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 小さいテントの中で寝袋に包まって眠った。そして、暫くシェルターの事を思い出していた。毎日が命のやりくりで、余裕などなかった。幸福や不幸など比べる余地も無かった。ただ、その時々を生きるのに必死だった。しかし、思い返して見ると彩り豊かに蘇る。あんな生活でも、幸福を感じて生きていたのだ。今になって初めてそれに気づいた。

 仲間たちの姿と、日常だった風景がぼんやり溢れた。思考は曖昧になって、あのVRの所へも流れ着いた。あの中で一体何を見たのだろう。記憶の中に潜り込むようにして、いつの間にか眠った。

 

 光がちらついていた。テントの入り口が風になびき揺れていてる。隙間から入る月明りが目の中に入ったり逃げたりした。静かに布が擦れる音がする。

 起き上がり外に出た。

 辺りを見る。広大な暗い大地。遥か遠くに青い光がぼんやり灯っている。そして、その傍に人の影がある。

「おい、相川」とテントに振り返ろうとすると、相川はもう隣に立っていた。

「えぇ」

「あれだ。すぐあれの近くに」

「分かりました」

 一瞬で体が滑り、その光の目前まで近づいた。しかし人影は消えてしまった。辺りを見渡しても、地平までほとんど闇だ。

「相川、この辺りで人間が感知できるか」

「いえ出来ません」

「何とか探してくれ」

 圭司は青白い光を見下ろした。また、人間が発光していた。

 光る男は微笑んでいた。そして、少しづつ薄く、気体に溶けようとしていた。

 圭司が手を伸ばすと、相川が腕を掴んだ「危険です」

 圭司は相川を見た。「消える前に、確かめないと」

 微笑ながら消えていく男の肩に圭司はそっと触れた。


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