第13話 冒険者ギルド&マイステータス
そうして装備を整えたことでようやく冒険者ギルドに向かった。
「ここかぁ」
ギルドの建物の目星はついていたのだが、ため息が出る。酒場で暴れていた男たちが入っていく建物のため、あまり近づかないようにしていた場所だ。
建物自体はかなり三階建ての敷地面積の大きな建物だ。ほかの建物のほとんどが二階建てということを考えるとかなり大きな建物なのだろう。ただ、貴族の屋敷っぽいものはさらにデカく別格なのだが。
アドを先頭に入っていく。
中は外観と比べると狭かった。狭いというのは語弊があるか。俺の予想よりも機能が詰め込まれているため、狭く見えるのだ。
ギルドの受付と思われるカウンターとその横に張り出されている掲示板あたりは予想内。
だが、それ以外に酒ビンが置かれた別のカウンターがあり、テーブルがいくつも置いてある。そのほとんどのテーブルが隅に寄せてあるのだが、夜には広げて酒場にでもなるのだろう。というか、今現在テーブルを広げて飲んでいる男たちが何組かすでにいる。お前ら、仕事はいいのか? あとギルドで酒場とはいいのだろうか。ちなみに酒をのでいるのはゴコウさんに絡んだ冒険者たちだ。お前らあの後酒場で見ないと思っていたがこっちで飲んでいたのか。
アドが受付で何やらカードのようなものを見せている。そして受付嬢が何やら行ったところで男たちがこちらをみて笑いだした。
「どうした? 何かあったのか?」
「……いえ、私の問題です。あとで説明しますから、先にシロキさんの登録をしてしまいましょう」
説明を受けながら名前などを書いていく。ちなみに漢字である。
アドが代筆という手もあるらしいが、確実なのはやはり本人の文字ということで、書いている。
日本語が浸透していないもののそういう言語、文字があることは知られているので、問題ないそうだ。ただ、フリガナのごとくアドがこちらの文字をあてている。
「これで申請書のほうが出来上がりました」
「これで俺も冒険者でいいのか?」
「いえ、これから適性を調べて、冒険者カードを発行して終わりです」
「適正なんて調べれるのか?」
「ええ、魔法で鑑定すればいいだけですから」
「そんな魔法もあるのか」
俺は属性魔法しか試してなかったな。そういうものがあるなら俺も試してみよう。
「あまり使えない魔法なんですけどね」
「ずいぶん使えそうな気もするんだが、何か問題でもあるのか?」
「日常的に使うには魔力を大量に使う上に、必ずしも正確に出せるわけじゃないんですよ。例えばシロキさんは先ほど農作業をやってきて疲労がたまっていますよね。そういうことを考えると攻撃値が少々下がっていると思います」
「なるほど。最大値というより現在値を調べる魔法か」
「ええ、基本的に相手の動きや魔力の量を“観察”する魔法なので、最大値を見るのではなくて、見た時の状態を調べるものです。使い手の能力や知識にも大きく左右されますよ。」
「あてにしすぎるのは禁物なわけだ」
「ええ。熟練度が上がると、正確性も高まりますし、最大値なんかもわかりますよ。ですけど役に立たないのでほとんどの冒険者は使いませんよ」
だが自分で試してみる価値はある。
自分自身を魔力によって観察してみる。目に魔力を集中すればいいか?
試してみるが発動しない。
もう一度魔力を多めに使って発動してみる。するとぼんやりと文字と数字が浮かんだ。地味な魔法だな。
んで、俺の鑑定結果はというと。
名前:シロキ
種族:人間
状態:通常
LV:1
HP: 50
物理攻撃:100
物理防御:50
魔法攻撃:290
魔法防御:60
速度:65
運 :80
低いのか高いのかよくわからない。ただ、先ほどアドの言った攻撃が物理攻撃となっている。たぶん俺の認識の問題だろう。魔法攻撃があるならただの攻撃より物理攻撃のほうが俺にとってわかりやすいからこうなったのだと思われる。
しかし低いな。HP物理防御魔法防御が軒並み50程度つまり耐久性は紙であるといっていいな。しかも速度も低い。
反面魔攻が高い。魔法使いタイプで固定砲台をするべきだろうか。
あと重要なのはレベル1ということか。これはまた期待できる。何しろ、まだ成長できるということだ。いや、俺の思い込みでレベル1認定している可能性がある。
では、受付嬢さんの鑑定を受けた結果はいかに。受け取ったカードには俺の直筆のサイン以外に何も書いていないが、使い方がわかる。鑑定してみればいいのだ。
名前:シロキ
種族:人間
状態:通常
ギルドランク:E
LV:1
HP:45
攻撃:70
防御:45
火魔力:60
水魔力:0
土魔力:0
風魔力:0
光魔力:50
闇魔力:10
魔法耐性:65
速さ:60
おお、俺より詳細に出ているな。属性魔力で分けて出しているわけだ。
……ちょい待てや。俺のHPや防御が少し低いのは別にいい。誤差の範囲だ。 魔法耐性がプラスだし誤差の範囲だ。あといくつか0なのも置いておく。適性のないのはすで試しているので知っている。
だけど、魔力のほうが誤差ありすぎね?
俺の鑑定では魔攻290あったのが、受付嬢の鑑定では属性総合計で120しかねえ。
ちょいと俺自身鑑定しなおすか。
HP:50
物理攻撃:70
物理防御:50
火魔力:65
水魔力:0
土魔力:0
風魔力:0
光魔力:20
闇魔力:10
雷魔力:35
草魔力:0
その他:100
魔法防御:60
速さ:65
運:80
……だいぶ変わったな。
光魔力が減ってその分雷に振り分けてあるんだろうな。あとその他ってなんだ、その他って。雑にもほどがある。
たぶん、これは認識の問題か。受付嬢は雷も光魔法の一種と思っているからこうなっている。
俺としては全く別物だと分かっているから、分けているわけだ。
そして魔力量の中で属性に相当させるものがないのがその他にあたるのだろうか。最初の情報より魔力の合計値が少なくなっている。理由を確認するために再びステータスを確認してみると、その他が50となった。
うん、一度の鑑定にその他の魔力を約50使うわけか。
となると、俺自身を鑑定したのは3回。合計150使ったわけだ。大体その他は200程度か? あ、カードも鑑定をしたから250程度か。
今の俺には合計5回しか使えない。確かにアドのいう通り頻繁に使うことはできないようだ。
しかしまあ、これでいろいろ納得できた。
最初に鑑定した魔法攻撃290というのはかなり恥ずかしい鑑定結果だ。魔力はあちらの世界でいうところのMPでしかないわけだから、攻撃力とはべつものなのだから。
これまで魔法の練習をしてきたが、火の魔法が使えなくなった後、雷の魔法が使えたのも思い出した。だからこその属性別表記なのだろう。
記憶を頼りに、魔法の威力と回数を算出してみる。
修行の成果で、今の俺はあちらの世界で人を殺傷できそうなレベルのファイアーボールが3発作り出すことができた。
雷撃系は同じくらいの魔力を込めて2発。
合計5発しか殺傷系の魔法を使えない。そうなると魔法使いタイプなんて言うのも全くの勘違いだな。
こちらがいろいろ考えている間、アドは受付嬢さんの話を代わりに聞いてくれている。わざわざ聞いてくれてありがたい。
しかしまあ、部屋の隅で酒飲んでいる男たちがうるさいな。こっち見て笑うなよ。俺たちゃ、酒の肴じゃないぞ。




