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第24話 光と煇

 ユメの無事を確認した煇は引き続き捜索を続けることにした。しかし一面真っ白な空間なんて、誰に聞いても情報を得ることはできなかった。

 完全に手掛かりを失ってしまった煇は焦り始めていた。セリアは無事を聞いて安心していたが、手詰まりになってしまい自分を責める煇をなだめていた。


 一方、ヒカルの方はこの世界に隠されている秘密を紐解こうと、MPhoneだけではなく、独自に調査を進めていた。

 彼の気になっているポイントは主に以下である。

 ・魔族の脅威がなくなった今も勇者が召喚される理由

 ・魔族の目的と旧ゼット帝国が滅びた本当の理由

 ・女神の目的、そしてそれを勇者に開示しない理由


 煇から聞いた魔族の言い分が本当だとすれば、裏から手を引いているのは女神だと考えるのは想像に難くない。しかしわざわざ勇者召喚という仕組みを使わずとも、自らの手で魔族を倒せばいいのではないか?封印することはできたのだから倒せても不思議ではない。

 今見えている情報だけだと不可解な点が多い。ヒカルは今の疑問点を整理し、視聴者に聞いてみることにした。


「どうもー。ムラキンです!」


「今日はこの世界の疑問に思ったことを皆さんと語りたいと思います」


 ヒカルは生配信を始めた。話が女神についての内容に移るとコメント欄が荒れ始めた。女神を快く思っていない勇者側と信仰している現地人側で対立したのだ。


「なぜ女神はまだ勇者召喚を続けるのか?不思議には思いませんか?」


「魔族の脅威は一時的とはいえ去ったはずです。勇者側の戦力も僕の調べた限りでは十分に思えます」


「そして女神がそこまで魔族を憎む理由はなんでしょうか?」


「そもそも魔族は本当に敵なのでしょうか?」



「この勇者、女神様を疑うのか?俺達はずっと魔族の被害を受けてきたんだぞ」

「確かに不思議だな。女神もそうだが、魔族側も何がしたいのかわからない」

「この前の魔族復活のときは民間人への被害はほとんどなかったんだよな」

「準備している最中だったんでしょ。その前に勇者様が倒してくれたからそれで済んだだけ」

「俺達をこの世界へ一方的に呼び出しておいて何の説明もないのはおかしい」

「なあ、やっぱ女神が悪いんじゃね?」

「そんなはずはない。女神様のおかげで魔族による被害が出ずに済んでるんだ」



「コメント欄が盛り上がってますね。今日はゲストを呼んでいます。どうぞ」


「皆さんこんにちは。セナン王国で召喚された勇者、岩崎煇と申します」


「煇くん!よろしくね。まず先に彼から皆さんに伝えたいことがあるみたいなんだ」


「はい。2週間前から娘のユメが何者かに拐われて行方不明になっています。もし見かけた方がいらっしゃったら教えてください」


 画面にユメの写真が表示された。


「小人のような人影を見た、という証言だけで捜索が行き詰まっている状態です。とある方法で無事であることは確認できたのですが、妻共々毎日不安で押しつぶされそうな日々を送っております。ご協力お願いいたします」


「大変な状況なのに、今日は来てくれてありがとう。皆さんも何か情報があったらすぐに教えてね」


「じゃあ本題に入るんだけど、煇くんは3年前、魔族から直接話を聞いているんだよね?」


「はい」


「ちょっとどんな内容だったか説明してもらえるかな?」


 煇は3年前、魔族とクイズをしたことを話した。魔族が言うには旧ゼット帝国は女神が滅ぼしたということ、魔族の目的は女神を倒すこと。そしてその目的の達成のために、煇の力が必要なこと。また、現れた魔族の口ぶりからするに現地人を傷つける目的はないこと。


「ありがとう!その魔族が言っていたことが真実とは限らないけど、女神が何かを隠しているのは間違いないと思うんだ」


「やっぱ女神が怪しいよな」

「魔族も一枚岩じゃないのかもね」

「俺達勇者からすれば迷惑な話だな。魔族も女神も倒せばいい」

「女神様が嘘をつくはずがない。魔族は我々を騙そうとしている!」

「じゃあ女神様に説明してもらおうぜ。その方が話が早いだろ」

「そもそも女神って本当にいるの?見たことないけど」

「お前そんなこと言ってると神罰が下るぞ。知らないからな」

「じゃあその力で魔族倒せよ。なんで勇者にやらせてんだよ」

「女神は存在します。今も魔族は悪事を続けています。勇者様いつもありがとうございます」


 怒涛のようにコメントが流れていく。キリがないのでヒカルは手を叩いて仕切り直した。


「はい!みんなまだ語り足りないと思うけど、今日はここまでにしよう」


「何か情報があれば、僕宛にくれると嬉しいな!じゃあまたね!」


 配信はここで終了した。

 そしてその配信を一面真っ白な空間で見ていた者がいた。

* * *


「あいつへの当てつけとしてこいつを呼んだのは失敗だったかもね」


「とはいえ、そろそろ手札を切るべきかしら」


 その者は小さな幼女の顎を撫でながら、MPhoneで配信の準備をし始めていた。

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