの祖先は300年前に鬼人族の街を追放されてここに流れ着きました。そして、ここに集落をつくり落ち着いて過ごして来ました。そして、祖先に感謝する感謝祭を行っている途中に何処からか声が聞こえてきました。そして、声の主は一方的にここを占領すると言って来ました。皆、最初は反対していました。ですが、その反対者を纏めていた鬼人が見せしめに殺されました。そして、また一人と殺されて最後に殺されたのが父でした。父が殺されたと皆が知ると鬼人族からは復讐心に燃える者と静かに暮らしたいから軍門に降ると言う者たちに分かれていきました。最終的には兄が率いる復讐者は今も敵と戦っている事でしょう。私はまだまだ未熟者です。兄までも失いたくありませんし我が民たちも守りたいのです。ですから、貴方たち冒険者に依頼をしたのです。どうか、我が集落を守る為に御力を貸してはくださいませんか!?」
「僕は良いよ!だって、たった一人の肉親を失うのは辛すぎると思うから!」
「俺も構いません。元よりそのつもりで同行させてもらいましたから。」
「残念だが俺は反対だな。」
「え!?ど、どうして!?」
「アザミ、確かにお前は未熟だ。本当に失いたくないのならどちらかを切り捨てるべきだ。お前も気づいてはいるのだろう?いつまでも、頼りっぱなしだと立派な長にはなれないのだと言う事に..........。」
「っ、はい。分かっております。ですが、私にだって譲れないものがあります!ご忠告は感謝致しますが私は絶対に諦めません!」
「..........お前は強いのだな。実に羨ましいよ。私にもその心の強さがあったならばきっと救えたかもしれないのに.........!」
「え?」
「............!」
[レオ様...........!]
「いや、何でもない。お前は合格だ。」
「え!?そ、それはどう言う............?」
「あれは、俺たちではない場合の話だ。お前たちは運が良いよ。何せ、俺たちを味方につけられたのだからな。俺はお前に協力しよう。お前の思いをお前の兄に伝えてやる。」
「っ、はい!ありがとうございます!みなさん!」
「じゃあ、まずは自己紹介だね!僕はアキラ!よろしくね!」
「俺はジークです。」
[私はグレイと申します。]
「俺はレオだ。」
「我はシルバーだ。主人:レオの配下だ!」
「私はギアラと申します。シルバー同様、レオ様の配下です。」
「私は鬼人族の集落の代理長のアザミと申します。改めてよろしくお願いします。それにしても、レオさんは御強いのですね。」
[.........何故、そう思われたのですか?]
「配下の方たちからとてつもない威圧を感じるのです。そんな二人を従えているレオ様は御強いのかなと思ったのです。」
「ええ、そうなのです!貴方は見どころがありますね!やはり、主人様は素晴らしい!なにせ、あの戦闘狂の鬼人がレオ様を褒めているのですから!鬼人でも主人様の素晴らしさが分かるなんて............!主人様は日々成長しているのですね!」
いや、多分違うな。
普通の鬼人族では俺の能力を見破れない筈だ。
それに鬼人は強い者にしか従わない。
例え前長の娘でもな。
という事は、アザミはただの鬼人族ではないな。
鬼人族から偶に生まれてくる希少な属性持ちか..........。
鬼人族は戦闘能力は高いが魔法や魔術が使えない。
だが、偶に希少な属性持ちの鬼人が生まれてくる。
それが、多分アザミとアザミの兄のアテラ、そして前長が属性持ちだったのだろうな。
「いや、俺が凄い訳ではない。アザミがすごいんだ。」
「え?そんな事ないですよ?」
「お前、属性持ちだろ?」
「よく分かりましたね。大抵の人間は私をただの鬼人の娘と甘く見て襲い掛かってくるのですが............。」
「なるほど!だから、鬼人族をまとめられるのですね。」
[と言う事は、他にも鬼人の属性持ちが何人かいる事になりますね。]
「何故、そうなるのでしょう?」
「鬼人族は数百年に一度だけそれぞれの属性持ちが生まれてくる。だから、今がその時期と言う事だ。分かったか人間共?」
「ギアラ。今は任務中だぞ?仲間に冷たくするな。」
「で、ですが..........!」
「ギアラ、俺に二度も言わせる気か?」
「っ、も、申し訳ございません!私如きが主人様に意見するなど間違っておりました!」
「分かれば良い。それで、アザミはなんの属性持ちなんだ?」
「私は光です。回復や結界などしか張れませんが..........。」
「では、アテラの属性は?」
「火属性です。」
[最後にあなた方のお父上の属性は?]
「確か闇だった筈です。」
なるほどな。
大体、分かってきたな。
[多分ですが、敵の目的はここの領地を占領する事と貴方たち属性持ちの鬼人を狙っているのだと思います。]
「え?な、何故、そう思うのですか?」
[属性持ちの鬼人は倒した属性持ちの鬼人から力を奪えるのです。もちろん、敵が属性持ちの鬼人だったとしてもです。]
「っ、ていう事は、二重属性持ち!?」
「でも、鬼人ではないかもしれません!」
[はい。ジークさんの言う通りです。これは、あくまでも推測の域を出ません。なので、あまりこの推測は当てにならないと思います。]
「じゃ、じゃあ、敵は一体何が目的なの!?」
[先程も言った通り領地の占領だと思います。これは、確実だと思います。]
「その根拠は何です?」
[ここの集落は綺麗ですね。ここに敵は入ってきてはいないのではないですか?あるいは、何かを通したりしてしか入ってきてはいないのではないですか?]
「は、はい。グレイさんの言う通りです。敵はここの集落には何故か入って来ないのです。」
[それは、領地を占領した時にせっかく気に入った場所をボロボロにしたくなかったからでしょう。]
「な、なるほど..........!見事な推理です!尊敬します!グレイ先輩!」
[それほど大した事ではありませんよ。誰だって知識があれば分かる事ですから。]
「その知識を学ぼうとする努力がすごいんだよ。グレイ、お前は頭が良い。それに誇りを持つが良い。そうしたら、自ずと自分の弱点が分かってくるからな。」
[私の弱点、ですか?]
「ここからは、ヒントなしだ。頑張ってお前の弱点を見つけろよ?」
[承知しました。]
「とにかく、まずはアテラのいる場所に向かうか...........。ギアラ、場所は分かるか?セフィラは赤か紅色でアザミと似たような魔力の質をしている筈だ。」
「いました。..........ですが、これは...........!」
「どうかしたのですか!?」
「..........その条件に当てはまる奴は見つけましたが種族が違います。」
「種族が違う..........?そんな筈はありません!私とお兄様は同じ種族です!」
「なんの種族だ?」
「............炎鬼族です。」
[え、炎鬼族!?]
「ソイツは見込みがありそうだな。まさか、あんな絶望的な状況で角を折られて進化するとはな..........。」
アイツならアキラの修行相手にはピッタリだな。
よし、これでやる事は決まった。
アテラにアキラの修行をつけてもらう為にまずはアテラをあの場所から助け出す!
「だとしたら、疑問が残ります。何故、進化して強くなったのに敵へ挑まないのですか?勝てるかもしれないのに...........?」
「人間とはやはり愚かですね。こんな簡単な事も分からないとは...........!」
「ギアラ、何回言えば分かる。今は仲間なのだから冷たくするのはやめろ。...........ジークの疑問は人間だからこそなのだろうな。だが、魔族や魔人族にとっては日常茶飯事だ。」
[相手が進化したとしても敵わないからでしょうね。差が歴然とする程の...........。]
「嘘、ですよね?お兄様はここには帰って来れないのですか?お父様のように還らぬ者になってしまうのですか?」
「..........今の俺たちではどうする事も..........!」
「鬼人とは一生分かり合えない者だと思っていた。アイツらには仲間意識が欠けらもなかったから...........。けど、アザミは違うんだな。安心したよ。アザミは優しくて立派な長になれるよ。」
俺とは違って人間からも認めてもらえる長になれる。
いや、きっとなる。
だから、アザミの未来を奪う奴らは排除する。
未来ある鬼人族を逝かせるのは惜しいからな。
「正直、傍観しようと思っていたが事情が変わった。敵を潰してアテラを連れ戻しに行くぞ。グレイとジークは街に残って念の為村の人を守ってくれ。それと、結界も頼む。」
[分かりました。]
「アキラたちはどうするのですか?」
「アテラを連れ戻しに行かせる。」
「レオ様はどうなさるのですか?」
「俺はアキラたちの援護にまわる。ギアラ、お前は支援だ。なるべく、戦闘は控えろ。」
「承知しました。」
「じゃあ、行くぞ。」
『はい!』
次回もお楽しみに!




