24話 暗闇の影‐2‐
ウェストヘイルから北へ3キロの場所で、魔力溜へと僕達はたどり着いた。
魔力溜は通常、魔物を倒すことでその勢いが減衰し、消滅する。
これから僕達が始めるのは大規模な魔物狩りだ。
ウェルサが、剣を抜き掲げる。
同時に兵士達も剣を抜き放つ。
魔術師団は詠唱と、自陣固めの魔法陣を構築していく。
防御魔術の魔法陣に、高威力の属性魔術4種、探知魔術1個の魔法陣を形成した。
「警戒から、各兵士は臨戦態勢に入れ‼」
ウェルサはその場の兵士に号令を送る。
「魔術師団探知始め‼」
ウェルサの号令と共に探知魔法を僕達は発動、魔物の位置を割り出す。
ある程度の魔物の方向、と数を特定する。
魔力溜攻略の常とう手段だ。
「魔術師団!詠唱始め‼」
ウェルサの号令と共に、目標へ向けて魔術師団は詠唱を始める。
「我らに破壊と力を示せ、エクスファイア‼」
「風よ、全てを切り刻め、エアースラッシャー‼」
「その冷たき切っ先で全てを貫け、アイスランス‼」
「地よ、爆ぜて全てを壊せ、アースランス‼」
高威力の火、風、水、地の魔術が辺り一帯に吹き荒れ、魔物達を殲滅していく。
だが、魔物だって黙ってはいない。
僕達目掛けて魔物が魔力溜の霧からとびかかって来る。
だが、兵士達は瞬時に、魔物に応戦、魔術師達の邪魔はさせない。
「第二波用意‼」
ウェルサがそう言って僕達魔術師団に合図を丁度送った直後であった。
上から激しい魔力を僕は感じ取る。
これはマズいかもしれない……
とっさに、僕は簡易魔術で光の壁を魔術師団を守るように上方へ展開した。
魔法陣が破壊され、魔術師達を風の魔術が襲う。
くそ……僕だけを守るには十分だったが、全員を守るには魔力的に出力不足だったか……
魔術で防いでみたものの……
僕も風の魔術を完全には防ぎきれず、左肩に鋭い痛みを感じていた。
だけど、まだ立っていることはできる、これぐらいの事で負けていられない……
僕は、上空の敵を見据え、魔術を詠唱する。
「その怒りで悪しきに罰を、ライトニングブレイク‼」
それと同時に、前衛をしていた兵士達にも新たな脅威が迫りつつあった。
「上空から奇襲‼魔術師団を守れ‼」
ウェルサの指示が飛ぶ。
しかし。
「どこを見ているでさ?よそ見をしていると痛い目に合うでさ」
その声と共に、恐ろしい速さで兵士3人がなぎ倒された。
魔力の霧の中で、その巨体を辛うじて目で追うことはできるが、力と速さでは、兵士達では反応することができず次々となぎ倒される。
その状況でゼクが動く。
「おっと、そんな雑な攻撃がいつまでも続くと思わないことですぜ」
ゼクは巨体の化け物と次に狙われている兵士との間に割って入り、大剣を抜き放ち化け物とつばぜり合いを始める。
「ゼクでさ?丁度いいでさね、一度あんたとやり合ってみたかったでさ」
巨体の化け物の声にゼクは驚く。
「お前は、ノードラか!?」
ゼクの反応を楽しむ様に、ノードラは笑う。
「その通りでさ、ゼク丁度あんたが邪魔だったでさ、ガサツな様で妙に規律を守って忠実なふりをするあんたが‼」
化け物とかしたノードラの言葉にゼクは鼻で笑って帰す。
「ノードラ、化け物になりやがったか多少は見所はあるとおもっていやしたが見当違いだったようですぜ」
「それもここまででさ‼」
そう言うと、ノードラはゼクをつばぜり合いの状態から弾き、襲い掛かる。
「遅いよ‼」
そこへ後ろからウェルサがノードラへ切りかかった。
ウェルサの斬撃をノードラは背中に受ける。
致命傷にはならなかったが、傷跡がノードラの背中についた。
「ノードラ、私もいることを忘れてもらっちゃ困るね」
ウェルサの言葉にノードラは舌打ちする。
「この状況が続けばこちらが不利なようでさね……俺も本気で行くでさ」
ノードラの言葉と共に魔力の流れが急に変わるのをウェルサとゼクは感じ取った。
「ゼク、気を抜くんじゃないよ‼」
「わかっていますぜ」
ウェルサの掛け声とともに、ゼクはそう言って大剣をかまえ直す。
緊張で空気が張りつめるのを、それを見ていた兵士達は感じた。




