第二十八話 お尻の真ん中を
まー君はゆかとゆいがパンツ丸出しのまま座ったり立ったりを繰り返しているのをじっと眺めていた。
そんな二人を見つけていると、まー君の鼻息が少しだけ荒くなっているのだ。でも、そのことを誰も気にしていなかった。
それが演技だという事をわかっていたから。
さて、これからどうすればいいのだろう。なんて考えていたまー君のことをあざ笑うかのように、ゆかとゆいは椅子に座って足を開いてみたり、椅子の座面に片膝を乗せてお尻をアピールして来たりしていた。
まー君の目には子供が無邪気に遊んでいるようにしか見えないのだけれど、そんな事を口にしてしまってはありえない程の不幸が待っているという事をわかっているので何も言えない。言わなくてもいいことは、極力口に出さないように気を付けることにした。
「お兄ちゃんは私とお姉ちゃんのこと、どっちを多く見てるんだろうね?」
「そんなの決まってるでしょ。お兄ちゃんは私の事ばっかり見てるよ」
「ええ、なんでそう思うのかな?」
「だって、お兄ちゃんは私の方ばかり見てるんだもん」
「そういう説もあるかもしれないけど、お姉ちゃんがチラチラとお兄ちゃんを見た後って気まずそうに私のことを見てるんだよ。ってことは、結果的にはお姉ちゃんの事よりも私のことを見てる時間の方が長いってことじゃないかな?」
「そんなことないと思うけど。ねえ、今のお兄ちゃんってどっちの方を見てるかわかる?」
「わかんないかも。二人同時に振り返ってみようか?」
一二の三で振り返った二人の目に飛び込んできたのはまー君が顔を上げて天井を見ている姿だった。
何か天井にあるのかと思ってつられて顔を上げた二人が見たものは、特に何の変哲もないごくありふれた天井であった。
なぜまー君が顔を上げて天井を見ていたのか。その答えを聞くことはなかったので理由は不明だが、特に聞くまでもないと判断したのは間違いではなかったのかもしれない。
二人が自分のことを見ているという事に気付いたまー君は何かを取り繕うでもなく自然な感じで二人に話しかけてきた。
「そろそろパンツを脱いでお尻を見せてもらいたいんだけど、準備は良いかな?」
「準備とかないけど。これ以上自分で脱ぐことはないんで期待しないでほしいな」
「私もお姉ちゃんもここから先はお兄ちゃんにお任せするって決めているからね。ほら、そのお口で私たちのパンツをくわえて脱がせてもいいんだからね」
「いやいや、そんなこと言わずにお願いします。口でくわえて脱がすなんて、そんなことできないって」
「私たちなら平気だよ。ほら、くわえやすいようにリボンもついてるんだし、ちょっと勇気を出してくれたらいいんじゃないかな」
「普通のパンツじゃ脱がせにくいって言うんだったら、紐パンにはき替えてきてもいいんだけどね。お兄ちゃんはどっちがいいかな?」
「はき替えるんだったらそのままお尻だけでも見せてくれたらいいんじゃないかな。二人のお尻にホクロがあるか確かめることが出来ればそれでいいんだし」
「それって、私たちの体よりもホクロに興味があるってことなのかな?」
「もしそうだとしたら、私たちはちょっと悲しいことになっちゃうよね」
「そんなに悲しまなくてもいいと思うんだけど。何より、この問題を出してきたのは君たち二人なわけで、俺はその答えを確認したいってだけの話なんだよ。だからね、お尻にホクロがあるか確認させてくれたらいいってだけだよ」
「じゃあ、お兄ちゃんは私のお尻のどの部分にホクロがあると思っているのかな?」
「それを答えてくれたらその部分だけ見せてあげてもいいよ」
「どの部分って言われても、お尻はお尻としか言いようがないと思うんだけど」
「そうじゃなくて、具体的に言ってほしいな」
「お兄ちゃんから見て向かって左なのか?」
「それとも、向かって右なのか?」
「「もしくは、穴の近くなのか?」」
右か左か真ん中かという単純な三択のように思えるのだが、まー君が真ん中を選ぶことはない。クイズの答えとしては真ん中を選ぶことで同時に左右も確認することが出来ると思うのだが、真ん中を選ぶという事はまー君にとってとても難しい選択になってしまう。今までの経験を踏まえたうえで考えると、真ん中を選んだことで何かとてつもなく不都合な出来事に巻き込まれてしまうという事が予想できるのだ。
何より、こんないたいけな幼女二人のお尻の穴をみたいだなんて口が裂けても言えるわけがない。
別の世界に移動したところで、この記憶はまー君の中に一生残り続けてしまうだろうし、この世界の記録からも永遠に消えることはないだろう。
「お兄ちゃんが見たいって言うんだったら、パンツを脱いでお尻を広げて見せてあげてもいいんだよ?」
「お姉ちゃんだけじゃなくて、私のお尻も広げて見せてあげるからね。お兄ちゃんがそうしてほしいって言ってくれるんだったら、私たちはいつでも見せてあげられるよ」
クイズの答えを確かめるためだから仕方ない、言ってしまえ。
なんて気楽に考えて実行することが出来ればいいのだろうが、まー君はその一言を言うことが出来ずに悩んでいた。
お尻の穴を見せてと言えることが出来れば解決する簡単なクイズのはずが、その一言だけはどうしても言えずにいたのであった。




