九十話 問題②
「はー……すずしいねぇ……」
「快適だね……」
机に突っ伏し、2人でだらっと過ごす。楽だわー、何にもしないのは時間の有効活用……!
「あ、そうだ」
何か思いついたように、小鳥遊さんが顔を上げる。
「なんで誕生日知りたかったの?」
そうじゃん、それ聞いてたんじゃん、すっかり忘れてたわ。
「この前誕生日祝ってくれたから、僕も何か返したいと思って。でも、何も思いつかなかったから僕からも誕生日を祝いたいなって」
それを聞いた小鳥遊さんが目を輝かせる。
「ほんと!?…………それって、誕生日じゃなくてもいい?」
「…………まあ、何かできるならなんでもって感じかな」
「じゃあさじゃあさ!」
大きな音を立てて机から身を乗り出し、小鳥遊さんは言った。
「明後日、付き合って欲しいんだ!」
「来たよー!」
翌々日。インターホンのカメラ越しにその声を聞き、憂鬱になる。
「は、はーい、今行くよ……」
なんだ?付き合って欲しいって、買い物かと思ったんだよ!それが、なんでラジオの収録になるんだ!メディアに出たことない(USJの取材は置いといて)奴がいきなりできるかぁっ!
そう心の中で愚痴りながら、部屋を出る。
「あなたが一ノ瀬 良夜君ね?ウチの奈夢がいつもお世話になっています、マネージャーの池田です」
「あ、どうも」
名刺を渡され、両手で受け取る。まあ僕は名刺なんざないけどね。
「じゃ、早速行きましょうか」
「はやくはやく!」
小鳥遊さんに急かされ、校門前に停まっている車に乗り込む。後部座席に乗り込んだが、僕ら2人はなぜかぴったりくっついている。
「ふふ、ラブラブなのね」
「い、いや、そのですね」
「ラブラブ、な、の、ね?」
「あっまーそーっすねまあそーいう感じっていうか、や、まあ、言い訳とかそういうんじゃないんすけど……まあ、そーなるんっすかねー…………あは、あははは………………」
やっばい怖い!この人には逆らっちゃだめだ!
「んふふー!」
そんな僕をつゆ知らず、隣に座る小鳥遊さんは僕の腕に頬ずりしている。ちょっとはフォローを頼みたかったな……
「で、今日なんだけど」
「あ、はい」
殺気を消した池田さんがハンドルを握ったまま話す。
「とりあえずラジオと」
「はい…………はい?」
"と"?とってなに?ラジオだけじゃないの?不特定多数に僕のクソみてえなトークが聞かれるだけじゃないの?死ぬ?死ぬよ?
「撮影があるからよろしくね」
「心底よろしくしたくないですね」
「あ゛?」
「謹んでお受けさせていただきます」
………………生きて帰れるだろうか?




