第三十九話 最後の確認
「なんだか、まー君のために協力してあげてもいいんじゃないかなって思えてきちゃった。思っていたよりもいい人だし、お姉ちゃんもそう思うよね?」
「うん、そう思うよ。ゆいちゃんのおならもごまかそうとしてくれたしね」
「もう、そんなに何度も言わなくてもいいのに。もしかして、お姉ちゃんってわざとおならとか言ってないよね?」
「全然そんなつもりなんて無いって。ゆいちゃんが凄くおならをする人だって印象付けようとなんてしてないし、まー君だってそんなこと気にしてないと思うからね」
「お姉ちゃんが言わなければまー君だって気にしなくなると思うよ。そうやって何回も言っちゃうから覚えちゃうんだと思うよ。だから、もうそんなこと言わなくていいんだからね」
「わかったよ。ゆいちゃんがおならをしたってことはもう言わないでおくね。その方がみんなのためにもなるってことだもんね」
「お姉ちゃん!!!!」
ほほえましいやり取りと言ってもいいモノなのか、少しだけギスギスしているようにも感じたのだが、ゆかとゆいの表情はとても柔らかく変なわだかまりなんて無いように思えた。
と言っても、二人の胸のうちはわからないのだけれど、まー君にはいつもと変わらず仲の良い二人に見えた。
「じゃあ、もう一度聞くんだけど、まー君は私とゆいちゃんのお尻にホクロがあるって思ってるってことでいいんだよね?」
「うん、あの質問の仕方だとそういう答えになるかな。俺はそれで間違いないと思うよ」
「なるほどね。そう言うメタ読みをするタイプなんだね。私もお姉ちゃんもちょっと意地悪な感じになっちゃったかもしれないけど、答えは変えなくてもいいってことで大丈夫なのかな?」
「うん、今更変えたところで正解になるかもわからないしね。それだったら、自分の直観を信じることにするよ」
「そうなんだ。ちなみにだけど、私かお姉ちゃんのどっちかにしかホクロがないって場合は不正解になるからね」
「二人ともお尻にホクロがない場合も当然不正解になるってことも理解しているよね?」
「もちろん。それくらいは理解しているよ」
「それじゃ、答えを決める前に一つだけ質問させてもらうんだけど、まー君は今までにお尻にホクロがある人って見たことあるのかな?」
「もちろん、この世界だけじゃなくて何度もやり直した世界の人達全てを思い出してくれていいんだからね。その中に私たちがいたかはわからないけど、大きなヒントになるんじゃないかなって思うんだよね」
今までのことを思い出そうと必死に記憶をたどっているまー君であったが、人のお尻を見たという記憶をピンポイントで思い出すという事は案外難しいモノであった。
そもそもとして、お尻をそこまでじっくりと見た記憶もないしホクロがあるかどうかなんて注目したこともない。何人かあったような気もするのだけれど、ほとんどの人のお尻にホクロなんて無かったような気もする。そう考えると、ゆかとゆいのお尻にもホクロはないのかもしれないという事になってしまうのだが、問題に出すという事は自分の答えの反対になるようにしてくるのではないかと思ってしまう。
二人のお尻にホクロがあるという問題は“はい”か“いいえ”で答えるには平等ではなく不公平な問題なのだ。二人のお尻にホクロがあると聞かれて“はい”の場合は二人のお尻にホクロがあるという結果でしかないのに対して、“いいえ”の場合は二人ともお尻にホクロがないという場合だけではなくどちらか片方のお尻にだけホクロがあるという事でも正解になってしまうのだ。単純に考えれば“いいえ”の方が正解率が高くなると思うのだけれど、こんな問題を出すからには答えが“はい”になっても間違いではないと思えてしまうのだ。
もちろん、理由はそれだけではないのだけれど、色々と考えた結果その答えにたどり着いたと言ってもいいだろう。こんな不平等で不公平な条件を問題にするという事は、答えは確率論で測れないという事なのだとまー君は考えたのだ。
「まあ、これはいろんな意味でサービス問題なんだけどね」
「そうだよね。お尻を見せてあげるってだけじゃなく、ゆいちゃんのおならも聞けたってのがサービスになるよね」
「ねえ、お姉ちゃん。もう、おならの話はしないでって言ったよね。それ以上言うんだったら、本当に怒るよ」
「ごめんごめん。そう言うつもりじゃなかったんだよ。ちょっとした冗談のつもりだったってだけだから、そんなに怒らないでね」
「本当に次はないからね。じゃあ、答えを確かめるにはパンツを脱がないといけないんだけど、まー君はどっちのお尻から確かめたいかな?」
「どっちって言われても、さっきから言ってる通りゆかちゃんからでお願いします」
「そっか、結構頑固なんだね。まあいいや、じゃあ、お姉ちゃんから脱いでもらっていいかな?」
「うん、わかったよ。でも、一人で脱ぐのってなんだか恥ずかしいんで、まー君にも手伝ってもらっていいかな?」
「手伝うって、俺は手を使えないんだけどどうすればいいのかな?」
「さっきやろうとしてたみたいに、紐を口でくわえて解いてくれたらいいよ」
「なんだか恥ずかしいけど、やってみるよ」
ゆいが見守る中、まー君はゆかのパンツの紐を口にくわえてゆっくりと顔を後ろにずらしていった。




