第十四話 上田城
はじめまして、大森林総史です。
本能寺の変の黒幕って誰なんだろう?
そんな疑問から、歴史パロディを書いてみました。
宜しければ、お読みいただけると嬉しいです。
信濃――。
山々に囲まれたその地に、コヨミ達は降り立った。
「着いたー!」
コヨミは元気よく駆け出した。
「ここが真田家の本拠地、上田城ね!」
のだが慌てて声を上げる。
「待て!」
みっちゃんも続く。
「コヨミ殿!」
しかし遅かった。
カツーン!
鋭い音が響く。
一本の矢がコヨミの頬をかすめて飛んでいった。
コヨミは硬直した。
「……え?」
頬を触る。
少し血が付いていた。
「な、何よ!? これぇぇぇ!?」
のだは頷いた。
「やはり噂は本当じゃったか……」
「な、何よ!? 噂って!」
みっちゃんが説明する。
「真田殿の上田城は難攻不落」
「中は恐山も真っ青な罠だらけとか……」
コヨミの顔が青ざめた。
「それがこれ!?」
「うむ」
「私は帰る!」
踵を返そうとした瞬間。
のだが首根っこを掴んだ。
「逃げられると思っておるのか?」
「離しなさいよ!」
「魔王からは逃げられぬ」
「誰が魔王よ!?」
「わしじゃ」
のだは胸を張った。
「第六天魔王と呼ばれておろうが」
「何言ってんのよ!」
コヨミが叫ぶ。
「第六点魔王じゃない!」
「なんじゃと!?」
「なによ!?」
取っ組み合いが始まった。
みっちゃんは遠い目をした。
「また始まりましたね……」
次の瞬間。
コヨミの一本背負いが炸裂した。
「てぇーいっ!」
のだの巨体が宙を舞う。
ドォォォン!
豪快に地面へ落下した。
のだは呆然とした。
「横綱のわしが……」
「負けたじゃと……?」
コヨミは胸を張った。
「鍛えてるのよ!」
みっちゃんは歩き出した。
「そろそろ参りましょうか」
――――――
その後。
落とし穴。
丸太。
飛び矢。
回転床。
意味不明な坂道。
数々の罠が襲い掛かる。
「きゃー!」
「うおおおっ!」
「またかー!」
三人は、傷だらけになりながら進んだ。
そしてようやく上田城へ辿り着く。
その頃――
城内では。
「のだ様ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
絶叫が響いていた。
「どうして死んじゃったのぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
床を転げ回りながら泣いている女性。
真田家女当主。
サナダマサコである。
部屋の中には異様な物が並んでいた。
のだの刀(模倣品)
のだ鉄砲(模倣品)
のだ甲冑(模倣品)
のだ等身大人形(手作り)
そして。
隠し撮り絵画。
壁一面に飾られていた。
「のだ様ぁ……」
マサコは人形を抱き締めた。
「会いたいですぅ……」
――その時。
隣室から凄まじい声が聞こえた。
「ぬおおおおおおおっ!!」
若武者が、藁人形を機関銃で蜂の巣にしている。
真田幸村。
いや、この世界ではユキムラである。
「母上の心を弄びおって!」
ガガッ!
「許さん!」
ガガガッ!!
「許さん!!」
ドガガガッ!!!
「許さんぞぉぉぉぉ!!」
藁人形の残骸が辺りに散乱していた。
マサコが飛び込んでくる。
「こらぁぁぁ!!」
ユキムラが固まった。
「母上!?」
「また、のだ様の藁人形を作っては壊して!」
「お尻ペンペンです!!」
「お許し下されー!!」
バシッ!
「痛い!」
バシッ!
「痛いです!」
バシッ!
「母上ぇぇぇぇ!!」
マサコは全力だった。
やがて息を切らす。
「はぁ……はぁ……」
「勢い良く叩き過ぎたかしら……」
その時だった。
マサコが目を擦る。
「のだ様の……幻が見えるわ……」
ユキムラも目を擦る。
「私にも……憎きのだの幻が……」
城門の前。
傷だらけの三人が立っていた。
コヨミ。
みっちゃん。
そして。
のだ。
のだは、力無く手を挙げた。
「いや……」
「わし……」
「本物……」
マサコとユキムラは固まった。
沈黙。
そして――
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」
上田城に絶叫が響き渡った。
――続く
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次話は9/8 20:00に投稿予定です。
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