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 柳がいなくなって外に出る用も無くなった。毎日、起きてはゲームをして、ゲームをしては眠った。それだけだった。

 無意味を悟っても尚、退屈はより地獄だった。何も考えぬようにゲームに潜り続けた。巣造像のプレイヤーポイントは上がり続け、世界のトップ50に返り咲いた。

 そんな、ある日、巣造像の中で歪なメールが来た。10数年来ゲームの中でメールなどもらったことはない。差出人はゲームクリエイターとなっていた。中身には短くこう書いてあった。

 今夜、夢の中で会いましょう。

 いつものようにバトルを終え、そのまま眠りについた。

 気が付くと暗闇の中にいた。そこは赤い椅子がポツンと置いてあって、最初はだれも居なかったのに、気付くといつ間にかその人は座っていた。

「やぁ」

 男か女か分からない容姿。肌は異様に白い。暗闇の中にいると眩しくみえるような気さえした。これがこの世界を作った神様なのだろうか。

 自分はどうしていいか分からず黙っていた。その人は、しばらく自分を観察しているようだったがやがて口を開いた。

「君の世界は私の世界を模倣して作られていてね。出来た当初は人気だったんだ。この規模の世界は他になかったからね。でも、それも束の間だったね。もう創造される世界は際限のないスピードで際限なく広がっている。この世界もすっかり人がいない。そしてもうすぐ誰もいなくなる。私はここが中々気に入っててね。というのもまぁ、私の好きな人が一番幸福そうに生きていた場所なんだ。だから、ただ失くしてしまうのは惜しい思う。そこでふと思いついたんだ。ここを次の大会のステージにしようかと。そして、華々しく終わらせるんだ」

 その人は握った掌を広げて、花が咲くような仕草をした。

「君は巣造像のプレイヤーでもあるし、この世界の人でもあるからね。君と相談しようかと思ったんだ。君の意志をくむよ。私は」

 自分は首をふって「構わないです」と言った。

「もし望むなら私の世界に招待しよう。そうしないとこのステージで死ねば、そのまま死ぬから」

 私の世界という響きが妙に印象的だった。

 自分はその人に一つ頼みごとをした。その人は微笑んで快く引き受けてくれた。そして、その人はいなくなり、赤い椅子だけが残った。

 しばらく呆然とそこにいたが、眠りはさらに深くなり、その椅子もいつの間にか消えていた。


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