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因縁の終結、想いあう家族

前話にて裁きは下りました。

しかし、物語はそこで終わりではありません。

45年分の言葉が、ようやく交わされます。

 何のために引き止めるんだろう?エドガル王は。

 まさか、判決に納得がいかないとか?

 やめてよ。

 そんなのひどすぎるよ。

「皆に聞いてほしいことがある。本事件のきっかけと禍根についてだ。」

 そういうと彼は三光選抜、姉上と王家の因縁を貴族を多く含む観衆に話し始めた。

「一人の市民の発言に、過剰に反応し、ましてや暗殺を企てた愚行を止められなかった事に私は悔恨を抱いている。」

 発言はもっともだ。

 でも、それは少し手のひら返しが過ぎるのではないだろうか。

 本心なのか疑う。

「フレイア。大変申し訳なかった。」

 王は姉上に頭を下げる。

 その姿に、観衆は衝撃を受ける。

「エドガル。謝ることはない。彼女は私達の名誉を……」

「お前の発言と行動が名誉を傷つけている事にまだ気づかんか?やつを牢へ。」

 エドリックは騎士達に連れていかれた。

 エドガルは聴衆と裁判関係者を帰らせた。

 残ったのは彼と僕たち家族だけだ。 

 呆然とする僕たち。

 そこに彼の一言が差し込む。

「フレイア。私を覚えておるか。といっても今の姿じゃわからぬか。私も45年前、三光選抜にいたのだ。」

……沈黙が続く。

「私はあの後、お主に襲いかかる王族共を止められなかった。己の無力さを恥じるばかりだ。」

「でも、あれは私が名誉を汚したからで。」

 姉は包み隠そうともせず自分の弱みを晒す。

 どれだけ耐えてきたんだ。

 お願い。もう解放してあげてよ。

「仮に汚していたとしても、もう45年も前のことだ。多くの者が、もう忘れかけている。」

「でも長命種の貴族達はまだ……」

「フレイア。生き延びてくれてありがとう。あのままでは私たちが殺人罪になるところだった。記憶残れど、考え方は変わるのだ。あやつらも、いつまでも我らを同じ王族とは思っていまい。」

「あ……」

 世代交代……か。

 確かに長命とは羨まれるものかもしれない。

 しかし死があるから、人は良くも悪くも変われるのか……

 ――皮肉な話だ。

「確かに昔の王族の評判は下がった。だが我らも変わるのだ。それに負けないよう成果を上げ、進化していくのだ。もうお主は気に病むことはない。ここからは私たちの問題だ。」

 その言葉に強く影響を受けたのは、当人だけじゃなかった。

 父にも、母にも、目に光る水が浮かんでいるようだ。

「私は王だ。王族の罪を認めることは、己の首を絞めるに等しい。だが、それでもだ。オリヴィア殿。フィオ殿。そしてシルフィー殿。そなたらの家族を苦しめた事。心よりお詫び申し上げる。エドリックの処遇は今後決めるが、おそらく王族としての地位は、剥奪だろう。」

 彼の処遇は安堵の気持ちを促すが、まだ一つ片付いていない疑問がある。 

「今回は何も知らせず、裁判所に導いた非礼をお詫び申し上げる。この問題を根本的に解決するためには、この形が最善と考えたのだ。あの鎧という証拠で勝てるようにしたつもりだ。至らなければ済まなかった。」

「陛下……」

 母の一言は重かった。

 なにせ一人の問題ではないのだ。

「母上、父上、私はもう大丈夫じゃ。もう許してもらったわけじゃし。」

「フレイア。また一人で抱え込む気なら、そんな言葉はいらんぞ。」

 そうだよ。

「母上……もうそんなことはしないのじゃ。ワタシが心配だったことは家族に影響が及ぶことじゃ。もう解決したのじゃ。ちゃんとこれからは相談するのじゃ。」


 その後も王からの謝罪は続き。

 僕たちは馬車で丁重に帰されるのだった。

 数日後、正式に国中に謝罪文が公開され、エドリックの裁判が行われた。

 彼に下された判決は、殺人未遂と王族の権力の不正利用も認められ、王族の地位剥奪、記録と名の抹消、そして禁錮21年が言い渡された。

 彼の年齢では、もう外の光を見ることはないのかもしれない……


・さらに数日後・


「シルフィー。さぁスープを飲むのじゃ。」

「まって。さまさせて。」

 僕は家族と朝食をとっていた。

 一家団欒にふさわしい和んだ場に、一つの小型爆弾が投下される。

「ねぇフレイア。いまさらだけど、もうそのしゃべり方しなくてもいいんじゃない?だってそれは王族にフレイアだとバレないために……」

「そういえばそうじゃったのぅ。でももう板についておるし。それにおば上達もそういうしゃべり方するし、続けるのも良いじゃろう。」

 父も母も目を見開く。

 たぶん痛いところ突かれたというか、一本取られたんだね。

「そういえば、お姉ちゃんそんなしゃべり方するじゃん。」

「妹もたしか威厳を示すときとか特にしていたなぁ。」

 姉は自分の発言が刺さって気持ちよさそうだ。

 僕としては今のしゃべり方はきらいじゃないよ。風鈴さんにも似てるしね。

「ということじゃな。それはそうと、もうそろそろワタシも帰らねばならぬのぅ。」

「かえるの?いつ?」

 姉が来てから1か月くらい。

 この体にはかなり長く感じたので、帰ったら元に戻れるか不安だ。

「そうじゃのぅ。明日帰るとするかのぅ。」

 明日かぁ。ちょっと早い。

 でも大人の事情があるのだろう。受け入れられないけど、受け入れるしかないのか。

「そうじゃ。よければ明日みんなでどこか行かんか?二人とも明日は休みじゃろう?」

「それはいいな。」

「いいね。いくいく。」

 明日は人生はじめての“家族みんなで”のお出かけになりそうだ。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

長く続いた因縁が、ようやく一つ区切りを迎えました。

フレイアの物語は、もう少しだけ続きます。


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