第71話 発見おじさん
家出した娘を迎えに行く。
……って、良いんだろうか。放っておいた方が、心情的には良かったりするんじゃないのか?
ほら、複雑なお年頃って奴かもしれないし……。
と、ラティーシャちゃんに相談したところ、
「アホなこと考えてないで、行きますよ。家出娘なんて、モンスターに殺されるか、野盗に攫われるか、野盗に身をやつすか、そのどれかなのです。ティリクの森に野盗はいませんし、ファビさんならモンスターに殺されることもないでしょうけれど……」
「そうなりますと、消去法でファビ殿は野盗になってしまうわけですな。ハッハッハ」
笑うテシ子の頭を、ラティーシャちゃんが『終局魔導演算杖フロンティア』でぶん殴った。『05式魔導作業鎧』が、頭が露出する構造で良かったよ。ちゃんと殴れるから。
「ともあれ、急ぐのです。……野盗にはならないでしょうけれど、ファビさんならもっと過激な行動を取ってもおかしくないのです」
「過激――いや、ファビは良い子だから、他人様に迷惑をかけるようなことは……」
ちょっと嫌な想像が頭をよぎった。
こう、ファビが本気で暴れ回れば、一国一城くらいは簡単にぶっ潰せるな……という、そういう想像である。『次元刀』を振り回し、城壁を豆腐みたいにスパスパ切り刻み、大群の兵士を無双ゲーみたいにポンポン吹き飛ばす……。
「……しないと、思うぞ?」
「しっかり疑問形なのです」
「いや、しないしない! そう、大勢に迷惑をかけるようなことはしないよォ。迷惑かけても一人か二人で……」
「誰かには迷惑をかけると思っているのですね」
『求むる者の振り子』を揺らしながら、三人で森を進む。
「しかしまあ、すでに迷惑はかけられているわけなのです。我々と、おそらくは攫われたのであろう、コルンさんにも。ですので、出来ればこの人数で終わらせて、仲直りして、城に戻るのです」
「……その通りすぎて何も言えないねェ。これ以上は誰にも迷惑をかけないように、急いで……そうだ! ラティーシャちゃん、先に飛んで、探して来てくれない?」
「最初に迎えに来たのがボクだったら、ファビさんがどう思うか、ちょっと考えてみて欲しいのです。……とはいえ、そうですね。ケンゾーさんだけなら、後ろに乗せて飛べますので、テシ子が問題なければ、二人で先行しましょう」
「問題あろうはずがございません。お二人の良きように扱ってくださいませ」
ということなので、パワードスーツを着たテシ子には追いかけて貰うことにして、俺とラティーシャちゃんは空へ。
ものすごい速度で、振り子の指す方向へと飛ぶ。超怖い。
だが、さすがの速度である。ものの数分で、
「見えました」
と、ラティーシャちゃんが言った。
俺にも見えた。円形に拓かれた広場。野営のための焚き火。
ほっとしたのも束の間、広場にいる人影が、何か太い物を担ぎあげ、ものすごい勢いでぶん投げたのだ。こちらに向かって。
ラティーシャちゃんが即応で回避する。俺達のすぐそばを、風を切って通り抜けたソレは――
「ま、丸太!? いや、投げ槍か!?」
――極太の、ティリクの森の巨樹から作ったと思しき木製の槍だった。
・ブクマ
・感想
・下の☆☆☆☆☆で評価
・レビュー
・Xで読了ツイート
等々をしていただけると励みになります!




