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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
夜のちょっとエッチな時間

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第十八話 素直になれよ

 幼い少女の小さな手で握られていると、不思議と守らなくてはいけないんじゃないかと思えてくる。目の前にいる少女が自分より年上だったとしても、それは変わることがない。

 まー君はゆかとゆいに手を握られたままその場に座ると交互に二人を見つめてゆっくりと目を閉じた。


「お兄ちゃんはゆいと何をしたいのかな?」

「別に、これと言って特にしたいことはないかも」

「そんなに強がらなくたっていいんだよ。ほら、我慢しないで自分の心に素直になってみなよ」

「いや、本当にしたいことなんて無いよ。しいて言うのであれば、家に帰って寝ていたいかも」

「ちょっと、いきなりおうちに誘うのは反則だよ。でも、お兄ちゃんとだったら、嫌じゃないかも」

「えっと、君を誘ったつもりはないんだけど。俺一人で寝ようかなって思ってるよ」

「もう、そんなこと言ったらゆいは寂しくて泣いちゃうよ。お兄ちゃんはそれでもいいと思っているのかな?」

「うん、本当に泣いたんだとしたら可哀そうって思うよりも引いちゃうかも。俺よりも年上のお姉さんって言ったと思うんだけど。お姉さんなのに寂しくて泣いちゃうなんて、ちょっと無いかなって思っちゃうよ。でも、自称年上幼女が泣くところはちょっと見てみたいかも」


 まー君の発言にゆかはドン引きしていた。もちろん、ゆいの発言に対しても若干引いているところもあったのだが、それに対するまー君の返答は人としてどうなのだろうと思っていた。


「そう言うのは冗談でも言っちゃよくないと思うな。あんまり物分かりが良くないと、お仕置きしちゃうよ?」

「お仕置きって、体罰的な事?」

「体罰的なのもそうだけど、精神的にも苦痛を味合わせてあげちゃうかもしれないね」

「その程度だったらお好きにしていいよ。でも、その途中で泣いたりしないでね」

「な、泣いたりなんてしないわよ!!」


 傍観者の立場をとるゆかは二人のやり取りが楽しいなと感じていたので口を出すことはなかった。ところどころゆいから助けを求める視線を送られていたし、まー君からはそろそろ終わらせてほしいと言った感じの視線も送られていた。

 それらをすべて無視してゆかは優しく包み込むように見つめていたのだ。見つめるだけで、何も手を出すことはなかった。二人と手を繋いだままなので逃げることが出来ないのだから近くにいるのだが、出来る限り存在感を消そうとは努力していた。

 でも、ゆいはすぐに耐えられなくなってゆかに助けを求めてきた。


「お姉ちゃん、お兄ちゃんが自分の気持ちに素直になってくれないでゆいのことイジメてくるよ。助けてよお姉ちゃん」

「助けてよって、そんなの私には無理だよ。ゆいちゃん、私たちがお兄ちゃんと手を繋いでるってどういう意味か分かるよね?」

「うん、わかってるよ。お兄ちゃんは私たちの力で素直になって逃げだしたりできなくなってるってことでしょ。それくらいわかってるに決まってるじゃん」

「それだったらさ、お兄ちゃんがゆいちゃんの事を避けてるのも本心だってわかってるよね?」

「ああ、それは言っちゃダメなんだ。絶対に言っちゃダメなことをお姉ちゃんは入っちゃうんだ。まさか、ゆいのことを傷付けようとしてるんじゃないよね?」

「そう言うわけじゃないけど、ゆいちゃんが自分から傷を負いに行っているようにしか見えないよ。お兄ちゃんが再挑戦者(リプレイヤー)として凄い能力を持ってたとしても私たちの力には抗えないってのはわかってるんだし、それなのに自分が傷を負うような質問ばっかりしているのって、ゆいちゃんはマゾだったりするの?」


「……そんなわけないでしょ!!!!」


 怒ってしまったゆいがまー君から手を離そうとしたことに気付いたゆかはゆいの体を抱えたまままー君に抱き着いた。手を握らせれば問題ないところではあったけれど、興奮しているゆいを落ち着かせるためにはまー君を利用するのが一番だと考えたからだ。

 それ自体はゆかの思惑通りに行ってゆいの興奮は収まったのだけれど、まー君に急接近したことによって体も思考もフリーズしてしまった。

 傍観者に徹しておこうとしたゆかではあったが、まー君に最接近してしまったことでプランを練りなおそうと考えることにした。と言っても、これだけ近い距離にいて何かをするということも出来ず、固まったままのゆいを放置するわけにもいかず、三人で抱き合ったままの状態で経緯を見守ることにした。


 幸か不幸か、ゆいを挟んでまー君に触れていることになるので少しだけ落ち着いていられるのだが、順番が逆だったらどうなっていたかと考えると身震いしてしまった。

 依然としてゆいは固まったまま動くこともなく、まー君も二人を守るように抱きしめたまま目を閉じていた。


「あの、なんでまー君は私たちのことを抱きしめているんですか?」

「なんでって、君たちが困っているように見えるから守ってるだけだけど?」

「ここには私たちを襲うような敵とかいないんで守ってもらう必要ないんですけど。そもそも、ゆいちゃんを拒否したのってどうしてなんですか?」

「どうしてって、直感的に危険だと感じたからだけど。何となく、ゆいちゃんは裏がありそうだなって感じただけだよ」

「ゆいちゃんはって、まるで私は裏がないみたいな言い方ですよね?」

「そうなるかもね。でも、実際に君は素直そうだなって思ったよ。君一人だったら、俺の家に招待してもいいんじゃないかなかってことは、考えちゃったよね」


 その言葉を聞いたゆかは一気に血圧が上昇して気を失いそうになっていた。急激に上がった体温によって抱きしめられていたゆいも目を覚ましたのだが、まー君がゆかのことを誘っているという事実を知るまではおとなしくしていたのであった。

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