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第17話 対ゴコウさん

 アドと共にゴコウさんと相対する。いつでもかかってこいと余裕のゴコウさんを前にして。

 さて、どうするか。

 正直、コテンパンにされるのにも飽きてきた。というか、何度も女の子の前で叩き潰されるのは精神的にきつい。

 それがちっこいアドでもだ。

「少し切り札を切るとするか」

「切り札?」

「まあ、魔法だな」

 これまでのゴコウさんとの訓練では魔法を使っていなかった。

 アドがゴコウさんに魔法を使っていいか聞く。

「使っていいそうです」

「じゃあ、アド任せた」

 これまで使いたいと思いつつ、今朝まで使うことができなかった魔法を使わせてもらおう。


「じゃあ、行かせてもらう!」


 叫びに乗せて魔法を発動、アドの目には何も映っていないだろう。

 だが、ゴコウさんは一瞬驚きを見せる。

 発動した魔法は攻撃魔法ではない。

 ただの『念話』だ。

 これまで意思疎通の魔法をどうにかしようと試してみたのだが、うまくいっていなかった。だが、昨日鑑定の魔法を使ったとき魔力を多く使うことで発動することができたことを思い出し、ほかの魔法も魔力が必要量に足りていないことで発動しなかった魔法があるのではないかと思い至ったのだ。そして今朝試したところ成功した。ちなみに相手はシャンディー。

 ゴコウさんは一瞬だけこちらの声に驚きを見せたもののすぐに持ち直す。ただの念話でしかないから当然だ。

 ゴコウさんとの距離が詰まる前にさらに火の魔法を発動。俺に先行して三つの火の玉が飛ぶ。

 ゴコウさんは余裕をもってそれを迎える。ゴコウさんからすれば、この程度の魔法児戯に等しい。手加減をしていようと避けるまでもなく、間合いに入った火の玉は木刀で払える。

 それは俺もわかっていた。

 ゴコウさんの間合いに入る直前に火の玉の魔力を操り、炎をさらに三分割、合計九の炎として繰り出す。

 さすがにこれには驚いたのか、ゴコウさんが振るう木刀が手加減抜きで振るわれ、火の粉となって散る。

 一瞬で炎は消し飛び俺は丸裸にされる。

 もはやゴコウさんの間合いに入った俺は格好の獲物。大きく振りかぶった俺の攻撃が振り下ろされる前に、余裕を取り戻したゴコウさんの攻撃が俺の脇腹をとらえた。

 ゴコウさんの木刀にもたれかかるように俺の体は崩れ落ちる。

「行けアド」

 

   ☆


 side アド

 シロキさんはよくわからない人だ。

 依頼に応じてようやく私が到着したとき、私をおいて畑に行ってしまった。いきなりおいて行かれた私はどうすればいいというのか。

 高価な解体用のナイフをあったばかりの私にいきなり渡すなんていうことを平然としてしまう。警戒心のない人だった。

 落ち込んでいるところに、いきなりケーキをぶつけてくる人だ。

 訳が分からない。本当に訳の分からない人だ。

 そして、ただ一言。

「じゃあ、アド任せた」

 訳の分からない何気ない一言だけ。

 それだけの一言に私は動かされた。

 その意味は分からない。だけどその言葉に答えようと思った。

 何も言わず、飛び出したシロキさんを必死に追いかけた。

 その言葉の意味が分かったとき、木刀を振るっていた。

 私はシロキさんに答えることができたのだろうか?

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