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第28話 敵

GW後になるといいつつ、投稿。

予約投稿なだけです。ええ。


 アドと共に走り、行き付いた場所は村の北側にある畑だった。

 元あるトマト畑を俺が耕し広げた場所であり、見なれた場所だ。

 そこでようやく、何かいるのに気づく。

 風もないのに茎が揺れ、葉が音を立てている。

 だが敵の姿を確認することができない。

 畑の中に入ればトマトの蔓とそれを支える支柱が邪魔して自由に武器を振るえないし、二人掛かりで敵と戦うことはできない。

 相手が何者なのか見えないのも不安だ。

「かなり小型の魔物のはずです。人型の魔物ならさすがに隙間から姿が見えないとおかしいですから」

 確かに小型でなければ、村の外周を囲う柵を超えるのが大変なはずだ。アド位の小柄で凹凸のない体格をしていても柵をの隙間を抜けることは難しい。

 逆にそれ以上に小さいのであれば柵の隙間を抜けることができる。

 小型の魔物であるならば、危険性は少ないか。街中ではなく畑にいたことからも肉食ではなく、雑食や草食動物の可能性が高い。

「俺が中に入る。敵の正体がわかるか、俺がやばそうだったらギルドに助けを呼んでくれ」

「ちょ! 何でそうなるんですか」

「盾のある俺のほうが時間を稼げるし、お前のほうが人を呼びに行くのは速い。大体俺は言葉が通じない」

「それはそうですけど」

 それに畑の中ではアドのスピードは生かせない。

 そもそも、俺と二人だけでこの場に来たのは、何がいるのか、そもそも本当に何かいるのか確信できなかったからだろう。何かいると分かった以上、さっさと助けを呼ぶべきだった。

 畑からこちらは丸見えで、すでに警戒されているはずだ。

 ゆっくりと畑に足を踏み入れると、月の光が遮られる。

 畝の間を進んでいく。暗がりの先には何もいない。

 いや、畝の間に大きな石のようなものが転がっていた。畑から大きな石は除去されているはずなので不穏に思い、歩を進めたところで、左側から砂を踏みしめる音が響いた。

 視線を向けた先、トマトの葉の影から見えたのは同じような大きな石。だが、そこには二つの光るものがあった。

 とっさにその石に盾を向ける。

「った!」

 瞬間、盾に衝撃が走る。盾の向こうに先ほどの石が見える。ただしその石に手足がついていた。

「犬かっ!」

ブルドッグのようないかつい顔が、丸い胴体の上に乗っていた。ほとんど黒い毛におおわれているが、胸のところにだけ白い毛が生えていた。犬種に詳しくないが、ただのブルドッグなわけがない。

 はじかれた勢いを利用してそいつは畝を挟んだ向こう側に消えていく。

「プチコボルトです! 硬い体に注意してください!」

 アドからのアドバイスが飛び、同時にアドは走り去っていく音が聞こえる。

 迷わずに行ってくれて助かる。

 アドが下手に入ってきていた場合、俺が後ろに下がれなくなっていた。

 相手の不意打ちを防ぐことができたが、相手は複数いる。

 足を止めて迎え撃つのは不利だと判断し、走る。

 その先にいるのは最初見つけた石、もといプチコボルトだ。 

 足を踏みしめ、一瞬の溜めのあと体当たりを繰り出して来た。

 そのプチコボルトが笑ったような気がした。たとえはじかれても姿勢を崩せば十分。左右から追撃を仕掛ければそれで終わりだと。

 対して俺は盾を構えたまま突撃する。

 盾とプチコボルトが接触した瞬間、

「ぎゃふぅ!」

 低いプチコボルトの泣き声が響いた。

 俺は姿勢を崩すくとなくそのまま畝の間を走り抜け、月明かりの元に躍り出る。

 そこには盾で弾き飛ばしたプチコボルトが力なく倒れている。

 容赦なくその体に刃を突き刺しとどめを刺す。

 周りには畝が広がり、先ほどよりも視界が開けている。

 それゆえに畝に隠れるプチコボルトの数が分かる。

「ちっ! 十体以上か!」

 数が多いというのは厄介なことこの上ない。

 動き周って的を絞らせないくらいしか打つ手がない。幸い、畝が邪魔して低い軌道の体当たりをコボルトはできないので軌道は読みやすい。

 そのプチコボルトはというと、こちらを警戒してか、距離を置いたまま動きを止めていた。


   ☆


 side プチコボルト

 なぜ?

 とプチコボルトは驚いていた。

 プチコボルトの体当たりは重い。そして体は硬い。

 最初の不意打ちで仕留められなかったのは痛かったが、この人間はさして強くなかった。

 不意打ちこそ止められたものの、姿勢を簡単に崩すことができた。

 体当たりを完全には止められない。ましてプチコボルトの硬い体に攻撃を通すことなどできないとはずだった。

 だというのに、たやすく弾き飛ばされ、貫かれた。

 全く強いように見えない人間の雄を脅威とみなす。

 しかしコボルトたちは戦うことを選択する。

 目の前にあるエサを置いて逃げるわけにはいかなかった。


   ☆


 side シロキ

 コボルトを容易くはじき、貫けたのは理由がある。

 単に肉体強化の魔法を俺自身にかけただけだ。

 攻撃のタイミングを容易につかむことができたし、隙が大きかったから、どちらも短時間の強化で魔力の消費を抑えることができた。

 しかし今の状況はまずい。

 囲まれていれば、不意打ちを食らうし、距離を取られれば強化の時間を伸ばさなければ攻撃が届かない。畝を越えようとすれば隙ができる。

 厄介な状況だった。

皆さん良いGWを!

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