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八月一七日⑦
「本橋さん、歩くの早いな」
梶原が息を切らせていた。
「驚かせるなよ」
「すみません。本橋さんの後をつけてきたんだけど、随分寂しいところだったんで心配で、ずっと近くで待ってたんだ」
「それはすまなかった」
「いやいや。そしたら帰り道が思ったより暗くて怖くなったんで、本橋さんの後をついてきたんだ」
「すっかり白岩の差し金かと思ったよ」
「さっきの本橋さんの顔、殺気立ってて、こっちがやられると思ったよ」梶原は苦笑した。「ところで白岩って、本橋さんが行った後にバンで帰ってきた図体のでかい奴?」
「ああ……」本橋は言葉を濁した。
「その白岩っていうのがジンさんを連れて行った社長なのか?」
「そうだな。正確には社長ではないけど」
「そうか、あいつか……」
梶原は、本橋の顔を見ながら独り言のようにつぶやいた。
「何を考えているのかわからないけど、危険な人物だから、無茶しない方がいいよ」
「わかってる。本橋さんには迷惑をかけないよ。ありがとう」
梶原は一礼すると、走り去って行った。




