第44話 紹介
三日連続投稿ですぞー。
「それにしても、毒に関してはどう対処すればいいんですかね。無味無臭の毒だとどうしようもないですよね」
「そっちは何とかできる当てがある」
「?」
「出てこい。パナシェ。ディーゼル。ミント。シャンディー」
呼びかけに答えて、三匹の精霊が俺の体から出てくる。初めてアドの前に姿を現すからか恐る恐るといった様子だ。
「ちょ! 精霊じゃないですか! 聞いてないですよ!」
「言ってなかったからな」
そもそも精霊は人前に姿を現さない。俺に懐くほど人に警戒をしないこの四匹ですら、ゴコウさんやアドの前にこれまで姿を見せなかった。ちょくちょく念話でゴコウさんやアドに姿を見せないかと持ち掛けていたが、最近姿を現すことを決めてくれた。決めた後姿を現す機会がなく今この場まで先延ばしになっていたのだが。
「水色の好奇心旺盛なのがパナシェ。茶色の落ち着いているのがディーゼル。薄い緑色で俺を蹴飛ばしているのがシャンディー。出てこないでたぶん寝てるのがミント」
「というかなんで、シャンディーちゃんはシロキさんの頭を蹴飛ばしてるんですか?」
「たぶん一番最後に名前を呼んだからだな」
シャンディーもミントもちゃんとしてくれないかな。アドからしたら俺の人望が全くないように見えてるんじゃないか?
そんなことを想っているとミントは少し顔を出してアドに手を振った後、俺の膝の上で寝始め、シャンディーは俺の頭の上に陣取った。
この二匹は出会ったときから本当に変わんないな。
とりあえず、マイペースな精霊たちだが、一匹ずつ念話をかける
「パナシェ。水に毒が混ざっていたらわかるか?」
俺の問いにうなずきを返してくれる。
同じようにミントにも野菜に毒が入っていたらわかるか問いかけると同じように返事をしてくれた。
「これで毒対策は他の冒険者の何倍もできたな」
「そうですね。精霊の目までごまかす毒物はさすがに難しいと思いますね。でも、いいんですか?」
「何がだ?」
「シャンディーちゃんが頭の上で荒ぶってますけど……」
シャンディーが俺の頭の上で前髪を引っ張り暴れており、毛根の危機だった。
「たぶん、パナシェとミントにばかり頼ってないで私にも頼れってところじゃないか」
シャンディーはかまってちゃんだからな。自分だけを除け者にされるのを嫌う。畑仕事の時に活躍するのはディーゼルだったしな。
しかし今回はシャンディーにも仕事があるぞ。
「シャンディーには毒ガス対策をしてもらいたい。毒ガスが充満していたらわかるか?」
問いかけにシャンディーは一度頭から降りて来て、俺の目の前で自信満々にうなずいた。満足したのか再び頭に戻って髪の毛をつかむ。先ほどまでと違っておとなしいので、毛根の危機は去った。
「これで毒を吸わされる危険性も大幅に減ったな」
「もうこれ、シロキさんだけで解決できるんじゃないですかね」
アドがあきれたように言う。
「そんなことないぞ。俺は警戒心がない後ろからぷすっと刺されて終わりだぞ」
誇張表現でもなんでもなく、平和な日本で三十年過ごしてきた俺には警戒心というものは足りていない。それを自覚しているからこそ、危険度の高い依頼を避けているだけだ。
「だから、アドには奇襲に備えてもらう。アドなら危険察知できるだろ。頼りにしてるぞ。これで今回の事件に対する備えは完璧だな」
「はい。がんばります。あ、でも……」
「でも?」
「そうすると、シロキさん何もしてないですよね?」
「……事件の間の料理は任せろ!」
俺にはそれくらいしかできそうになかった。
ようやく精霊たちが出てきました。




