表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したけど俺だけゲームが違う。  作者: ヤマモトユウスケ@#壊れた地球の歩き方 発売中!
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/76

第74話 疾走おじさん


 肉叩きによる一撃。

 ラティーシャちゃんは吹き飛んだが、しかし、


「ダメージはありません……!」


 地面に手をついてくるくる回りながら体勢を戻した。凄い。


〈嘘だね。相棒の異界摂理(ゲームシステム)とは種類が違う。宝物庫の扉をぶっ壊した攻撃だよ? ノーダメなわけない。衝撃は通ってるはずだ〉


 ファビが指摘しながら、次のカードを引いた。


〈お次はトングだってさ〉


 手の振り抜きと同時に、銀光で出来た巨大なトングが現れる。

 それはファビの腕の動きと同期してラティーシャちゃんを挟もうとする。


「わ、わたくしより素早いですわ!」


 コルンさんが叫ぶ。

 とはいえ、ラティーシャちゃんの反射速度だって、桁違いだ。『次元刀』でトングを迎え撃った。

 だが、何でも切り裂くはずの『次元刀』が――切り裂けない。

 システムが違うのだ。トングの片側とつばぜり合いをする結果となり、当然、反対側から押し挟まれてしまった。


「ぎゅッ」


 と苦しそうな声を漏らしつつ、ラティーシャちゃんは杖を振った。

 驚いたことに、ここで彼女が選択したのは、攻撃だった。

 『次元砕』がファビに向かって飛んで行くが、難なく回避されてしまう。


〈とはいえ、マントの防護が強くてほとんど無傷か。さすが相棒の一点物。気絶させるのは難しいか〉


 軽く言いつつ、ファビが腕を振り払った。連動してトングが動き、ラティーシャちゃんが振り回される。


〈剣士としては悔しいけど、こっちで攻めた方が良いな〉


 なんと、そこでファビが『次元刀』を手放した(・・・・)。落下した『次元刀』が地面に落ち、豆腐に針を落とすみたいに、何の抵抗もなく鍔まで埋まった。

 そして、右手で三枚目のカードを掴む。


「ファビさん、そのカードはダメですわ!」

〈へえ、オーブンだってさ〉

「ダメですの! それは対象が焼き上がるまで、決して壊れないオーブンに封印してしまう古代魔法ですのよ!? ダメ、ダメ、やめて……!」


 コルンさんの制止の声は、もはや金切り声に近かった。

 ロングハンドを丸焼きにした、あのオーブン。

 あんなの食らったら、例え俺が超強化したラティーシャちゃんでも……!

 銀光の四角い箱が組み上がる。その蓋が閉まる直前、トングがラティーシャちゃんをぶん投げた。オーブンの内部へと。


 ――蓋が閉まる、まさにその瞬間だった。

 ラティーシャちゃんが俺を見た。目が合う。

 諦めを知らない、力強い瞳が俺を貫いた。唇が動く。

 だから、俺は走った。


〈焼き上がるまで壊れない、か。それじゃ、焼けるにせよ焼けないにせよ、出てくるまでは、しばらくはかかるでしょ。その間に……〉


 オーブンの方へ、じゃない。

 ファビの方へ、だ。

 もう、人生で一番かってくらい全力で足を動かす。

 走り方が我ながら様になっていて、笑いそうになる。

 有り難いことに、効率的で素早い動かし方が、体に染みついているのだ。

 ダイビングで地面に突っ込んで、それ(・・)をひっつかみ、自分に当たらないよう気をつけながらゴロゴロ転がる。

 それから――俺なりに――急いで立ち上がり、構えた。


〈……驚いた〉


 ファビは、本当に驚いている様子だった。


〈ファビが思ってるよりもずっと、トレーニングの成果が出てるね。ファビの足下から『次元刀』をかっさらっていくなんて。でも……それがあれば、ファビに勝てるとでも?〉

「まあ……無理だよなァ……」


 構えながら、オーブンも視界に収める。

 組み上げられた銀光の箱は、内側から煌々と炎の輝きを漏らしている。

 ラティーシャちゃんが心配だ。だが、彼女は俺を信じていた。だから「『次元刀』を」なんて呟きを俺に残した。

 俺もまた、ラティーシャちゃんを信じる。彼女は無事だ。問題ない。

 それが『次元刀』で壊せない銀光のオーブンに閉じ込められ、業火で焼かれ続ける状況であっても、古代魔法なんて内側から解析し尽くして、満足げな顔で出てくるに決まっている。


「でも、諦めるつもりはないね。俺は甘ちゃんなんだ」



・ブクマ

・感想

・下の☆☆☆☆☆で評価

・レビュー

・Xで読了ツイート


等々をしていただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ