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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
天空と地上の章

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第五話 計り知れない魅力

 君の応援が私の力になる。それを体現するかの如くゆまの能力値は最初に観測された時よりも上昇していた。力を抑えていたというだけでは説明出来ないくらい巨大な力になっていたのだが、残念なことにまー君に対して通用するレベルとは言い難い程度の力でしかなかった。

 英雄として名を残せるほどの力を手に入れたと言えるのだけれど、それでもまー君の足元にも及ばないのは確実だった。

 それでも、何とかしてしまうのではないかと思わせるのは天空世界で修行中のかいり医らの快挙であった。


「たくさん応援されてるみたいだけど、ゆまちゃんはまー君と戦って勝てると思うかな?」

「今のまま普通に戦ったらゆまは勝てないと思うよ。でも、みんながたくさん応援してくれたらもっともっと強くなれると思うんで、いっぱい応援してくれたら嬉しいな。お兄さんもお姉さんもお嬢ちゃんもお坊ちゃんもみんなゆまの事を応援してね」


 ふわふわとしつつも芯のある強さをさりげなく見せているゆまはカメラに向かって微笑むと、画面を見ていた者たちは皆今まで以上に声を出して応援していた。まー君もそれに同調して応援しようと思ったのだが、画面に反射していたうまなちゃんとイザーちゃんのスンとした真顔を見た瞬間我に返ってしまって応援するのをやめてしまった。

 正確に言うと、表面上は特に応援するそぶりは見せていないものの、心の中ではそっと応援するというスタンスに切り替えただけなのだが。


「なんか、まー君がはしゃいでるのを見たらちょっと引いちゃったかも」

「私もイザーちゃんと同じで、ちょっと引いちゃったよ。まー君って、そんな感じで盛り上がるタイプだったんだね。なんか、イメージと違って戸惑ってるよ」

「いや、俺は普段あんな風に熱狂するタイプじゃないと思うよ。でも、不思議なことに画面越しにゆまちゃんを見ていると、自分の内に秘めた感情が抑えきれなくなってしまっていたんだよね。うまなちゃんとイザーちゃんもそうだったと思うんだけど、なぜか夢中になってしまっていたんだ」

「確かにね。サキュバスでもないはずのゆまちゃんがあそこまで人を魅了するってのは不思議なんだよね。魅了に耐性のある私たちに加えて、まー君まで魅了してしまうなんてハッキリ言って異常だとは思うんだよ。でもね、私もうまなちゃんも操られている感もなかったし、心の底からゆまちゃんの事を良いなって思ってたんだよね。きっと、まー君も私たちと同じだと思うんだけど、耐性があるはずなのにね」


 サキュバスであるうまなちゃんとイザーちゃんは通常であれば魅了されることはない。魅了する側であるサキュバスが魅了されてしまっては本末転倒、ミイラ取りがミイラになってしまうという状態になってしまうからだ。

 もっとも、再挑戦者(リプレイヤー)として尋常ではないほどの経験と誰もたどり着けない極地に至った実績があれば魅了されることがあるかもしれないが、ゆまに対しては盲目的に気持ちを持っていかれていたとしか思えない程に魅了されていたと思う。

 そんな状態であったうまなちゃんとイザーちゃんではあったが、あまりにも熱心に応援しているまー君を見ていると急に現実に戻ってしまい、なぜあそこまで熱狂的になれていたのだろうと考えてしまう程であった。熱狂しているまー君を見て冷静になってはいたものの、自分たちもまー君と同じように熱狂的に応援していたという記憶があるので何も言えなかった。何も言わずにまー君を黙って見ていたことで、まー君が気付いた時に三人とも気まずい空気になりかけた。三人とも、静かに画面を見つめて心の中でゆまの事を応援していたのだ。


「ねえ、そろそろまー君も会場に向かった方が良いんじゃないかな?」

「そうだとは思うんだけど、主催側から連絡がまだ来てないんだよね。いつもだったら、三十分後に会場に来てくださいって連絡があるんだけど、今日は早朝にメールが一通会っただけでそれ以降には何のリアクションもないんだ。インタビュアーの愛華ちゃんも俺の会場入りがまだだって言うことに触れてないし、試合開始時間も発表されてないからね。もしかしたら、あれだけの来場者数を記録しちゃってることで会場外で何かやるから開始時間を遅らせるってことなのかもしれないよ」

「そうだったとしても、先に連絡くらいくれたらいいのにね。それくらい大人なんだからできると思うんだけど」

「もしかしたら、運営の人達もゆまちゃんに夢中になってまー君の事なんて忘れちゃってるのかもね」

「って、そんなことあるわけないじゃない。みんながみんなゆまちゃんの事を好きになってまー君の事なんてかけらも覚えてないと、ありえないでしょ」


 そんな冗談を交わしながらも、自分たちですらあれほどゆまに夢中になっていたという事を考えると、その可能性も否定しきれないと思っていた。魅了耐性を持たない者にとってあの笑顔は違法薬物よりも直接的に脳に作用してしまっているのではないだろうか。魅了耐性のある三人が魅了されている時点で一般人が耐えられるはずもないのだが、会場に集まっている者たちは全てゆまの魅力に惹かれているという事だし、主催者側にも強い影響があってもおかしくはないのだろう。


 まー君は自分から連絡をしてみたのだが、主催者が反応することはなかった。

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