八十三話 誕生日
「ねーりょーくん」
翌日、昼休みにご飯を食べていると隣に座る小鳥遊さんが話しかけてくる。
「誕生日っていつ?」
「ん?あ、あー……七月の」
「あ、もう来月なんだね」
「うん」
「で、何日?」
「五日だから……最初の日曜日かな?」
黒板横のカレンダーを確認して、言う。
「え、すぐじゃん!」
「まー、そうなるかな」
とはいえ、中学の時はずっとひねくれてたからなぁ……その時の思考がまだ残ってるのか、普通の一日としか思えない。
「じゃ、パーティーしようよ!」
「え?」
「詳しく聞かせて〜?」
神出鬼没の相模川未亜、いきなり背後に姿を現したっ!
「ひぃっ!」
「ひぇっ」
「おい二人ともなんだその反応」
「いや……怖すぎでしょ」
「引き気味で言わないでよ……」
だって、普通に怖くない?近づく気配も音も無しに急に出てくるんだよ?もはやゴキブリじゃん?
「良夜くーん今考えてること正直に口に出してみようかー?」
「なんか現れ方ゴキブリみたいだなって」
「オイコラほんとに正直に言うなオブラートに包むことを覚えろオイコラ」
「ちょ、怖いごめんなさい許して」
一歩間違えたら死ぬよこれ。
「はぁ……まあいいや」
いいんだね。
「で、誕生日パーティーだっけ、どこでやる?」
「あ、やることは決まってるんだね」
主役の意向は不必要と。
「まあ誕生日パーティーと称したただのお菓子パーティーになりそうだしね、そこら辺は我慢だよ」
「え?そうなの?」
よくわからないことを口走る相模川さんに、純真無垢な目で小鳥遊さんが聞き返す。
「想像したらそんな感じになりそうだなって思ったの」
「…………確かに!」
ぴこん、と頭の上に電球を浮かべて納得する小鳥遊さん。割と心外だ。
「なんの話ですか?」
そこへ、ハンカチで手を拭いている白撫さんがやってきた。さっきはいなかったから、時間的にトイ……って僕はなにを考察してるんだ?
「あ、まどか。あのね、良夜の誕生日がもうすぐだか」
「お誕生日会ですね!?」
「う、うん……」
食い気味なその声に、少し引く相模川さん。めちゃめちゃワクワクしてるじゃん……
「い、いつですか?」
「七月の五日だよ」
「わかりました!では、失礼します!」
「あ、うん…………?」
戻ってきたはずの彼女は、スマホを持ってどこかへ行ってしまった。
「あっ、ずるい!私も!」
「えぇ…………?」
それを追って、小鳥遊さんも教室を出て行った。最近、困惑するようなことがたくさん起きてるのは気のせいだろうか?
「な、なんだったんだろうね……」
「わかるまでは非リアのままだろうねぇ」
「なにそれ意地でも理解するわ」
スマホ持って行ったんだから、誰かに連絡取るためなんだろうけど……誰だろう?
「じゃ、色々は後でみんなで決めよっか」
「りょーかい」
「じゃ、そゆことでー」
そう言うと、相模川さんもまた教室を出て行った。




