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シュガー家(前編)

「じゃあ私たちは帰るぞ」

「じゃあね。シルフィー……」


 パパ?

 なんで何か含みがあるみたいな顔するの?


「ぐす……シルフィー……1日も会えないなんて。さみしい!」


 今日は泊まるらしいからね。

 

「パパ……それは」

「では、フィオ。シルフィーは一日私たちがもらっていきますわね」

「え? ミルフィー?」


 何煽ってるの?

 

「おい!ミルフィー。じゃあ僕はシルフィーから離れないからね」

「何やってるフィオ。さっさと行くぞ。今日は仕事だろ?」

「え?でも僕はシルフィーと」


 がさっ


 母が父を持ち上げる。


「え?そんな!」

「ではシャルロッテーヌ。シルフィーとミルフィーを頼んだぞ」

「お任せください」

「嫌だ。僕は仕事をけっき――」


 ガチャ


「ではさっそくご案内しますわ」


 あのぅ。シャルロットさん?

 あれに何もコメントしないの?


 急に音色が変わった家。

 さっきまであった演奏がポツリと消えた今、

 僕は一人なんだと実感した。


「どこへ行きますの?」

「それはですね……」


 え?教室とか言わないよね?

 どうしよう。

 ばれちゃう。


 ◆


 どこなんだろう?

 僕たちは扉の前に立っていた。


 その扉が――

 開かれる。


 ガチャ


「あれ?なにこれ?」


 目の前にはベッドが2つ、仲良く並んでいた。


「ここは寝室になります」

「え?なんで最初にここ?」

「あ、すみません。まずは浴室から紹介すべきでしたわね」

「え?そういうわけじゃなくて――」

「お二人は先ほどの試合で汚れを被ってしまいましたから、一度身を清めましょう」 


・数十分後・

 

「ふぅ……」


 なんで僕まで入ったんだろう?

 汚れてないのに……

 そう思っていると――

 

 ぽんっと肩に手が置かれる。

 シャルロットさんだ。

 

「あ、あのぅ」

「落ち着きましたか?」

「え?」

「いえ。大丈夫なら良いですが」


 彼女は手を離して

 僕に背を向ける。


「あ、あの……僕のためじゃないですよね?」

「さぁ。でも、私はどちらのシルフィー様も好きですわ」

「え?」

「いいえ、なんでも」


 もう……

 でも、嫌じゃない。

 わかってたの?この気持ち。


 今なら、何が来ても、大丈夫な気がした。


「では皆様。リラックスしたのでもう大丈夫ですね?」


 シャルロットさんは僕の気持ちをわかってるようだね。

 

「こういうこと言われた時が一番嫌な予感するよ」


 え?

 

「同感ですわ」


 言われてみれば……


「終わった……」


「貴方たち?私をなんだと思ってるんですか?」

「吸血鬼の鑑の姉」

「私がやりたい放題の姉とでも言いたいのですか?ヌガー?」


 シャルロットさんの笑顔が怖い。

 しかし彼女は顔の力を抜くと、吐息をつき、言う。


「はぁ。わかりましたわ。では皆様こちらにいらしてください」


 恐る恐るついていくと……


「座ってください」


 


 

 



 

 

 


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