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世界を救う勇者なんですが役立たずを追放したら破滅するから全力で回避します。  作者: 大鳳
第二部 超越者打倒編

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会談

 帝国軍陣地の本陣と思しき区域に案内されたヴィルは明らかに他とは違うピリピリとした空気を感じでいた。

 周りにはそれまであった兵士達の喧騒がまるで無く、何かに抑圧されている様な重苦しい空気が漂っていた。

「君がグランフェルム王国からの使者か。皇帝陛下がお待ちだ。着いてきてくれ」

 一際豪奢な天幕の前で待っていた金色紋章持ちの兵士がヴィル達を見るなり話し掛けてきた。

「申し訳ないが、天幕に入る前に武器はこちらに渡して貰おう」

  周囲が敵だらけの中、丸腰になるのは若干の不安が癌じられたが


ーガチャガチャー


「これでいいか?」

 ヴィルは割とあっさり背中の長剣と腰の短剣をホルスターごと兵士に差し出した。

「確かに預かった。それでは案内しよう。皇帝陛下がお待ちだ」

金紋章の兵士はヴィルの装備品を銅紋章の兵士に任せるとヴィルを皇帝の天幕の中へと案内してきた。

(なんとか戦争が回避出来れば良いんだが……)

 ここでのヴィルの働き如何でこの世界の行く末が決まってしまうかもしれないのだ。皇帝との会談に臨むヴィルは何時になく緊張していた。

天幕の入り口をくぐったヴィルの前には衝立が置かれていて外から中の様子が覗えない様になっていた。

 外部からの暗殺を警戒するならこれは当然だろう。衝立の奥に回ったヴィルの目の前に

「フン、お前が王国からの使者か。今更ノコノコと我が軍門に降りに来たか」

 天幕の奥に居たのは見るからに側室の女性達と思われる美女を周りに侍らせた、煌びやかな衣装を纏った三十代半ばの小太りの金持ちのボンボンみ溢れる男性だった。そして

「よう、久しぶりだなヴィル。こんな形で再会するなんて思わなかったぜ」

 皇帝と同じ様に女の子を侍らせているユーマ・キリサキが話し掛けてきた。

「お、お前……!」

 ヴィルは喉まで出かかった言葉を飲み込み言い淀んだ。それはユーマが侍らせている女の子達を見てしまったからだ。

「ミリジア……エルフィル……」

 ユーマにしなだれかかっているミリジアとエルフィル、彼女達はそれぞれ金色と赤色のビキニに薄手の布を羽織る様な踊り子を思わせる衣装を着せられていた。そしてもう一人青白い肌に赤い髪、頭に黒い角を二本生やしているエルフィル達と見た目がそう変わらない黒ビキニの女の子……

(コイツ、四魔将のルナフィオラじゃねーか。なんでコイツまで居るんだ?)

 あまりの情報量の氾濫にヴィルがしばしフリーズしていると

「王国からの使者の者、官制名を名乗るがよい。見た所傭兵の様だが?」

 皇帝が面倒そうにヴィルに尋ねてきた。

「自分はヴィルヴェルヴィント。剣聖の勇者として名前が通ってます。この度はグランフェルム王国の使者として貴軍に遣わされました」

 ヴィルは皇帝の前に膝を付くと王国からの書状を皇帝に差し出すが、皇帝は金紋章の兵士に目配せし、彼に書状を受け取らせた。そして

「読み上げてみせい」

 兵士に書状をを読み上げる命令を下すのだった。

「拝啓、ベルンシュバイツ帝国皇帝アンヌルフ陛下。此度は双方が軍を向かい合わせる不幸な事態に直面しております。つきましては……」

 グランフェルム国王からの書状はとにかく戦争を回避する為にへりくだる内容だった。書状を読み上げる兵士の声にもアンヌルフ皇帝はつまらなそうに聞いているだけでしかなかった。

「ええい、世辞はもうよい! フィオレット王女を引き渡す気があるのか無いのか! 書いてあるのか!」

 気が短いのかアンヌルフ皇帝は肝心な事を知りたいらしい。

そんな皇帝の問いに兵士は

「あ、はい。フィオレット王女様から陛下への言付けが添付されております。読み上げます」

 グランフェルム国王からの文言を飛ばしフィオレット王女からのメッセージの読み上げに移るのだった。

「敬愛するアンヌルフ皇帝陛下、婚姻の申し出とても嬉しく思います。ですが、私は既に勇者ヴィルヴェルヴィント様と契りを交わしてしまいました身。その様な私に陛下からの申し出をお受けする資格はございません。申し訳ございませんが婚姻は辞退させて頂きます……い、以上です」

 フィオレット王女からのメッセージを読み上げた兵士は気まずそうにしている。また、ヴィルはヴィルで

(断り方ぁっ!)

 フィオレット王女の思わぬメッセージに面食らっていた。そして何よりこうもハッキリとお断りされてしまった状況にアンヌルフ皇帝のメンツは丸潰れとなっていた。

 皇帝の天幕の中は非常に気まずい空気が流れ始めていた。そこに

「皇帝陛下ぁ。このまま尻尾を巻いて引き揚げるつもりッスかぁ? 弱小国の王女風情がイキりやがって……どっちにしろ僕はアリーナを連れ帰らなきゃならないんだ」

 ユーマが口を挟んできた。それに焚きつけられた皇帝は

「そ、そうだな。こうなったら予定通り力付くで奪い取ってくれる!」

 状況は一気に悪い方向へと転がり始めた。

(マズイ……なんとか思い留まらせないと……)

「皇帝陛下、先述の通り実は私はフィオレット王女と婚約させて頂きまして……」

 もう皇帝にフィオレット王女婚約の件は知られてしまったのだ。今のヴィルに出来るとしたら彼等の恨みの矛先を自分に向けさせる事だった。

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