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第12話 今こそ復讐を果たす時

 勇者たちはイロイ共和国を立った。煇たちは直接セナン王国へ。別のチームはアズーロ経由で向かった。


 道中、魔族はあまり見かけなかったが、呼応してか魔物が凶悪化していた。しかし、魔族との戦いに慣れた勇者たちにとっては大した脅威ではなかった。


「はぐれているような雑魚魔族しかいませんねえ!」

 コウジが肩をブンブン回して余裕そうにしている。


「王都に戦力を集中させているんだろう。狙いがイマイチ読めないが」

 煇は冷静な面持ちで言った。


 セリアは地図を広げながら、心配そうな顔をしている。


「この先はあの街ですけど、奴隷商の方は無事でしょうか?」

「どうだろうな。俺たちと関わりすぎた。狙われても不思議ではない」


 街道を歩いていくと街が近づいてきた。外観は前に来た時とあまり変わらなさそうだった。しかし入口の前には人間のものとは明らかに異なる影が2つあった。


「さて、どうするか」

 考える煇に対し、コウジが手を挙げた。


「ちょっと見てこようか?」

「頼む」


 コウジは気配を周囲の環境と同化させ、街の様子を偵察しに行った。

 ふっと気配を消したコウジにセリアは目を丸くしていた。


「あっ、戻ってきました」

「どうだった?」

「不思議だな〜。中には魔族が居なかったぞ」


 魔族は門番くらいで街の中には居ないようだった。

 煇は今いるメンバーを確認した。煇、セリア、コウジ、他の勇者3名とその仲間4名。


「罠かもしれないが、可能であればここは抑えておきたいな」

「じゃあ私たちが反対側をやろうか?」


 女勇者シノが手を挙げた。彼女、見た目はアニメからそのまま出てきたような美少女だが、本当の姿を見たものは居ないらしい。


「ああ、そっちは頼む。ミカもそっちを頼む」

「りょーかい」

「ヒロシはこっちだな」

「へいへい」


 班分けに不満なのかコウジが口を突っ込んだ。


「そっち、女の子ばかりで大丈夫なの?」

 シノが何か言おうとしようとしたのを遮って煇が口を開いた。


「お前は女の子じゃないからな?頭数としては十分だろう。召喚獣もあるし」

「でもヒロシ君はあっちに行きたそうだけど?」


 よく喋るコウジに対し、ヒロシは口数が少ない方だ。反面、表情の変化はわかりやすい。


「戦い慣れた組み合わせの方がいいだろう。こっちは適当に合わせればいい」


 シノは反対側へ歩き出しながら軽く手を振った。弓を持った勇者ミカと仲間たちが後をついていく。不満そうな顔をするヒロシを横目に作戦は開始された。


「雑魚2匹だ。速攻で仕留めるぞ」

 相手は中型の魔族。出立ちは人とあまり変わらないが、角と黒い翼が生えている。


 煇とセリアが真正面から向かい、コウジとヒロシが背後から奇襲する。

 敵は戦闘力は低いが、知能は人並みだ。当然勇者側の戦法には気づいている。背後を取られないよう建物を背に2人に向き合っていた。

 魔族側からは仕掛けてこない。煇とセリアは鞘に手をかけて待っている。


「その立ち位置は不公平だな。離れろ」

 煇がそう言い放つと魔族は強制的に前へと歩かされた。


「ナッ、ドウナッテイル」

 壁から引き剥がされた魔族は咄嗟に魔法を放とうとするが、裏手に回っていたコウジとヒロシに切り付けられ呆気なく終わった。


 コウジは能天気に笑っている。

「ようわからん能力だな〜」


 ヒロシは剣を鞘に収めながら一言ボソッと。


「光の戦士という異名はフェイクだったようだ」


 一仕事終えたコウジとヒロシが魔族の亡骸を蹴飛ばしながら出てきた。


「俺もよくわからない。たまたま独り言を呟いていたら気付いただけだ」

「"平等"ってのがトリガーなんかな?まあええわ」


 コウジの軽口を無視して煇は足を進める。

「まずは街の様子を確かめよう。奴隷商が入れば情報を仕入れておきたい」


 一行は街の中心部まで向かった。住人の姿はなかった。


「だーれもいないな」

「この様子だと奴隷商も居ないかもな」


 裏路地に入り、奴隷商のところまで行った。


「おーい。誰かいるか?」


 煇たちは奥まで入ってみたが、檻にもどこにも人影はなかった。


「いないな。上手く逃げれてるといいが」


 街と同様、荒らされてはいなかった。奴隷商も奴隷も居らず、テーブルなんかも前来た時のままだ。急いで逃げたというより、計画的に撤収していた様子だった。あの奴隷商のことだし、うまくやっていることだろう。


 外に戻り、反対側から来た他の勇者と合流する。

 あちら側も似たような感じだったようだ。


「ねえ、こいつら何がしたかったんだろう?」

 ミカが素朴な疑問を投げかけた。この中で一番若い彼女は素直で歯に衣着せぬ物言いをする。


「さあな。連中の目的がわからない。王国の外へと侵攻している様子もないし」


 そんな煇に対してセリアは口を開いた。


「うーん。今準備を進めているんじゃないんですか?だったら今のうちに倒しておかないと!」


 一同が考え込んでいると、ヒロシが急に後ろへ振り返り――


「何か、来ますよ」


 そう言った刹那。黒い巨体が勇者たちの前に現れた。


「オバエラユルサナイ!!!!」

「コロスコロス!!!」


 突然現れたソレは喚き始めた。

 この場にいた者たちはなんのことだかわからなかった。しかし2人を除いて。


「この顔」

「この匂い」

「「アイツか!!!!!」」


「ハァ?これが2人が言っていた勇者ぁ?」

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