シルフィーとミルフィーの出会い
ついにシルフィーの魔力型が判明します。
それは悲劇なのか、それとも喜劇なのか。
そしてティラミスの娘も登場。
やっぱり吸血鬼はやりたい放題の種族なのでしょうか?
「はぁ、どうしたものか……」
「はぁ、どうしよう?」
ただの待ち時間。なのにどうして二人は頭を抱えてるんだろう?
とりあえず母の方から聞いてみた。
「ティラミスの娘のこと、どうしたものか……」
えっ?あの理不尽なお願いのことまだ考えてたの?
やさしすぎでしょお母さま。
「パパはどうしたの?」
「うん。もしシルフィーが希少な魔力型だったらと思うとね……魔力型が同じじゃないと魔力譲渡はできないんだ。」
「フィオ。私がシルフィーを強くしてやる。人から魔力をもらう必要がなくなるくらいにな。」
「でも、もしものことがあったら。それにあの国はどうするの?」
「フィオは優しいな。そうならないようにあの国には、魔力量が十分増えてから、シルフィーは行かせるとしよう。」
あの国ってどこなんだろう?
魔力がないと行けない国なの?
それを聞こうとした時、聞き覚えのある女性の声が。
「シルフィーちゃんの測定結果が出ました。診察室へどうぞ。」
それを聞いて、僕たちは診察室へ向かった。
ただ、やはり診察室内でも重い空気が消えることはなかった。
「ねぇパパ。魔力型がどうなるとまずいの?」
これを聞くことにより少しでも父に寄り添えれば良いと思った。
「実はね、魔力型は基本3種類なんだ。純血ならね。エルフはL型かF型、そしてその複合のLF型のどれかだよ。」
エルフはエル(L)……フ(F)?
「ハイエルフならL型かハイエルフ特有のE型、または複合のEL型なんだ。僕は……フレイアやオリヴィアと同じEL型になって欲しいんだ。」
つまり母、姉に守られて欲しいと……
でも……僕は……
「待たせたな。結果が出たぞ。」
さっきまで落ち込んで虚ろだったティラミス医師。
しかし彼にはその影はなく、今の表情はさっきと変わって真剣に見える。
彼は母を見る。
「よかったな。親と同じだ。」
「本当?」
安堵する父。その目には光が浮かび輝く。
「LA型だ。……人間由来のA型が混ざった、フィオと同じ型だ。」
「そんな、嘘だ!」
父の目から光が消える。
「間違いない。何度も確認した……」
「シルフィー。ごめんね。僕のせいで……」
「フィオ。FA型じゃないだけマシだ。ほぼいないハイエルフと人間との混血にしかないそれに比べれば、LA型は多い。貴様がシルフィーを守ってやれ。」
……
俯く父。
その口が開く言葉は重かった。
「わかったよ先生。僕がシルフィーを守るね。シルフィー、魔力が切れて苦しい時は言ってね。僕の魔力をあげるよ。」
「それがいい。」
父の言葉は温かかった。
でも、父は悲しんでいるようだけど……僕の心から囁きが聞こえるんだ。
(これでパパと一緒だね。君はまた一歩彼に近付いたんだ。)
魔力型がどう作用するかはわからない。ただ、父の色に染まれたことを、嬉しいと思ってしまう自分がいた。
「それにしてもティラミス。落ち込んでいたお前がこうもフィオに寄り添うとはな……」
「ふん。家族にとって大事な場面を、私情で壊すほど落ちぶれてはおらん。」
「……ティラミス、娘のことだが――」
ガチャ
「オリヴィア様!やっぱりいらっしゃいましたのね!」
「おっと。」
突如扉が開き、現れたのは銀髪赤目の少女。
彼女は母に抱きつき、ほっぺをすりすりしている。
なんでだろう。それを見ていると胸の奥がムッとする。
「おい、ミルフィーユ。何しに来た。というかなんでオリヴィアが来ていることを知っている?」
「ウフフ。この病院の情報網は私に掌握されてますの。誰がどこに来たのかを知ることなど、造作もないのですわ。」
怖いよ。
何このお嬢様。プライバシー0じゃん。こんなこと他の患者に聞かれたら病院が潰れるよ!
「何やってるんだあの職員ども。おいミルフィーユ。だれから聞いた?」
「それを教えてしまってはこれからも知ることが出来なくなってしまうではありませんの。知りたければ自分で突き止めることですわね。」
あんまりだね。
好き放題言った彼女は母に振り向くと、目を輝かせ口を開く。ついでに言うとほっぺも赤い。
「あの、オリヴィア様。4日後にパーティがあるのです。参加してくれませんか?」
「悪いなミルフィーユ。残念だが、4日後には外せない用があるんだ。だが……朝と夜ならいいぞ。」
「それではパーティのほとんどが終わってしまうのです。」
「そこで我が娘を行かせようと思う。」
母が僕に目配せをする。その突然の出来事につい体が反射する。
「え?僕。」
「えええ?オリヴィア様に二人目の娘が?聞いていないですわよお父様。」
完全にとばっちりを受けて遠くに目をやる医師。彼がさっき落ち込んでた理由がわかった気がする。
そして彼女は僕に近寄り……
「私はミルフィーユ。ミルフィーでいいですわ。あなた名前は?」
「シルフィー……です。」
「名前が似てますわね、私たち。ふーん。気に入ったと言いたいところですが不合格ですわ。あなたじゃ私の遊び相手にならなさそうですし。」
なんの遊びするつもり?
理由も聞かれず不合格とか気になりすぎるよ。あとひどい。
「安心しろミルフィーユ。シルフィーはお前より強いぞ。」
「「え?」」
待ってよ。彼女少し僕より年上っぽいよ。
「私中級魔法も使えますのよ?4歳かそこらの娘が私に勝てるとでも?」
「勝てるさ。圧勝でな。」
初級魔法を一通り覚えたばかりだよ⁉︎
年もやっぱり上じゃん。
すると母が小声で言った。
「安心しろシルフィー。4日で強くしてやる。今とは比べ物にならんくらいにな。」
半年でそこそこなのに、どうやって4日で成果を出すの!?
「オリヴィア様がそういうならいいでしょう。ですが私、手加減はいたしません事よ?いらっしゃいシルフィー?」
終わった。
なんてことに巻き込んでくれるんだお母さまぁぁぁ!
そしてあっという間に4日の時が流れた……
次回、シルフィーvsミルフィー。
彼女たちはどんな関係になるのでしょうか?
そしてオリヴィアの自信の理由とは――




