第七話 敵の城に行くのは英傑も怖い!?
はじめまして、大森林総史です。
本能寺の変の黒幕って誰なんだろう?
そんな疑問から、歴史パロディを書いてみました。
宜しければ、お読みいただけると嬉しいです。
「さあ、毛利の城へ行きますよ!」
コヨミが元気よく言った。
すると。
「うっ……」
のだが腹を押さえた。
「どうしたんですか?」
「腹が痛い」
即答だった。
すると今度は。
「私も急用を思い出しました」
みっちゃんが真顔で言う。
「何してるんですか!?」
コヨミが叫ぶ。
「処刑されに行くようなものじゃぞ!」
のだは震えていた。
「せっかく生き延びたのに……」
「クワバラクワバラ……」
みっちゃんまで拝み始める。
コヨミは、すっかり幻滅していた。
「あなた達、本当に戦国時代の英雄ですか?」
「毛利のテルちゃん(毛利輝元)なら可愛いもんじゃが……」
のだが言う。
「伯父上のモトハル殿(吉川元春)は西国一の武将でございますぞ!」
みっちゃんが青ざめる。
「タカカゲ殿(小早川隆景)も父上のモトナリ殿(毛利元就)譲りで頭が切れるしのう……」
「帰りません?」
「帰ろうか……」
「ダメです!」
コヨミが即答した。
「変装しなさい!」
「はーい……」
二人はしぶしぶ返事をした。
---
その頃。
毛利の城では。
ザシュッ!
「おのれヒデめぇぇぇぇぇ!!」
モトハルが刀を振るっていた。
その先には。
ボロボロになったヒデ人形。
さらに隣では。
ザシュッ。
ザシュッ。
「解せん……」
タカカゲまでヒデ人形を切り刻んでいた。
「珍しいのう」
モトハルが言う。
「お主はいつもわしを止める側じゃろうに」
タカカゲは無表情だった。
「私だって苛つくことくらいあります」
ザシュッ。
「いっぱい食わされましたからな」
ザシュッ。
怖かった。
非常に怖かった。
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一方。
テルは縁側でお茶を飲んでいた。
ズズッ。
「平和ですねぇ」
ズズッ。
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その光景を見た瞬間。
のだとみっちゃんは踵を返した。
「帰ろう」
「帰りましょう」
「ダメです!!」
コヨミに首根っこを掴まれた。
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やがて面会が始まった。
本能寺の事情を聞き終えたモトハルは。
「ヌオオオオオッ!!」
刀を振り回した。
「そういう事であったか!!」
ブンブン振り回す。
怖い。
とても怖い。
のだとみっちゃんは震えていた。
「だから来たくなかったんじゃ⋯」
「ねー、それをコヨミ殿が無理矢理⋯」
「なんかいいました!?」
「いいえ!」
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タカカゲは腕を組む。
「なるほど……」
静かに頷いた。
「我らも見事に欺かれましたな」
「黒幕は毛利ではないのですか?」
コヨミが聞く。
タカカゲは首を横に振った。
「無理です」
即答だった。
「え?」
「ヒデの目を欺いて、京へ暗殺指令を送れるのなら」
タカカゲは真顔で言った。
「その兵で京へ攻め込んでおります」
「た、確かに……」
コヨミは納得した。
「領土拡大は簡単ではありません」
タカカゲは続ける。
「我らも父上亡き後、中国地方は制圧できました」
「うむ」
モトハルが頷く。
「しかしその先が難しい」
「西には九州」
「東には播磨」
「播磨はなかなか落ちませなんだ」
タカカゲは遠くを見る。
「ヒデが、播磨を味方につけた手腕は敵ながら見事でした」
「むしろ異常なのは……」
タカカゲが、のだを見る。
「のだ殿です」
「え?」
「普通、あそこまで勢力を広げられません」
のだは、少し嬉しそうだった。
「そうじゃろう?」
「褒めておりませぬ」
「なんじゃ⋯」
---
コヨミは頭を抱えた。
「ますます分からない……」
すると。
ズズッ。
テルがお茶を飲んだ。
「テルさんは何か思い当たりません?」
コヨミが聞く。
テルは少し考えた。
「うーん」
ズズッ。
「分かりません」
「ですよね」
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するとモトハルが言った。
「しかし」
全員が振り向く。
「公方様がおられる」
「公方様?」
「足利のヨッチャン様(足利義昭)じゃ」
空気が少し変わった。
「のだを一番恨んでおるのは、あの方かもしれん」
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沈黙。
のだとみっちゃんの顔色が青くなった。
「うっ⋯! また、は、腹が⋯」
「わ、私も、は、腹が⋯」
「か、帰ろう⋯」
「か、帰りましょう⋯」
即答だった。
「ダメです!!」
コヨミが叫ぶ。
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するとテルが立ち上がった。
「薬飲みます?」
「おお!」
のだが飛びつく。
「助かる!」
みっちゃんも感激した。
「父上秘伝の腹薬です」
テルは小瓶を差し出した。
「父上?」
「タカモト(毛利隆元、元就の長男)です」
「おおー!」
二人は喜んで飲んだ。
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数秒後。
「どうです?」
テルが聞く。
のだとみっちゃんは顔を見合わせた。
「よー効く! さすが人徳のタカモト殿の薬じゃ!」
「頭痛は治りました」
「良かったです」
テルは微笑んだ。
「伯父上達が、よくお腹を壊すので常備してあります」
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モトハル
「誰がじゃ」
タカカゲ
「誰のことでしょうな」
テルは微笑み
「生前、父上から聞かされて聞かされておしました。モトハル叔父上は、勇猛だが頭に血が昇りやすい、タカカゲ叔父上は、頭が切れるが、それ故ストレスを溜めやすい。頭痛や腹痛をよく起こすから、お前は叔父達の健康を支えよと、さすれば毛利家は安泰だと⋯」
「兄上⋯」
「兄上⋯」
モトハルとタカカゲは、泣きながら抱き合った。
亡き父モトナリと、兄タカモトを思い浮かべ。
そこへ、のだもみっちゃんも、飛びついてわんわん泣く。
「またぁ⋯」
コヨミはため息をついた。
のだが、ふとつぶやく⋯
「毛利の皆様方は、兄弟仲が良くて羨ましい⋯わしも兄弟仲が良く、まさに三本の矢の如くまとまっておればなぁ⋯」
「のだ殿⋯」
モトハルもタカカゲもみっちゃんも感慨深げ。
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ズズッ。
テルはまたお茶を飲んだ。
コヨミは思った。
(この人が一番大物かもしれない……)
次なる目的地。
足利のヨッチャンのもとへ向かうこととなった。
「てか、室町幕府最後の将軍が足利のヨッチャンって何⋯?」
コヨミはため息をついた⋯
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次話は8/25 20:00に投稿予定です。
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