第三十四話 前はちょっと恥ずかしいかも
パンツについているリボンをくわえて脱がしてしまえと言われても、四つん這いになっている状態ではパンツのリボンなんてお腹で隠れて見えやしない。見えたとしても、この状況でパンツのリボンをくわえるなんて無理だろう。そんなことは出来るはずがない。
それならば、当初の予定通りにパンツの紐をくわえて引っ張って結び目をほどいてやればいいという事になる。そんな簡単な事なのに、まー君は色々と考えてしまって動けなくなってしまっていた。
パンツの紐をくわえて引っ張るだけでいいはずなのに、一度口を離してしまうともう一度チャレンジしようという気持ちがわいてこないのはなぜだろう。
最初は何も考えずに勢いだけで行けた一度目とは違い、今はいろいろと余計なことを考えてしまっているから躊躇してしまうのか、まー君はどうして先ほどのようにゆかのパンツの紐をくわえることが出来ずにいた。
「そういう風に焦らすのは良くないと思うよ。こっちまで緊張しちゃうじゃない。ねえ、そんなに考えちゃってるなら、ゆいちゃんの方から先にしちゃってもいいんじゃないかな?」
「そうだよ。お姉ちゃんの言う通りで、私の方から先に脱がしちゃえばいいじゃない。ほら、私のパンツなら簡単に紐が解けちゃうと思うよ」
やたらと順番にこだわるので何かあるのだろうと考えているまー君はゆかから先に脱がせた方が良いんだろうと思っているのだけれど、今の精神状態では素直にゆいの言葉に従った方が良いのではないかとも思っている。
何もなければゆいを信じた自分が正しいと思えるだろうし、何か罠があったとしてもゆいの言っていることを素直に聞いた自分は人として間違っていないと思えるだろう。
ゆいの言っていることに従う事で、自分は悪くないんだという気持ちになれて、乱れに乱れ切っている自分の心も少しは平穏に近付くかもしれないと思っていた。
だが、当初の予定通り自分の気持ちを信じてゆかから脱がせて何もなかったとしたら、自分の考えを最後まで信じ切ったという自信が生まれてより成長してしまうかもしれない。そう考えると、自分の気持ちを最後まで貫き通した方が良いのではないかと思えるのだ。
しかし、ゆかのパンツの紐に何らかの罠が仕掛けられていたとしたら、まー君の精神は今以上に蝕まれてしまうのかもしれない。
「何か凄く心配そうな顔をしているみたいだけど、お兄ちゃんに一つ重要なお知らせをしてあげます。私もお姉ちゃんも今日は買ったばかりの新しいパンツをはいているのです。お兄ちゃんに会える時のために勝っておいた新しいパンツだからね」
「変態なお兄ちゃんは普通にパンツを脱がせるんじゃなく、凄く変態チックな感じで脱がせるんだろうなって思ったから紐パンにしたんだよ。でも、パンツを脱がせる前にお尻の穴に指を突っ込まれるとは思わなかったな。そこまで進んでる変態だとは思わなかったよ」
何か色々と言い返したいことはあったのだが、今は二人に反論することよりも自分の精神を立て直す方が優先だとまー君は考えた。考えた結果、いったん休憩をとることにした。
二人から目を逸らして壁の方を向くと、気持ちが落ち着くまで何度も何度も深く深くゆっくりと深呼吸をしていた。途中で何度か話しかけられもしたのだけれど、それに答えることもなく深呼吸を続けていた。
そろそろ心も落ち着いてきたと思ったのでゆっくりと振り返ると、思わず叫んでしまいそうなくらいまー君は驚いてしまった。ただ、まー君の心臓は尋常ではないくらいの速さで鼓動していたのに表情も態度もいたって冷静なように見えていた。内心は凄いことになっているのだけれど、それを外面には出さずに乗り切ろうとしていた。
まー君が振り返った時、ほんの数センチの距離にゆかとゆいが立っていたのだ。
「もっと驚くかと思ったのに残念だね」
「史上最高の再挑戦者であるお兄ちゃんはなんだかんだ言って凄い人なんだよ。改めてそう感じちゃった」
「でも、近付きすぎちゃったってのはあるかもね。もう少し離れていたら結果は違ったかもしれないよ」
「そうかもしれないけど、あんまり離れすぎたら意味無いよね。逆に、もっと近づいてチューしちゃえばよかったかな?」
「その時はチューじゃなくて頭と頭がゴッチンコになっちゃうかもよ」
「ゴッチンコはちょっと嫌かも。痛いの好きじゃないし」
本当は凄く驚いて声も出なかったんだよ。なんてことは口が裂けても言えやしない。言ったとしても信じてもらえないだろうし、信じてもらうために何か努力をするつもりもない。今のままでいいとまー君は考えた。
「さっきの体勢じゃリボンをくわえられないと思ってお姉ちゃんに立ってもらってるんだけど、私のパンツの紐からほどきたいって言うんであれば、私はいつでも四つん這いになってあげるからね。それとも、私もたったままの状態でいた方が良いのかな?」
「パンツのリボンをくわえるのは良いんだけど、あんまり他のところに触らないでほしいかな。お尻だったら平気だとしても、前はちょっと恥ずかしいからね」




