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姉襲来!ケーキ戦争勃発

姉はおもったよりやんちゃらしい。

そして姉を取り巻く陰謀とは?

<シルフィーサイド:姉>

 

「チルカ、そういえばお前はフレイアと同級生だったな」


 チルカの同級生?

 顔が固まっている僕をみて、何かを察したのか、

 父が助けてくれた。


「フレイアは君の姉だよ。もう40年以上帰ってきてないんだ」


 姉⁉

 え?……いたの?

 

「ごめん。言い忘れちゃった。てへ」


 よく2年近く忘れてたね。

 それに40年以上って……

 怖い人じゃなければいいけど……

 

「実は、フレイアから手紙が届いた」

「え?あのフレイアちゃんからですか?」

「シルフィーの2歳の誕生日に帰ってくるそうだ」

「本当ですか!私も行っていいですか?」

「ああ、かまわん」


 たった2か月後に姉が来るの?

 どうしよう――?

 

 僕には兄弟がいなかった。

 

 会ってみたい。

 でも……呼吸は嘘をつかない。

 

 誰に相談すればいいの?


「シルフィーちゃん。大丈夫ですよ。フレイアちゃんは優しいですから。……たぶん」

 

 絶対じゃないじゃん!

 それを補足するように父が口をはさむ。

 

「チルカ?フレイアは優しいよ。ちょっとあれだけど」


 嫌な予感しかしないよ!

 何不安を煽ってるの?

 さらに母から補足が入る。


「久しぶりに暴れるとするか」


 いや、補足じゃなかった。

 これは、宣告だった。

 

 ああ、誕生日を休みたいよ。

 

・2か月後・ 


「「「誕生日おめでとう。シルフィー」」」

「ありがとう。パパ、ママ、チルカ」


 ホールケーキが僕の前に立つ。胸が躍るね。


「はい。シルフィー。お食べ」

 

 あれ?

 

「ねえ。パパ。小さくない?」

「え?僕が?」

「そうじゃなくて。ケーキが」

 

 大きさが試食ケーキなのはなぜかな?

 

「シルフィー。あと1、2年もすればショートケーキはいくらでも食べれるからね」

「そうだぞ。1、2年なんて秒だ。安心しろ」


 年齢制限……だと?

 あと子供の時間間隔が秒って本当に思ってる?お母さま?


 コンコンコン


「あ、来た来た」

「ずいぶん遅かったな」

「40年ぶりに会えるの楽しみですね」


 どうしよう。来ちゃうの?

 心臓の鼓動が、少し早くなった。

 知らない人に会うのは……怖い。

 

「では私があの子を迎えてくる」

「うん。いってらっしゃい」


 母が玄関に向かった。

 結果、間ができる。

 

 人が入ってくるのを待つ。この瞬間が苦手だ。

 この、何も起こっていない時間が、昔からだめだった。


 母の足音を聞く毎に、

 胸の奥が、きゅっと縮む。


 玄関での会話を聞く前から、

 なぜか、嫌な未来だけが先に浮かぶ。

 

 来ちゃうよ。回避できないよ。

 どうすればいいの?

 父に話しかければ少しは安らぐかな?

 

「ねぇパパ。おねえちゃんはやさしいってほんとう?」

「大丈夫だよシルフィー。お姉ちゃんはね。すっごく――」

 

 ビュウッ

 

「「わぁぁぁ!?」」

 

 突如突風が吹き荒れた、はずだ。なのに周りの物は一つたりとも揺らいでいない。

 突然の出来事に抱き合う僕と父。

 いったい何が起こっているの?

 あと、なんでチルカは平然としているの?

 

「ほう。なんと見た目麗しきケーキなのじゃ。ワタシいただくのじゃ!」

 

 突如現れたのは父と同じ金の髪を揺らす少女。

 よく見ると赤いスカートの巫女服を着ている。この世界にも神社ってあるんだね。


「久しぶりですね。フレイアちゃん」

「おう、久しぶりじゃのう。チルカよ。じゃが今は――」

 

 彼女はフォークをケーキに伸ばす。その時金属音が鳴った。

 

「そうはさせんぞ。フレイア」

「安心するのじゃ、母上。貴殿の分は残すのじゃ。ワタシが四切れ(八切れ中)、母上が一切れじゃ」

「え?僕たちに三切れくれるの?えへへ(フィオ1.9切れ、シルフィー0.1切れ、チルカ1切れ)」

 

 姉のフォークとそれを受け止めた母のフォークがカクカク動いて均衡を保っている。

 気が抜けない。あと僕のケーキ量だけ邪険に扱われた気がするの気のせい?

 

「いいやフレイア、私が四切れ、いや4.5切れもらう。お前は0.5切れだ」

「あんまりなのじゃ。しかしそれは母としてどうなのじゃ?」

「このケーキはフィオが作ってくれた物でなぁ。娘とは言えやすやすと渡すわけにはいかんのだ。安心しろ。3.5切れ分、今度私が作ってやる」

 

 え?父が作ったの。キッチンでは踏み台でも使ったのかな(うるり)。

 しかしそれを聞いた姉の目の色が変わる。

 

「父上が?それはワタシも譲るわけにはいかなくなったのじゃ(フレイア四切れ+2.5切れAfter)」

「二人共ケーキなら僕が、いつでも作ってあげるのに(ぼそっ......)」


「父上は黙ってて」

「フィオは黙ってろ」

 

 二人の声が、寸分の狂いもなく重なった。そしてそれを聞いた父は。

 

「へ?そんなぁ〜。ふぇ〜ん。シルフィー抱かせ……抱きしめてよー」


 え?僕が抱きしめるの?

 そんな、僕、人を抱きしめたことなんてないよ。

 でもパパも泣いてるし……(※うそなき疑惑有り)


「……先輩、嘘泣きですよね?」


 一瞬、間が空く。


「そ、そんなことないもん!」


 でも――

 もし、本当だったら?


 もう!ええい!


・5分後・


 長かった。戦いをずっと見続けた僕の顔からは魂が抜けたような感じがする(その間結局僕はぬいぐるみ)。

 結局2人は三切れずつ分け、父と僕は0.9対0.1で分けることとなった(チルカは一切れ)。

 ……いや、最初から全員二切れで良くない?

 

 でも、みんな笑っている。

 これが家族?

 

 初めて感じる感情は、

 悪くなかった気がした。

次回予告

 姉の過去が明らかに。


用語メモ

・チョコラ:チョコスプレー(カラフルなやつ)。若者にドバドバ派は多い。

・スィロ/テス:オセロ/チェス相当の盤遊戯。

・ハイエルフ王国。オリヴィアの故郷。通行は一筋縄ではない(本編で後述)。

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