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#14

 こうして、三つの『幸せの青いクジラ』のアカウントの正体は解明され、うち一つが目的の被害者たちの奪還に繋がった。一見すると非常に喜ばしいことだが、現実を見るのであれば、この三件の真相が暴かれてもなお『幸せの青いクジラ』に関係した行方不明者はゼロにはなっていない事実を受け入れるべきなのである。


 リオードの誘拐にまつわる一連の出来事については、その後しばらく細々とした調査が行われていたようだが、結論から言えば、これといった進展はなかった。ヒサロの行方は相変わらず分かっていない。というか、そもそもあの場にいたリオード以外の子どもはそんな少年のことなど認知していなかった。これにより、自分が異端側に回ってしまったことを自覚したリオードは、それ以上ヒサロについて追及することはしなかった。同じく行方がつかめていない人物としてあの従者も挙げられるが、こちらもまだ身柄を確保されていないという。ポリスが邸宅にやってきた当時外出していたことを踏まえれば、主人を裏切ってそのままどこかへ逃げ去ったと考えるのが自然だろう。あるいは雇われ用心棒の身から解放されて、実の親の元へいそいそと帰っているのかもしれない。いずれにせよ、この街のどこかでまだ生き延びているのかもしれないが、それはまた別の話である。


 こうした『BLOW-OUT』を介した事件の数々により、青いクジラはすっかり滅亡の象徴として若者たちの間に刻み込まれてしまった。噂では、開発者もそれらに対する罪悪感を抱えているらしく、現在はポリスによる説得が進んでいるのだとか。その話が正しければ、近いうちにアプリのメイン画面でサービス終了のお知らせの文字を見ることとなるだろう。


「いや~、リオードくんもジムはんと鬼ごっこしたらええんとちゃう?」

「正気ですか……!? いや、無理です、無理無理! ついて行けませんって……!!」

「んー、それはリオードにはちょっと厳しいんじゃないか……? けど、受け身の一つや二つくらい覚えておいた方がいいかもしれないってのは確かだろうなあ」

「よし、そういうことならのった。私が上手にぶん投げてやっから、ありがたく思えよ?」

「え、ここって探偵事務所じゃ……?」


 世界は、悪意に満ちている。どんなに便利なものでも、たった一人の悪人が漬け込めば、それはたちまち犯罪と化す。自衛が出来ないという理由だけで、たちまち被害者にされてしまう。そういうことを、このバーニーズ・タンドという街は誰にでもわかりやすく教えてくれる。皮肉な話ではあるが、この街で生き伸びられるのであれば、今後の人生どこへ行ったとしても困るようなことはきっとないだろう。


 そんな狂った街には、今日も笑い声が響いている。

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