アテラ
もし、アテラに闘う意思があるのならアキラの成長に利用できる。
だが、もし諦めていたら切り捨てるしかないな。
「敵の人数が多いみたいだね。」
「数だけではないみたいだぞ?質もなかなか高いな。我でもこの数と質だとキツイな。」
「そ、そんなに強いんだ.........!」
「なるほどな。どうりで、あの鬼人が動かない訳だ。あの数に戦闘力もそこそこある。進化したとて、何分持つか分からないのだろうな。他の兵たちも体力は限界だろうしな。」
さすが、ギアラだな。
戦場の状況を深く読んでいる。
けど、アキラには無理だな。
下手したら死んでしまうな。
これは、ギアラも前衛の方が良いかもな。
だが、コイツの権能は周りを巻き込んでしまうからな。
アキラたちに危険が及ぶ..........。
「ギアラ、アキラとシルバーのどちらかが限界になったらお前が前衛に変われ。」
「.........よろしいのですか?私の権能は周りを巻き込んでしまいますが..........。」
「問題ない。ここでお前を出さなかったらアキラが死ぬ可能性があるからな。権能を発動させてアイツらを倒す方がアキラが死ぬ可能性は低いからな。」
「分かりました。では、そのように致します。」
「俺はアテラたちのところに行く。ここは任せる。」
「っ、は!承知致しました!」
これで、アキラが死ぬ可能性は減ったな。
問題はあの鬼人たちが闘えるかだな。
あの鬼人たちがいなければこの闘いはアキラたちだけでは勝てない。
俺が全てを倒したら早いのだろうがそれではアキラが成長できない。
だから、今は俺の出来る精一杯の援護をアキラにするしかない。
「貴様、何者だ?」
「驚いたな。転移する場所が分かったのか?さすがに、進化しただけはあるな。」
「何故、その事を..........?」
「それより、お前たちはここで何をしているんだ?」
「先に俺の質問に答ろ。貴様は一体、何者だ?」
「.........何故、お前に俺の事を伝えなければならない?今は緊急事態の筈だ。こんな事をしている暇があるならさっさと戦場に戻るんだな。」
「動くな!動いたら貴様を殺すぞ!」
「...............。」
コイツは今、なんて言った?
俺を殺す?
無理に決まっているだろう。
俺にだって俺は殺せないんだ。
お前如きに殺せる訳がない。
自分の魔力が邪悪になっていくのが分かる。
せっかく、ここまで抑えていたのにコイツらのせいでまた抑えが緩くなった。
「っ、貴様、その魔力は...........!」
「お前は違うな。ここにアテラと言う鬼人........炎鬼はいるか?」
「っ、何の話しだ?」
「隠しても無駄だ。早く出せ。」
「貴様..........!」
「やめろ。もう良い。お前では勝てん。」
「っ、ですが...........!」
「良いから奥に行け。」
「し、承知しました。」
「..........貴様は実に珍妙だな。邪悪な魔力に綺麗で神々しいセフィラ............。セフィラと魔力が矛盾している。それに、種族も...........。貴様は一体、何者だ?」
「..........進化した事でセフィラも見えるようになったか。」
「拙者は今質問している。質問に答えろ。」
コイツ、妙に態度がデカいな。
俺はお前なんてすぐに倒せると言うのに..........。
そういえば、俺は今弱体化していたな。
「..........貴様は何故、セフィラが二つもあるんだ?いや、一つ吸収したようだな。そのセフィラは確かに貴様のセフィラのようだ。だからこそ奇怪だな。」
「..........そこまで、見えるのか。これは、想定外だな。」
「貴様は、どうやらここで倒さねばならないようだな。その、真っ黒なセフィラも貴様のセフィラなのだろう?」
「..........残念ながらそのセフィラは俺のであって俺のじゃない。まあ、そんな事はどうでも良い。倒すならかかって来い。」
「では、参る!」
コイツは強いな。
今の俺では勝てないだろうな。
剣士と魔法師では剣士が有利だ。
魔法は詠唱しないといけない。
剣士はその間に魔法師を倒せるからだ。
俺には詠唱は必要ないが一応、詠唱はしておく。
「貴様、強いな。」
「どう見ても、俺の方が弱いのにその言葉が出てくるのは俺への挑発か?」
「いや、純粋にそう思っただけだ。」
「純粋か..........。俺には絶対にないものだな。」
純粋だったらこの世界を滅ぼそうとはしないだろうしな。
俺に比べてアキラは純粋で綺麗な心をしている。
だから、アキラを汚す訳にはいかないんだ。
「貴様は何の目的でここに来た?」
「お前たちを戦場で闘わせる為に来た。」
「拙者たちに死ねと言うのか?」
「誰もそんなことは言ってない。ただ、協力してほしいだけだ。」
「協力だと?貴様にか?」
「俺じゃなくてアキラにだ。アキラではアイツらを倒せないからお前が必要なんだ。お前を見たらアキラは絶対に強くなるから.............。」
「何故、そう言い切れるんだ?」
「理由はない。アキラがアキラだからだ。アキラなら強くなれるからだ。何処までも...........。」
「そうか..........。分かった。貴殿らに協力しよう。」
「あぁ、助かるよ。じゃあ、戦場でまた会おう。」
俺はアテラたちがいる拠点から敵に囲まれているアキラたちのところに転移で移動した。
アキラは..........無事だな。
シルバーも無事だな。
だが、二人とも無傷な訳ではない。
体力が限界を迎えつつあるようだな。
まあ、この程度の奴らならアキラたちが間違っても死ぬ事はないな。
「ギアラ、お前の目から見て今の状況はどうだ?」
「大体は片付いておりますので勝てるかと。それにしても、神獣のシルバーはともかくただの人間のアキラがあそこまで持つとは意外でした。」
「アキラはただの人間ではない。今代の勇者だ。」
「っ、それは..........!」
ギアラの言いたい事はなんとなく分かる。
勇者とは魔王の弱点である神聖魔法を使える。
だから、魔王は何年も勇者に敗れてきたのだ。
「ギアラ、俺はただの魔王じゃなく大魔王だ。..........まあ、元だがな。それに、今のアキラには俺を殺せない。」
「..........っ。」
「大丈夫だ。俺はまだ死ねないからな。」
「っ、は、い。分かっております。ですが.........!っ!?な、何ですかこの魔力量は!?」
「.........どうやら、向こうのボスが本気を出したようだな。」
「で、では、ボスが現れたのですか?」
「いや、この感じだと違うだろうな。ゴーレムに似ているな。それに、魔力量はボスの足元にも及ばないだろう。」
「っ、あの魔力量で..........!?」
「まあ、しばらくは大丈夫だろ。歩くスピードは遅いみたいだからな。対策は後で立てれば問題ない。」
「おい!アレは何なんだ!?」
「アテラか.........。随分、来るのが遅かったな。」
「仕方ないだろう。道が分からなかったんだ。いや、それよりあのゴーレムみたいなのは何だ?」
「敵陣の最強兵か何かでしょう。それより、主人様に向かって何という態度..........!」
「っ、おい!今すぐに此処を離れろ!じゃないと、死ぬぞ!?」
「何?どう言う意味だ炎鬼。」
「そのままの意味だよ!早く逃げろ!」
「.........何が見えたんだ?」
「あのゴーレムの核が異常なまでの熱を込めてやがる。」
「まさか、ゴーレムは囮でゴーレムを自爆させるつもりですか!?」
自爆だと!?
それじゃあ、アキラが..........!
アキラは今何処に...........!
「っ、何をしている?そこの鬼人!何を、している?」
アキラを見つけた途端、急にアキラの後ろにいた鬼人がアキラを刺していた。
マズイ、アキラは刺されて動けない!
アキラが巻き込まれる!
「貴様は誰だ?鬼人族に貴様のような容姿の奴はいなかった筈だが?貴様は何者だ?」
「ふふ、はははははは!まさか、こんなにも早くバレてしまうとは驚きです。さすがは、第一席様........!」
「何故、その肩書きを知っている?」
「そういえば、貴方様は何故か今世だけは力が弱まり記憶が亡くなっているのでしたね。今世では初めてですね。私の名前はロンギス・アデナイト。アイスセシア帝国の十席の剣聖が一人第二席の幻影之神:ロンと申します。お久しぶりですね。殿下。」
「殿下.........?」
「..........また、生き返ったのか。おかしいな。セフィラも壊した筈なんだがな。..........それで、また殺しに来たのか?今度はアキラを...........!お前もバカではないから分かるよな?アキラは俺のお気に入りだ。ソイツを殺す事は許さない。」
「貴方様はいつの間にか変わってしまわれた。前は人間なんて興味がなかった貴方様が一人の人間に関心を持つなどあってはならないのです!」
「お前も変わったな。前は俺の従者だったお前が俺を裏切るとは思わなかったよ。」
「主人様の従者..........?」
「..........私は殿下の全てを知ってしまったから私は貴方様を救う為に動いたのです!」
「俺の全て.........?」
「勿論、殿下の苦手な者と弱点も把握済みです。」
「俺に弱点や苦手な者があるとでも..........?」
「そうですね。私も殿下の全てを知るまでは分かりませんでした。まさか、殿下が最高神に恐怖しているとは思いませんでした。ですが、納得がいきました。神聖城に行くといつも手が震えていましたからね。」
「っ、そんな訳ないだろ!なんの証拠があって言っている!」
「........例えば、最高神が殿下を壊そうとして大事な者たちを一人一人丁寧に殿下に見せながら殺していったり暗くて狭い牢屋に一年以上閉じ込められたり最後には義弟を殿下の手で殺せと命令されて殺したりなどですかね。」
『............。』
最後の言葉を聞いた時に俺の中の何かが壊れた。
この感覚は、昔と同じ感覚だ。
人間たちを斬っても斬ってもなんとも思えなくて..........。
ただただ、任務をこなすだけだった。
つまらない命を守る愚かな奴らと思っていた。
「っ、主人様!落ち着いてください!今、ここら辺を破壊したら最高神が出てきますよ!?そしたら、また刻印が..........!」
「さっきから、お前たちは何を言っているんだ!?」
「.........炎鬼族と英霊ですか。お前たちに用はありません。死にたくなければそこを離れてください。」
「殿下..........!殿下が戻ってこられた!」
「..........貴方も邪魔です。退いてください。」
「れ、レオ..........!」
「.........貴方は勇者の癖に弱いのですね。あんなのに、やられるなんて...........。やはり、勇者は弱いですね。貴方が剣聖になれたのなら力が増すでしょうが..........今の貴方には力を貸さないでしょうね。勇者の割には人間に近いですし。」
「アキラ、主人から離れろ!今の主人はヤバいぞ!さっきよりも断然強い!」
「それはそうですよ。今の殿下は感情がないですから見境はないです。ですから、強いのです!」
「...........レオ!くっ、レオ!っ、目を覚ませ!くっ、こうなったら仕方ない!..........汝は神聖なる者。汝は邪悪なる者。対なる存在を宿す者よ。今こそ邪悪なる者に最恐の邪神:レイから祝福を授け賜れ!超超越級儀式魔法:邪神之魔力供給転換!」
次回もお楽しみに!




