九十八話 撮影③
「では、実際に見たところで、服を選んでもらいましょうか」
そうだ、そういう話だった。
「いや、もう良くないですか?」
「うるせえ」
「すみません」
なんか慣れてきたな。ダメなんだろうけど。
と、いうことでまたさっきの部屋へ移動。
「選び終わったら声をかけてくださいね」
そう言った池田さんは椅子に座ってスマホをいじり始める。おい池田業務中じゃないのかっ!あっごめんなさい睨まないでなんでもないです……
「…………選ぶって言われてもなぁ」
詳しくないし、自分の服も組み合わせなんて考えずに適当にぺぺっと取ってるだけだし……
「うーん……」
ずらっと並ぶ服たちを眺めるも、どう選んでいいのかが分からない。
「いつも"ザ小鳥遊さん"って感じの服だしなぁ」
活発が体をなして動いているみたいな。
「イメージに囚われなくてもいいんだぜ」
「なるほど……って、いつからそこに」
いつのまにか、隣にぽやぽやおじさんが立っていた。
「さっきからずっといたよ」
「そうですか」
別にいらない情報だったわ。
「まあ、君が選んだものならなんでも喜んで着るだろうね」
「ですね……」
「あ、自覚はあるんだ」
「まあ、一応」
じゃあ、好きに選べばいいのかな……それだったら、大人な小鳥遊さんも見てみたい気がする。でも、"大人"ってなんだ……?
「これ、かっこいいな」
僕が手に取ったのは、白地に絵具が飛び散ったデザインの袖が広がった––––よく分からん七分袖のヤツだ。なんて名前なんだろう?襟が立っているからスタンドカラーシャツの一種なんだろう。どこかスタイリッシュな感じになりそうだ。
「これにするなら……ジーパン?と…………」
ふと目に映ったのは、紫色の薄手のマフラーだった。
「…………合うかも」
小鳥遊さんに合うかは置いといて、組み合わせとしては良さそうだ。
「よし、決まり」
靴には赤と白のハイカットスニーカーを選んで完成。
「できました」
これまたいつのまにかいなくなっていたぽやおじさんは気にせず、池田さんに声をかける。
「では、いきま……行きましょうか」
僕の持つ服たちをみて、池田さんは明らかに嫌そうな顔をした。多分、もっと元気な感じの方がいいと思ったんだろう。それに関しては同感だけど、違う小鳥遊さんも見てみたいじゃん!まあ、欲望だよね。
ぽやおじさんがどんな反応をするかとか、小鳥遊さんは本当に着てくれるのだろうかとか心配になりつつ、僕は小鳥遊さんの元へ向かった。大丈夫かなぁ……




