~モグラのフレンズおじさんの話~(2)
モグラのフレンズおじさんは、いつもネズミのポビーが、抜け穴に使っている、ポビー専用の隠し通路を覗いた。ポビーは、モグラのフレンズおじさんが気づいてないと思って、いつも悪戯をした晩には、こちらに潜り込むのだ。勿論、モグラのフレンズおじさんは、ちゃあんと気がついているがね!こう見えて、モグラのフレンズおじさんは、淋しがり屋で、ポビーの悪戯が来るのをあんまり怒れないでいるから、お家にポビー専用の隠し通路を作られたって、見なかったふりをしてあげる優しい気の良いフレンズおじさんだ。
案の定!ネズミのポビーは、大きくぽっこり膨れたお腹を膨らましたり凹ましたりしながら、ポビー専用の通路で熟睡中だった。モグラのフレンズおじさんは、そんなポビーを見つけると、ポビー!と、大きくて怖い声を出したんだ。
びっくりして跳ね上がったネズミのポビーは、まるで、猫を見たみたいに毛を逆立てて驚いたけれど、大きな声を出した相手が、モグラのフレンズおじさんだと知ったのか、途端に落ち着きを取り戻して、お調子者の彼らしい挨拶を返したんだ。
「ややっ!これはこれは!今日は!モグラのフレンズの旦那じゃありゃしませんか!どうなすったんでさ?こんなに朝っぱらから……旦那らしくもない!」
モグラのフレンズおじさんは、いつもはあんまりしない怖い顔をして、ネズミのポビーに詰め寄った。
「どうなすったんでさ?じゃない!お前、また、わしに昨夜なにか悪戯をしよっただろう!メアリー・ポピンズに相談して、今日一日のことを思い返せば、お前の悪戯顔しか思いださん!お前がまたなにかしたのだろうと、とっちめにこちらに顔を出したのだ。今日という日は、ただじゃおかん!しっかりしかってやるぞい」
ネズミのポビーは、モグラのフレンズおじさんの言葉に、目を丸くして、びっくりした顔をして叫んだ。
「……な、なに、仰ってるんでさ!モグラのフレンズの旦那!私は、今回は、なにもしとりゃあせん!なにかの間違いでさぁ!」
心底、仰天したという感じで縮み上がるネズミのポビーの様子に、モグラのフレンズおじさんは、首を傾げた。ネズミのポビーの様子に、彼が嘘を言っていないことがわかり、ふむ、と、悩み始める。なんとも深刻なモグラのフレンズおじさんの様子に、少々心配になったのか、ネズミのポビーがこう言ってきた。
「モグラのフレンズの旦那!私で良ければ話聞きますぜ!こんなのでも居ないよりは”まし“ってもんで!」
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こうして、メアリー・ポピンズと、モグラのフレンズのおじさん、ネズミのポビーを交えて、おじさんの目がショボショボする謎を話始めた。
あらかた聞いた、ネズミのポビーは、そのモグラのフレンズおじさんの話から、こう!叫んだんだ。
「……そりゃあ、モグラのフレンズの旦那!心の病って奴にちがいねぇやっ!西の森に魔女が住んでなさるから、相談に乗ってもらうと良いですわ!私もモグラのフレンズの旦那には、早く元気になってもらいてぇからな!」
と、明るく提案した。
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そうして、メアリー・ポピンズと、モグラのフレンズおじさんは、西の森に住む魔女に会いに行くことにしたんだ。




