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二十九話 しゅっぱつしんこー!②

「ごめんなさい一ノ瀬君、もう少し向こう寄ってもらえますか」


 左側に白撫さん。


「あ、ご、ごめん」


「うー……りょうや……狭い……」


 右側に相模川さん。


「う、ごめん」


 真ん中に僕で助手席に翔太。後ろは三人でぎゅうぎゅうである。


 さて、僕は今タクスィーの中で精神的なHPがゴリゴリ削られているわけですけども。


 翔太は普通の男子なのでまあサッカー部って感じの肩幅だ。そうなると、比べて華奢な僕が後ろに座らなければならない。で、これだ。


 左を見ると、相模川さんが気持ちよさそうに寝ーーてえっ!?


「んぅ……」


「…………」


 ぼくの、かたに、あたまが、のっています。しんぞうが、はれつ、しそう、です。


「あ、あの、相模川さん……」


 肩を叩いて起こそうとしたけど、どこに触れればいいのか分からず声をかけるだけ。


「んん……」


「さ、相模川さん……起きて……」


 いや……相模川さんも可愛いから嫌ってわけじゃないんだけどさ?なんか、右側から視線がすんごい向けられてるんですよ。


「一ノ瀬君、不埒ふらちですよ!」


「それは相模川さんに言って欲しいかなぁ!?」


 え、僕悪くないよね?乗せられてるのであって、乗せさせているわけではないんだよね!


「た、確かに……未亜、もたれるならドア側にしてください」


「ん、んん……」


 と、そんなこんなで元々電車で行く予定だったバスターミナルまでタクスィーで向かったのだった。




「あ、あれだな」


 バスターミナルに着いて、翔太は一台のバスを指差した。


「あれでいくのか」


 というか、今思ったけどバスで行くならここからある程度近いんだろうな。


 ……まあ、そんな僕の思考は二秒で崩れ去ったけど。


「ま、待ってください。あれって……」


 その瞬間、二人硬直。


「お?どうしたんだ、早く乗ろうぜ!」


 ふー、一旦落ち着けよ、僕。多分見間違いだよ、そんな、バスに『吾野様御一行』なんて書いてあるわけ……


「あ、貸切のことか。なんか、ばあちゃんが手配してくれたんだよ。ま、気にせず行こうぜ?」


「そうですね」


 翔太と白撫さんがバスに乗る。


 ねえ待って?なんで白撫さんは驚かずにいられるの?意味わかんないよ。


「確かにー!」


 貸切の件で一気に目が覚めた相模川さんは、そんなことを言ってから二人に続いた。


 僕がおかしいのだろうか?


 僕はもう何も考えないことにして、バスに乗る。


 手前窓側に白撫さんで通路側に僕、奥側には相模川さん、翔太の順で向かい合っている席に座った。


「さて、こっから二時間くらいかかるから……」 


 そんなにかかるのか。ま、それを見越して、もってきてるんだけどねー!


「「「「トランプしよう!(しましょう!)」」」」


「ん?」「お?」「あら」「あちゃー」


 全員が一つずつ、トランプを取り出した。


 どうやら、みんな考えることは同じみたいだ。


「誰の使う?」


 僕がそう聞くと、「おまえのでいいんじゃね?」と、翔太が僕のトランプを指差した。


「ん、おっけ」


 三人がトランプをしまったところで、何をするか決める。


「大富豪は?」


「あれ、ローカルルールがありすぎてわかんなくなんないか?」


 確かにそれはある。


「んじゃ、無難にババ抜きかな?」


 相模川さんが言う。


「それなら、ジジ抜きのが楽しくないか?」


「なにそれ」


「私も知りませんね」


 どうやら二人は知らないようなので、翔太が軽く説明する。


「簡単に言えば、ババ抜きのババが何かわからない状態だ。で、ジジ……まあ、一枚しかないのを最後まで持ってた奴が負け。簡単だろ?」


「なるほどねー」


「じゃ、始めようか」


「良夜、シャッフルよろしく」


「はいよ」


 僕はトランプを半分に分けて、パラパラーっと交互に重ねていく。


「ショットガンシャッフルはカードをいためるぜ!」


「お前それ言いたいだけだろ」


 翔太が僕のボケに軽く突っ込んだところで、カードを裏向きのまま一枚取って机に置く。この机は壁から引いて出したものと、通路側の肘掛けの下から引き出して回転させた机をくっつけたものだ。


 カードを四つに分けて、渡し、そこから各々が揃っているカードを捨てていく。


 最初の手札は僕が六枚、相模川さんと白撫さんが五枚で翔太が……


「おい良夜お前仕組んだろ!」


「そんな技術あるわけないだろ」


「だって見てみろよ!一枚も揃ってねえぞ!」


 と、言うことで翔太は十三枚だった。


「まあ、せいぜい頑張れよ」


「こ、こいつめ……」


 そうやって少し翔太を煽ってからゲームを始めた。




「もう……もう金輪際トランプはごめんだ……」


 一時間半くらいしたところで翔太が根を上げる。


 結果は、ジジ抜きでは翔太が三戦三敗、ポーカーでは翔太が六戦六敗、さらにはあのあとルールをすり合わせた大富豪で翔太が四連続最下位の偉業を叩き出した。弱すぎんでしょうが。


「翔太、ほんとはお前が仕組んでるんじゃないの?」


「んなわけあるかい!ってか、運ゲーすぎるんだよ!俺はたまたま運が悪かっただけだ!」


 それを聞いて、相模川さんがポツリとつぶやいた。


「運も実力のうちなんだなぁ……みあを」


「うるせえっ!」


 翔太がぷんすこ怒り始めたところで、僕はトランプをしまう。すると、バスが高速道路を降りた。


「お、もうすぐみたいだな」


「ここから何分くらいかかるのでしょうか?」


「そうだな、十五分くらいか」


 それなら、予定より若干早いくらいかな。


「そ、そんなに……」


「ん?どうしたの?まどか」


 相模川さんが何かに気づいたようだ。


「えと、その……少し、酔ってしまって……」


「大丈夫?良夜、背中さすってあげて」


「え?あ、僕?」


 相模川さんにそう言われ、若干俯いている白撫さんの背中に手を伸ばすが……うーん、どうしたものか。なんだか罪悪感が……


「お、お願いします……うう……」


 あったんだけど、本当に調子が悪そうな白撫さんを見てそんな気持ちはどこかへ行ってしまった。


「大丈夫?水飲んだほうがいいかな?」


 僕も小さい時はよく酔っていたんだけど、そんな時には身体を冷やしたら少し楽になっていたからね。ま、科学的根拠があるかどうかは知らないけど。


「いえ、大丈夫です……」


「そう?なら……」


 僕は鞄から未開封の水を取り出す。うん、まだ冷たい。


 僕はそれを白撫さんの首筋に当てる。


「ひゃうん!?」


「あ、ごめん。でも、少ししたら楽になると思うから」


「は、はい……」


「んー、膝貸してあげたら?横になったら少しは楽になるだろうし」


 僕らのやりとりを見ていた相模川さんが、そんなことを言う。


「えっ」


「ダメなの?」


「いや、そう言うわけじゃないけど……」


 なんていうか、こう、少し恥ずかしい……


「……お借りしてもいいですか……」


「あ、うん。どうぞ」


「し、失礼します……うっ……」




 それから少しすると白撫さんは良くなったようで、起き上がって座り直した。


「ありがとうございました」


 少し残念とかそんなこと思ってないからね!


 僕は白撫さんから水を受け取り、鞄にしまう。


 そこで、バスがプシューッと音を立てて停止した。


「着いたみたいだな、降りるか」


 僕らはバスから降り、荷物を持つ。


「え、ここ?」


 僕は目の前の建物を指差しながら翔太に聞く。


「おう、ここ」


「あ、ここ?」


 相模川さんも僕と同じような反応をした。


「おう、ここ」


「ここですか?」


 っていうか、三人とも同じ反応だった。


「おう、ここ……っと、電話きた。ちょっと待っててくれ……もしもし?あ、ばあちゃんか。うん、着いた。ん、わかった。はーい」


 相手はおばあちゃんだったようだ。


「中に入ってくれってよ、行こうぜ」


 と、言うことで僕らは『吾野家』と大きく書かれたのれんをくぐって木造の大きな旅館に入っていった。


 そう、翔太の言う『ばあちゃん家』というのは、旅館のことである。意味わからんわ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


てことで、お待たせいたしやした!

いやー、テスト勉強はつらいですね!書く時間がなかなか無い……ま、勉強といってもテスト課題やるだけなんですけど!


さて、おふざけもほどほどに、ほんとすみませんでした。来週はテストなので午後は時間がありますが、課題をやらなければいけない……といった感じなので、もしかしたら投稿できるかもしれないし多分できないだろうといった感じです。ご容赦くださいな。


僕もこの三人(相模川さん除く)みたいに勉強できたらなー!なーんて思いながらゲームの日々ですが、皆さんはテスト前、勉強してますか?または、してましたか?……目を晒したそこのあなた、後で職員室です。


あ、そうだ!僕は今回ネット小説大賞とオーバーラップWEB小説大賞の二つに応募させていただいております。もしよろしければ、応援よろしくお願いします!


さて、僕史上最も長い後書きはここで終わりにしましょう。


次回投稿は遅ければ来週の土曜日か日曜日になるかな、と思います。よろしくお願いします。

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