少女ビーナスと隊長ジョン
今は農村のビーナスの家に隊長ジョンがやって来ている。やって来ている理由として、隊長ジョンは少女ビーナスを監視するためにと、悪役令嬢キャサリンには言ってある。
二人っきりの家に会話はない。泥まみれで毎日を農村の畑で労働するビーナスのことを、隊長ジョンは少しだけ可哀想に思っている。その少しだけというのは、悪役令嬢キャサリンの魔法によって、ビーナスから心が離れるようになっているからだ。
ビーナスは苦痛の毎日の中で自尊心を失いつつある。かつての女神アフロディーテの美しさはもうそこにはなかった。悪役令嬢キャサリンに歯向かったことを後悔すらする程に。
窓からひょっこりと覗き見る少年がいた。
男性神エロスことトムである。何も言わずに、彼は金の矢を隊長ジョンに放った。射られたジョンは思わず少女ビーナスを抱きしめた。
「すみません、女神アフロディーテ様! 私が不甲斐ないばかりに! もう少しで騎士団長になれます、その暁には、悪役令嬢キャサリンを追放させます!」隊長ジョンは力強くそう言った。
少女ビーナスはというと、
「そうかぁ、隊長ジョンは騎士団長になれるんだよね? それなら、私も頑張らなきゃね」女神アフロディーテことビーナスは涙声で言った。
それから二人はお互いに笑顔に戻った。
男性神エロスことトムはニコッとして、二人に気付かれることなくその場を立ち去った。
続く




