吸血鬼ドクターと大切な娘
ついに魔法を本格的に学びだしたシルフィー。
この世界の人々には血液型ならぬ魔力型があるようで?
抱き着かれながら調べてもらいに行きます。
「お母さま。アイス・クリスタル行くよ!」
僕が手に力を込めると、辺りの空気が表情を変える。
先ほどまで支配していた日光は、僕が放つ冷気に支配権を奪われる。
「えぇい!!」
パキパキ
手の先にある何も無かった空間に現れる侵入者。
その鱗は青く光り、日光すらも封じ込める。氷晶の出来上がりだ。
「よくやったな。シルフィー。半年で基礎魔法をこなすとはな。私は嬉しいぞ。」
父に言われた「君の魔力は特別」という言葉は今でも僕の内側で渦巻いている。
何が起こるかわからないワクワクと、成功するたびに喜んでくれる両親と一緒だと楽しいんだ。
勉強って楽しめるんだ。
学校の勉強も……こんなふうにできたらよかったのに……
「ねぇオリヴィア。シルフィーも、もうそろそろあれを受けてもいい時期じゃない?」
「確かにな。シルフィーもそんな時期か。」
庭で僕の訓練を見守っていた父がふと何かを思い出したようだ。
受ける?
試験?それとも検査?魔法で思い浮かぶ物ってなんだろう?
「あれ?」
「あれというのはだな、魔力型検査の事だ。」
僕が見知らぬ単語に?を頭上に浮かべていると父がとことこと歩いてきてその疑問に答える。
「血液には型があるでしょ?」
この世界の人間にも血液型はあるらしい。ただし人間とエルフでは種類が違うとか?
「魔力にも型があるんだ。それを検査するのが魔力型検査だよ。」
初めて聞く事実につい目をぱっちり開けてしまう。
それって素質とかに関わるってこと?
「魔力型が違うと何がかわるの?」
「基本的に魔法に影響はないよ。ただ一部の魔法の色が変わったりするんだ。まぁそれも意識すれば変えられるけどね……」
「氷魔法の色が変わることは有名な話だ。シルフィーの氷魔法は光を通さない深い青色だが、私が使うと……」
シュゥゥゥゥ
「このように透明な氷ができるというわけだ。おそらくシルフィーは私と魔力型が違うのだろう。まぁお前も頑張れば私の同色の氷を作ることは出来るぞ。」
へー不思議。
どうなってるんだろう。
あれ?でも、ほとんどの魔法は魔力型の影響を受けないってパパが言ってたよね?
「じゃあ何のために検査を受けるの?」
「魔力が枯渇した時のためだよ。魔力が減りすぎると危ないからね。」
「今までの初級魔法で、エルフが魔力枯渇を起こすことはほとんどないからなぁ。だが中級以上では、幼いおまえ……いや、大人でも使い方によっては枯渇を起こすことがあるんだ。」
ほほぅ。
つまり血液が切れた時のために輸血できる血液型を知っておく必要があるってことかな?(うまいこと言った)
「シルフィーには3つの種族の血が混ざっているからね。変わった魔力型の可能性もあるんだ。」
「純血にはない魔力型っていうこと?」
「さすがシルフィー。僕の娘だね。」
そういって突然ハグしてくる父。
前触れが無くて全く予測できなかった。
相変わらずパパの体温は温かいな……
僕もずっとこういたい。
魔力型と成長って関わるのかな?
・2時間後・
僕達は王国南の城下町に来ていた。
普段住んでいる東郊外からまぁまぁ歩いたけど、会話をしていれば一瞬だった。
「さぁ、入るとするか。」
目の前にあるのは建物……というより壁の印象を受ける。
この国では珍しい高層建築がこの病院の技術の高さを感じさせる。
「ここで検査するの?」
「そうだ。安心しろ。魔力型検査に痛みはない。」
え?そうなの?ちょっと楽で安心。お母さまは子供の気持ちわかってるね。
そういって入る僕たちだが……
「人多い」
「大病院だからね。仕方がないよ。」
相変わらず目に映る人々は特徴が多様だ。
正直怖そうな人というか、よく怒る性格が顔に出ている人もいる。
関わらなければいいのは分かるけど、本能が勝手に警報を鳴らす。
「相変わらずシルフィーは大勢の人が苦手なのかな?」
「うん。」
「ならば僕が」
あ、そうだ。さっき抱き着かれたんだった。
せっかくだし。
「えい!」
「え?シルフィー。君から抱き着いてくれるんだ!僕嬉しいよ。甘えレベルに磨きがかかったね。そんな君には……」
「おい、お前ら何をやっている?早く受付に行くぞ。」
つい注意されてしまった。
でも父とのじゃれあいのおかげで、緊張がとけた。父との接触はなんてすごい魔法なんだろう?
・30分後・
「では次の方どうぞ。」
そう呼ばれくぐった扉の先にいたのは、白衣を着た吸血鬼族の男性と狼の特徴を持つ獣人の女性だった。
「よく来たな。オリヴィアとその家族達よ。」
「はぁ。またお前が担当か。ティラミス。」
「おい。450年来の旧友になんだその口のきき方は。」
「その言葉そっくりお前に返す。」
あの吸血鬼族の人、ちょっと尊大過ぎない?
というかお母さまの知り合いなの?
「今日は娘の魔力型検査をしに来た。頼めるか?」
「無理だ。」
えええ?
ひどいよ。ただこっちはけなげに検査しに来ただけなのに。
コットンさんもそうだけど、吸血鬼族ってやりたい放題な人多くない?
「んんん……娘の遊び相手になってくれるならいいぞ(※職権乱用)」
「これだからお前が担当だと憂鬱になるんだ。」
「え?憂鬱。じゃあ僕が抱きしめてあげる。」
「ちょっと黙っててくれフィオ。」
お母さまの口ぶりからして毎回なにか要求するの?
母に少し同情。
それで、娘がどうしたって?
僕は父に抱きしめられながら話の続きに耳を傾ける。
「頼むよオリヴィア。彼女が君に会いたいって言って、言う事を聞かないんだ。」
「いつだ?」
「4日後だ。」
「仕事だから無理だ。」
あからさまに落ち込む医師。
となりの獣人女性に「さっさと検査やりますよ」と促されている。
そういう事で僕は注射台みたいな所に腕を置かされた。
するとさっきの女性が頭くらいの箱を抱えてきた。
それには謎の管が謎の装置的なものに繋がれ(※語彙0)、小さな穴が開いている。
「はい……ここ手を入れてください……」
やる気なさすぎでしょこの人。
口元は平行な延ばし棒と化し、目はどこか遠くを見ている。
手を入れると隣の女性が口を開く。
「さぁお嬢ちゃん。魔力をぎゅっと放ってね。あとお父さん、検査の邪魔なので抱き着くのやめてくださいね。」
彼女に言われた通り、手に力を込める。
4年半生きて学んだけど、魔力を使うとか放つって言われたら基本は魔子魔法を指すっぽいよ。
ということでとりあえずそれを放ってみた。
「じゃあ結果が出るまでお待ちください。」
僕は学んだ。
職場に私情を持ち込むと彼みたいになるのだと。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
混血エルフであるシルフィーはいったいどのような魔力型?
ティラミスの娘とはどうなるのか?
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