無理やり超能力を与えられました
無理やり超能力を与えられました
洗面所の蛇口をひねった。ミカと手を洗いながら、教室で話していた話の続きをした。消えゆく職業を生かさなければならないという彼女の声は、まるで今朝聞いたアナウンサーの発音のように聞こえた。私は冷たく濁った水を止めた。手に残った水気を振り払った。洗面台の上に両手のひらを当てた。腕をまっすぐ伸ばした。うつむいたまま、体を震わせた。怒られた。昨日も。女の子たちが群れをなして騒ぐ声が近づいてきた。私はトイレから足を踏み出した。ミカが私の制服のシャツをしっかりと掴んだ。お前たちの母親を凍結乾燥させてでも……。私は腹を抱えながら、唾を飛ばして叫んだ。「そんな馬鹿なことを言うなよ。人を凍結乾燥させたら水分が抜けて細胞が損傷するんだ。それに脳細胞は極めて敏感だから、機能を回復させるには……」表情が急変すると、ミカが私の口を塞いだ。天井のスピーカーからは、聞き慣れたチャイムの音が響き渡った。
先生が教室に入ってきて、スクリーンのリモコンを手に取った。私は黄ばみ始めた教科書を広げ、顎を乗せた。右側を見ると、体育の授業を受けている子供たちの姿が見えた。運動場の砂は、彼らの足によってかき乱されていた。再び本に視線を戻した。ミカの言葉を思い出し、英語の文章がぼやけて見えた。超能力とは何なのか、守らなければならない職業とは何なのだろうか。私はミカの席を見た。彼女は英語の教科書を立てかけたまま、生物の問題を読んでいた。うちの学校の試験は、平均点がどん底だとしても、先生の声に耳を傾け、寝る前のたった1時間だけ机に向かえば解ける程度のものだった。しかし、周りの人たちは互いに頭を寄せ合いながら問題を解いていた。
塾がない日だったので、すぐに家に帰るつもりだった。母に解いた数学の問題を写真に撮って送らなければならなかったし、昨日できなかった掃除機かけもしなければならなかった。私は携帯電話のメモにやるべきことを書き出していった。誰かが早足で歩く音が聞こえてきた。彼女は私の目の前に立ち止まり、ひるむ様子もなかった。いつ着たのか、白衣の上には彼女の名前が刺繍されていた。ミカは腰の上に手を上げた。「今日は塾に行かないの?」塾がある日は、スマホに気を取られたり、ゆっくり歩いたりすることはなかった。ミカが私の前に一歩ずつ近づいてきた。私はついに彼女の手を握った。「ユメアンに行こう」 カバンに教科書がぎっしり詰まっていたせいで、肩が痛んだ。ミカと腕を組んだまま、ジャネストの方へ足を向けた。地面が揺れ、体がびくっとした。私は手探りで彼女の二の腕を掴んだ。彼女は一度もまばたきすることなく、じっと立っていた。ジャネストから誰かが出てくるようだった。数秒後、真っ赤なショートヘアの女性が歩いて出てきた。彼女は胸に分厚い実験用書籍を抱えていた。もう一方の手には、重そうに見える大きなキャリーバッグを引きずっていた。履いている靴の丸いヒールの形が、砂地にそのままくっきり刻まれた。ミカに向かって目じりを上げて笑い、手を振った。ミカがお辞儀をして、先に声をかけた。「代表、どこへ行くんですか?」代表というその女性は、1週間ほど用事ができたとして、ミカにジャネストの世話を頼んだ。ミカは人々の下で助手として働きながら学んでいる身だったが、代表はミカの横髪を耳の後ろに掻き上げながら口を開いた。「他の連中は大事な仕事が多いだろう。私の業務は私に任せてくれ。」
ジャネストの研究者たちは相変わらず、自分たちの顕微鏡ばかりに目を向けていた。ミカは机に積まれた紙を手に取った。横目でちらりと見ると、代表がボールペンで直接書いたと思われる、角ばりながらも流れるような筆跡でメモが書かれていた。ミカは手首をひねり、紙を机の上に放り投げた。彼女はカバンについたキーホルダーを外した。再び腕を組んだ。丸いボタンを押すと、あの時のようにユメアンへと向かっていた。
今日はオーロラの床の硬さがすぐに感じられた。気をつけて。今日は人間に興味津々の動物が飛び出してくるかもしれないから。
気になることがあるんだけど。動物として扱われると、昨日の私みたいに体が浮くことにならないの?
生まれ故郷がユメアンである動物たちはそうならないの。あなたは人間世界で生まれたでしょ。だから違うのよ。
話し終えたミカは、三つの山の周囲に植えられた木々へと視線を向けた。葉の色が眩しいほどに輝き、オレンジと紫がマーブル模様のように混ざり合ったオーロラのような風情が感じられた。私は拳を握った両手で口元を覆いながら、それを見つめた。その横では、シマウマが、先端の毛は粗くふさふさとした尾を揺らしていた。視界が突然黒く変わり、ほのかなハンドクリームの香りが漂った。ミカが手のひらで私の顔を覆った。「しっかりしなさい。動物に変身したら面倒なことになるとか。勉強はできるくせに、行動は意外と鈍いんだね?」私は彼女の手を振り払った。手足を広げて、大の字になって床に体を押し付けた。クムシンが伸びをして、痰が絡んだようなガラガラ声を出した。私は慌てて体を起こし、スカートの土を払った。クムシン、それで、それはどうやるの? あれ、何だったっけ……その職業を生かせって。クムシンが突然、山の前に体を移動させた。彼の体は、三つの山を一度に隠せるほど巨大だった。しかし、足はまるで切断されたかのようになく、指も三本しかなかった。彼が私にキーホルダーをくれと頼んだ。私は背負っていたカバンのストラップを解いた。ジッパーの穴にかけていたキーホルダーを夢神に手渡した。夢神は手のひらにキーホルダーを乗せ、ぐっと押しつぶすと、まぶたを閉じたり開いたりした。私にキーホルダーを投げつけた。床に当たる音がした。私はキーホルダーの端を拾い上げた。虹色の光が宿ったアルファベットの「F」がぶら下がっていた。「それを押せば、君が思うように職業が消えることはないよ。その代わり、職業が消えて苦しんでいる人は、君の力で直接見つけ出さなきゃいけないんだ。」
人間界に戻ると、もう七時を過ぎていた。私はキーホルダーを握りしめたまま走った。家に帰って、息を切らして息をついた。母でも父でもない、赤いショートヘアの女性がいた。ジャネストの代表が、我が家にスーツケースを置いたまま、エプロンを着けていた。




