第68話 『求むる者の振り子』おじさん
まず作るのは、金属の棒をL字に曲げたものだ。それが二つ。
これで『ダウジングマシン』のスキルツリーを開放。実用性はともかく、探知機作成のスタートに立った。ツリーを確認し、その中で人捜しに使えそうなもの当たる。
あった。『求むる者の振り子』、糸の先に針の形の錘のついた魔道具だ。糸を垂らすと、錘が探しているものの方向を指すという。
必要な物は『精製魔石』、『蛙の目玉』に『蜥蜴の尻尾』など、比較的手に入りやすいものばかり。すぐに作れた。
糸を垂らすと、錘の針がひとりでに引っ張られて、城の外を指す。
この方向に、ファビがいる。そのはずだ。
「じゃあ行ってくる。みんなは城を頼む」
四騎士にそう告げると、テシ子が「ダメです」と即座に返してきた。
「我らがお供します。……城に二名残して、二名は『05式魔導作業鎧』を着用し、護衛に付きます。また、探索は夜が明けてからに。危険です」
「危険なら、なおさら二人を探しに行かなきゃダメだろうが」
「御身まで危険にさらされるようなことがあれば、それこそ我らはファビ殿やラティーシャ殿に申し訳が立ちません……!」
テシ子が必死に引き留める。だけどなァ……!
そこで、女戦士さんが俺の肩に手を置いて、強く抑えた。
「焦っちゃダメだ、大旦那。あの二人ならこの森でも大丈夫だし、あの二人を攫えるような奴なら、なおさら大丈夫だ。明るくなってからの捜索に備えて、今は体を休めておくんだ」
「そんな悠長な時間はねェだろ」
「わかってる。だから、時間を有効に使おう。――ノエル、作業鎧着て走ったら、明け方までにザルツオムに着くか?」
女狩人さんが頷いた。
「鎧を使っていいなら余裕。街道を直進するだけだから危険も少ない」
「じゃあ、アタシを抱えて走れ。アタシが向こうでラティーシャと交代して、ラティーシャにこっちに来て貰おう。大旦那、ラティーシャがいれば、捜索だって効率的になる。あいつを待って合流するための時間なら、無駄にはならん。だろ?」
……一理ある。俺は十秒くらい唸った後、「わかった」と呟いた。
女戦士さんが大きく息を吐く。
「よし。パム、大旦那に癒やしと回復の呪文を。三時間は寝て貰って、夜明け前には起こして差し上げろ。テシウスも寝ろ。明日はアンタが大旦那を守るんだ」
「分かった。必ず守る」
そういうことになった。
眠れる気はまったくしなかったが、ベッドに横になって女僧侶さんの癒やしと回復の呪文を受けると、耐えがたい眠気が降ってきて、押しつぶされるみたいにして俺は意識を失った。
女僧侶さんに体を揺すられて起きる。窓の外は薄暗く、しかし、朝日が差しつつあった。お湯とタオルを用意してあったので、有り難く使わせて貰う。
「……ありがとう。ちょっと、落ち着いた。ラティーシャちゃんは?」
「まだです。足の速いカノンですが、作業鎧を着ても、向こうに着くまで二時間はかかるでしょうから……」
往復で四時間。あと一時間は着かない。
少し迷ってから、俺はクラフトポイントを消費して『求むる者の振り子』をもう一つ生み出す。
「ラティーシャちゃんが着いたら、これを渡してくれ。俺かファビに追いつけるだろう。俺はテシ子と森に出る」
「了解いたしました。どうか、お気を付けて」
城を出ると、テシ子がすでに準備を終えて待機していた。俺は次元シリーズを身につけて、テシ子の操る作業鎧の肩に乗った。
糸を垂らして、針の動きを見る。
「……あっちだ、向かってくれ」
「御意に」
作業鎧が、なめらかに動き出した。
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