第27話 異変
今回はアド視点から。
ゴコウさんが朝一で村を出て行って、シロキさんはというと。
「さて、畑仕事畑仕事」
いつもどおり畑ジャンキーでした。
「いやいや、店番頼まれてましたよね! なんで積極的に店から出てくんですか!」
「畑仕事って言ってもゴコウさんの畑の虫取りだけ、客が来たらいつでも戻れるから大丈夫」
確かに畑から店への道はよく見えるから客が来れば確かによく見える。
「ということで畑畑」
いや、ほんとにこの人なんでこんなに畑好きなんですかね。
そして畑仕事を切り上げた後も、
「中級ポーションもダメだな。酒ポーションでも作ってみたらむしろだせるか」
などとつぶやきながら、ポーションを作り、
「そういえば魔物ってどんなのがいるんだ?」
などと雑談をし、
「アド、ケーキをそんなに口いっぱいに頬張るんじゃない。リスみたいだぞ」
などと昼食とデザートを食べ、
「勝てん、やっぱ盾なしだとアドのほうが有利か」
などと稽古をし、
「いて! 脛蹴るな。俺が何したってんだ」
晩御飯を食べ。
「じゃ、アドお休み」
いつも通り床に就いた。
……手を出されないのは信頼できていいんですが、なぜかむかつきます。
私も一応成人した女性なので少しくらい、すこーしくらいは女として見てくれてもいいんじゃないでしょうかね。
牛串屋のピアちゃんの胸に視線が行っていたのでなおのことムカつきました。
脛を蹴ってやりましたが私の気持ちは欠片もわかってないようでした。
悔しい気持ちを抱え、眠りにつきました。
☆
side シロキ
昨日からアドの様子がおかしい。具体的に言えばゴコウさんが出て行った直後からだ
一日様子を見てみたのだが変わりないようだったので畑に出る前に直接聞いてみた。
「昨日からどうしたんだ? なんか変だけど」
なんか変。そんな風にしか俺には形容しがたい様子だった。
どこか集中力が欠けていたし、よく俺を見ていた。
同時に、俺から意識的に距離を置いているようにも見えた。あとなぜか晩御飯中に脛を蹴られた。
これを惚れられただのと思うほど俺はアホではない。
惚れたときにそういった挙動をする可能性はないわけではないが、そんな状況であったならば、ゴコウさんが出ていく前からその兆候があってもおかしくない。
だから聞いてみたのだが、
「シロキさんって私に興味ないんですか?」
うん、アドが何を言っているのかわからない。
「いや、興味ないわけではないが、なんだ急に」
「いえ、ゴコウさんが町に行って二人っきりになったっていうのに全く私のこと気にした様子がないので」
「気になったと」
なるほど、全く気付いてなかった。
まあ、気づいたからと言ってアドに手を出そうとは思わんのだが。
アドにも女のプライドがあるのだろう。
とりあえず理由位は言ったほうがいいのだろう。
「アド。俺の元いた世界には、俺と同じ人の種族しかいないわけだ」
「そうらしいですね」
「となると、みな一律に成長するわけで、成人すると大体百五十五センチくらいになる。小さくても百四十くらいか?」
記憶があやふやだが大体そんなもんだったような気がする。ちなみにこちらの世界に合わせて十五歳くらいを成人として言っている。
「で、アドの身長は?」
「百三十です」
やはり小さい。下手したら小学生くらいの身長か?
「俺の元いた世界だと、お前くらいの身長だとまだまだ体が成長途中だから、そういう対象にならないんだよ」
「ううぅ。もう成長期はほとんど終わってます。シロキさんを悩殺するのはもう無理なんですね」
「俺を悩殺したいのかよ」
「いえ、全然」
「だろうな」
ただ単純に女のプライドが傷ついていただけだった。
「じゃ、今日も一日頑張りますかね」
☆
そしてその夜。俺はというといつも通り眠りについたのだが。
「シロキさん。シロキさん起きてください」
「んぁ? 夜這いか? アド」
「そんなわけないじゃないですか」
まじめな声色に茶化すのをやめる。
「どうした?」
「外が、おかしいです」
「おかしい?」
俺には何もわからない。いつもと変わりのない夜にしか思えない。
アドも何がおかしいのかわかっていないのか歯切れが悪い。
起き上がり窓に近づいてみる。だが、外を見てもきれいな月が空にあるだけでやはり普通の夜だ。
「たぶん……魔物がいます」
「了解。すぐに準備をする」
「信じてくれるんですか?」
アド自身、自らの感覚が正しいのかどうかあやふやなのだろう。
「何もなきゃ、それに越したことはない。何かあるなら寝てる場合じゃないしな」
急いで装備を整え、外へ出る。やはり俺には何も感じない。
アドは何か感じ取ったのか、村の北側へ。
やばい魔物じゃなきゃいいんだが。
相変わらずアド視点もシロキ視点も短いです。いつかアド視点を加筆するかもしれません。
あと、とうとう牛娘の名前が登場。ピアちゃん。
ビア(beer)ではないですよ。




