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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
夜のちょっとエッチな時間

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第十七話 幼女だけど警戒せよ

 まー君とゆかとゆいの三人の年齢を道行く人に聞いたとして、百人中百人がまー君の方が年上と答えるだろう。身長や言動など全ての面でまー君の方が年上だとしか思えないし、ゆかとゆいの年齢を足してもまー君の方が上なんじゃないかと思う人もいるかもしれない。

 だが、この世界における肉体年齢はゆかとゆいの方がはるかに上なのである。


「その見た目で俺より年上って、人間じゃなくて妖怪だとでもいうのか?」

「そうだよ。私たちは由緒正しき妖怪だよ」

「由緒正しきって言うけど、何の由緒もないし種族名だって無いじゃない。お姉ちゃんはすぐにそう言うこと言いたがるから勘違いされちゃうんじゃないかな」

「べ、別に勘違いされたりとかないし。私は人間を騙そうとしただけで、単純な人間はみんな引っかかってるだけだし」

「それって、お姉ちゃんがいつもまじめで真剣だから冗談だと思われてないだけだよ。ただの嘘つきってことになると思うんだけど、まー君はどう思う?」

「どう思うって言われても。よくわからないとしか言いようがないんだけど」


 本当に妖怪であるのならば年齢が見た目と比例していないという事もあり得るだろう。妖怪じゃなくてハーフエルフとか悪魔とかそういう種族なんじゃないかと少しだけ思っていたまー君は驚いていたが、妖怪と言われれば妖怪っぽいなとも思えるので深く考えないことにした。あまり深く考えても何も前に進まないと思ったからだ。


「それで、妖怪も零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の後釜を狙っているの?」

「そう言うことになるけど、それはあくまでも通過点でしかないわ。私たちには夢があるんだからね」

「そう、私たちには夢があるの」


 息ぴったりに言葉をそろえた二人だったが、最後のところで多少のずれはあった。でも、そこも子供っぽいミスだなとまー君は感じていた。子供っぽいと思ったけれど、本当は二人の方が年上なんだと思い出したけれど、見た目と言動を見ていると年下でいいんじゃないかとも思ってしまった。

 それを感じ取ったのか、ゆかとゆいはまー君ににじり寄ってゆっくりと手を伸ばしてきた。

 避けることは簡単だと思う単純な動きの二人だったのに、まー君が思っているよりも少し早く二人の腕が自分の手首を掴んできた。


「ねえ、今自分が思っているよりも早く手が伸びてきたって思ったでしょ?」

「お兄さんの感覚が現実とズレてきたって思ったよね?」

「それってどうしてだと思う?」

「お兄さんには理解出来ないと思うけど、どうしてだろうね?」

「理解しようとしたところで、今のお兄さんはそんな事を考える余裕もないんじゃないかな?」

「私たちが触れると、お兄さんは抵抗することが出来なくなっちゃうんだからね」


 二人の手を振りほどこうと思ったのに、次の瞬間には振りほどこうという気すら起きていなかった。掴まれた時から抵抗するつもりなんて一切なくなってしまっていたので、今の状況を受け入れてしまうまー君であった。

 そんな状況をゆかとゆいは楽しんでいたのだ。


「私たちに手を握られるのが嫌だったとしたら、手を離してくれてもいいんだよ?」

「それとも、お兄さんは私たちみたいな可愛い女の子の手を握るのが好きなのかな?」

「拒否しないってことは、私たちのことが好きだって受け止めてもいいんだよね?」

「じゃあ、私とお姉ちゃんだったら、どっちの方が好きなのかな?」

「え?」


 ゆいの質問に対して反応を見せたのはまー君ではなくゆかだった。なぜかゆかは握っていたまー君の手を離してしまっていた。

 そうなってしまうとまー君は再び自由を取り戻してしまうので、ゆいに握られていた手を優しく離して二人の束縛から逃れることに成功した。


「ちょっとお姉ちゃん。急に手を離しちゃダメでしょ」

「ゆいちゃんがいきなり変なことを言うからでしょ。そんな質問するなんて聞いてないよ」

「聞いてないって、別に質問なんて決めてなかったでしょ。それに、どうしてそんなにお姉ちゃんは動揺しているのよ?」

「べ、べ、別に動揺なんてしてないし。どっちかって言うと、お兄さんの方が動揺していると思うし」


 ゆかとゆいがまっすぐに自分のことを見ていると思った瞬間に警戒態勢をとったまー君だったが、動揺はしていなかった。


「いや、俺は動揺なんてしてないよ。どっちが好きかって言われても、二人のことをよく知らないから答えようもないし」

「その言い方は良くないと思うよ。私は良いけど、お姉ちゃんは気にしちゃうんじゃないかな?」

「な、何言ってるのよ。私も別に気にしてないし。ゆいちゃんの方が気にしてそうなんですけど」

「そんなことないんだけど。お兄さんもそう思うよね?」


 二人の動きを警戒していたこともあってまー君は伸びてきたゆいの腕を避けることに成功した。

 今までの失敗を踏まえ、自分が思っているよりもかなり早い段階で体を動かしたことで避けることに成功したのだ。避けること自体は成功したのだけれど、ゆいが動こうとした瞬間に避けたことで強烈な拒否反応を示してしまったようになっていた。


「そこまで嫌がられているとは思わなかった。ちょっとショックかも」

「今の避け方はちょっと無いかな。あんまりよくないと思うよ」


 二人から責められると自分が悪いことをしたようにも思えてしまい、少しだけ油断してしまった。


「今度は離しちゃダメだからね、お姉ちゃん」

「わかってるよ。ゆいちゃんも気を付けてね」

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