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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
人魔共闘の章

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第十八話 選手入場

 ブーイングを送られていたまー君とは違いかいりは拍手と歓声で迎えられた。

 しかし、拍手や歓声を送っている人たちは誰一人としてかいりがまー君に勝てるとは思っていなかった。小さな女の子をまー君が苦手とすると聞いたところで、勝てるどころか見せ場を作ることが出来るかどうかも心配になっていたのだ。

 なぜなら、先ほど見せた演武の時点で体力をかなり消費していたという事もあり、スタミナ面においてとても大きな不安があったからだ。


「さあ、まー君とは違って観客全員から暖かい拍手で出迎えられているかいりちゃんですね。零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんはかいりさんを見てどんな感想を抱きましたか?」

「そうですね。先ほどとは違ってしっかりと胴着を着こんでいるので気合が感じられますね。胸元に刺しゅうされているのはかいりさんの所属する流派の物だと思うのですが、ちょっとかすれすぎていて文字が読み取れないみたいですよ。下はショートパンツ丈の胴着なのは軽快な蹴り技が多いからか裾を掴まれないようにという対策なのかもしれないですね。小柄なかいりさんは体重も軽いと思いますし、相手に掴まれたら振りほどくのに体力を消費しちゃいそうですもんね」

「青色のタイツもいいですね。いや、そういう変な意味で言っているのではなくて、対峙したときに距離感がつかみにくいので蹴り技も当てやすくなるかもしれないですよ」

「へえ、そういう理由もあるんですね。天空の民さんはタイツが好きなのかと思っちゃいました」

「タイツを嫌いな男なんていないと思いますけどね。きっと、まー君も好きなんじゃないですか?」


 あまりにも熱烈に歓迎されて最初は戸惑っていたかいりだったが、持ち前のサービス精神を発揮してすぐに観客の声援にこたえていた。それを受けた観客たちはさらに熱を込めてかいりを応援することになる。

 その頃には、ほとんどの者がかいりならまー君に一矢報いることが出来るんじゃないかと錯覚をしてしまう程に贔屓してしまっていた。それだけの魅力がかいりにはあるという事なのかもしれない。


「観客のボルテージもさらに上がっていますが、この会場の雰囲気はかいりちゃんにとって追い風になるでしょうか?」

「なると思いますよ。個人的に精神論はあまり信じていないのですが、多くの人に応援されることでいつも以上の実力を発揮することが出来た。なんて場面は今まで何度も見てきましたからね。私も若いころに街の人達に応援されることで自分よりも格上の魔物を退けることが出来た記憶がありますからね」

「あの、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんより格上の魔物なんて魔王クラスになると思うんですが、魔王クラスがわざわざ街を襲いに来るんですかね。それって、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんの記憶違いなんじゃないですか?」

「いやいやいや、そんな事は無いですよ。本当に応援が力になったことありますから。天空の民さんもそんな経験ありますよね?」

「えっと、私は純粋な戦闘タイプじゃないんで応援されるような場面で戦闘を行ったことがないんですよ。あなた方人類がやるようなスポーツも経験ないですし、気持ちに寄り添えなくてすいません」


 舞台中央に立っているまー君に軽く会釈をしてから会場全域に伝わるように舞台の上をくるりと一周回ったかいり。それを何も言わずに見ていたまー君ではあったが、ずっとかいりの背中を見ていた事がのちの検証で発覚してしまった。その事からまー君は背中やお尻を見るのが好きなのではないかという考察がされたのだが、それは戦いとは何の関係もない話であった。


「かいりちゃんは会場全体に届くように舞台を一周回りながら観客にこたえてますね。これでより雰囲気も良くなったと思いますし、言ってみればかいりちゃんのホームゲームみたいな感じになってますよね」

「そうですね。この雰囲気をうまく利用して何とか爪痕を残してもらいたいですね(きっと何も出来ずに終わっちゃうんだろうけどな。そもそも、手足のリーチも差があるみたいだから攻撃が届くとも思えないんだよな)」

「今まで私たちが見てきた中でもこれほど周囲から愛され応援される人は見たことなかったですね。だからこそ、かいりちゃんはカッコいいところを見せてくれるんじゃないですかね(演武は綺麗だったけど実戦では使えなさそうなんだよな。それに、身長も体重も差がありすぎるからダメージ通らないだろうな)」

「お二人からのコメント通りになるとイイですね。実況の立場なので公平にしなくてはいけないことはわかっているんですが、応援したくなっちゃう不思議な雰囲気がありますね(二人が本当にそう思っているのか知らないけど、あんなに小さくて可愛らしい子には無理なこと言ってると思うんだよな。戦いじゃなくて、夜の攻防に回った方が良さそうだなんて言えないよね)」


 会場はかいりの応援一色になっていたのだが、時々思い出したかのようにまー君に向かってブーイングを飛ばしている者もいた。かいりを四回応援したら一度まー君にブーイングをするという決まりでもあるのかと思ってしまう頻度でブーイングが起こっていた。

 だが、まー君はそんな観客たちのブーイングなど気にも留めていないのである。

 むしろ、まー君のすぐ近くにいるかいりの方がブーイングの影響があるのではないかと思う様子が見られた。ブーイングが聞こえるてくると、少しだけかいりの表情がこわばっているのだが、それに気付いたものはまー君だけであった。


「ずいぶんお待たせしたような気もしますが、いよいよまー君とかいりちゃんの試合が始まります。かいりちゃんに勝ってもらいたいという気持ちはありますが、それは難しいことになるでしょう。でも、きっと私たちを驚かせてくれるような素晴らしい戦いを見せてくれるものだと信じています!!」

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