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19話 妬み

 次の日も兵舎の訓練所で簡易魔術を放つ。

 レーヌの治療のお陰で、簡易魔術なら時折り(ときおり)休みながら使えば、痛みは感じなくなっていた。

 そしてその横でアーフィが僕に付き従っている。


 そんな中、不意に僕目掛(めがけて)けて、火の玉が飛んできた。

 僕はとっさに防御魔術を発動する。


 魔力による光の壁が僕とアーフィを包んだ。

 魔術師は防御魔術を一番始めに習う。

 基礎中の基礎であるが、防御魔術は魔術師の(かなめ)、覚えなければ魔術の猛烈な戦いの中では一瞬で消し炭になってしまうのは、明白である。


「僕に魔術を放ったのはどこの誰だ⁉出てこい‼」

 僕は声に怒りをにじませながらそう言い放つ。


 そうすると、ウェストヘイルを守護するバーイヤー家の(わし)の家紋を胸につけたおそらく魔術兵士が3人、ニタニタとした顔をしながらこちらへ向かってきた。


「これは、レーヌ様の家臣の……」

 そういって3人の中で先頭に立っている魔術兵士が薄ら笑いを浮かべながらこちらに向き合う。


「さっきの魔術は一体なにごとだ?返答によって許しはしない‼」

 僕は、語気を強め彼らに一体なにごとか?と問う。

 当たり前だ、あってはならないことだ。


「いいえ、丁度いい新しい的がありましたので、試し撃ちしたまでです」

 先頭の彼がそう言うと、後ろの二人も耐えきれない様に笑い出す。


 僕の堪忍袋(かんにんぶくろ)も限界だった。


「いいだろう、君の名前を教えろ、決闘だ」

 僕がそう言うと3人は更に嫌な笑い声で一通り笑った後。

「いいでしょう、決闘!しようじゃありませんか‼俺の名前はラギュース以後お見知りおきを」


「いいだろう、ラギュース。決闘は明日の昼だ」

 僕はそう言い放つ。


「アーフィは決闘の準備とバーイヤー家紋の主に申請を」

 僕がそう言うと、アーフィはペコリと頭を下げ。

「ご主人様、承知いたしました」

 淡々とそう告げた。


「簡易魔術を使うだけで、魔力切れギリギリで息も絶え絶えな奴が決闘……」

 ラギュースがそう言うと、彼と取り巻きは耐えられなくなった様に笑い出す。


 そこへ、ウェルサが現れた。

「ラギュース、ヴェルフ様になんてことを‼」

 ラギュースをウェルサはにらみながら、彼女はラギュースの取り巻きの二人にも威圧的にチラリと視線を送る。

「ノードラとエルバーもその辺にしておきな」

 ウェルサの言葉にノードラとエルバーは視線をそらす、そこには焦りが感じられた。


 ラギュースは腰が引けていたが、どもりながら、ウェルサに向かって言い放つ。

「ウ……ウェルサ、お、おれ達魔術師は、バ、バーイヤー家では……いやルーン・スタック王国では、兵士よりも魔術師の方が、た……立場が上なんだぞ‼」


 ウェルサはうんざりした様にそれに答える。

「ラギュース、その話は何度も聞いた、仲間内で問題を作るのはやめたらどうなんだ?」


「お、覚えていろヴェルフ……コテンパンにしてやるからな‼」

 ラギュースがそう言うと、彼と彼の取り巻きのノードラとエルバーはそそくさと退散して行く。


 僕は彼らの後ろ姿をあきれながら眺めていた。

 まぁいい明日には決闘で決着がつくのだから……


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