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親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第一章:ベルガモットの香りと、大切にされる許可

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1-6. 何度送り出せばいい?

(*思輝(しき)視点)


 隣のクラスの女の子。


 この前から、よく休み時間にうちのクラスに来てるなって思ってた。でも、直接話してきたのは今日が初めてだった。学校ではここまでグイグイくる子、あまりいないのにな…


 綺夏(きな)がこの本屋でバイトを始めたと、ちなつから聞いていた。テスト期間になったし、会えたらラッキーという軽い気持ちで併設のカフェに来た。本屋の近く側の席を見つけ、チラッと見まわしてから腰を下ろした。


 今日はバイトの日じゃないのか…ま、その方が試験勉強がはかどるか。そう自分を納得させて教科書を開く。周囲ががやがやしていても、おかまいなし。すぐに集中できるのが俺のいいところだ。周りの音が気にならなくなって、夢中で手を動かしていた。


「あの…日向君、だよね?」


 突然、上から可愛らしい声が降ってきた。見上げると同じ高校の女の子が立っていた。


「うん…えっと、あなたは…」


「わたし、4組の小林。あの、突然すぎて迷惑かもしれないんだけど…一緒に勉強してもいい?」


「え、いいけど…ここ座る?」


 目の前の席を指さすと、頬を赤らめて嬉しそうに頷いた。


「ありがとう」


 その子はさっとケータイでメッセージを送ると、教科書を開いて勉強を始めた。すごい積極的な子だ…この行動力、なかなかだな…感心していたら、ふと視界の隅で誰かをとらえた。はっと視線を移すと、その先に綺夏がいた。


 あ、今日、バイトの日だったんだ!俺のこと、気づいたかな…でも、ちょっと待てよ。今の状況って、彼女といるって思われる?


客観的に俺の状況を整理すると


・綺夏は俺に気づいたかもしれない

・彼女といると誤解されるかもしれない

・でも、彼女じゃないって自分から言うのも変

・事実は彼女じゃないから気にしなくてもいいか


 今日の目的は綺夏を一目見ること。だから、目標は達成してるからこれでいいか。今は試験勉強のことだけ考えよう。


 自分の中で結論が出て、そのあとはすぐにまた集中することができた。目の前の女の子が俺のことを意識しているのがビンビンに伝わってきたが、気づかないフリをした。思わせぶりな態度はとりたくない。好きな人からモテたい。なんとなく感じるエネルギーをはねのけて、俺は手元に集中した。


時計を見ると18時を回っていた。

家に帰ってご飯を食べて、夜の勉強の時間も確保したい。


「そろそろ18時か。俺、帰ろうかな」


 向かいに座って勉強している小森さんに話しかけると、「わたしも、そうしようかな」と、ニコっと笑顔が返ってきた。



 綺夏が何時に終わるのかもわからないし、待っててもいつの間にか帰っちゃうかもしれないし。期待するのはやめて、自分のペースを大事にするか…荷物をまとめてお会計を済ませると、ちょうど入口に綺夏ともう一人の男性が入ってきた。


「あ!思輝くん、やほー!まだいたんだね。さっき、本屋から見えて。わたし、ここでバイト始めたの」


「お久しぶりです。はい、ちなつから本屋でバイト始めたって聞いてました。ここの本屋だったんですね。ここ、雰囲気いいですよね」


「そうだよね、思輝くんもそう思う?そういえば、今、テスト期間だよね?部活ないの、珍しいと思って。頑張ってね。」


「ありがとうございます。それでは」


 手を振って別れると、小森さんがすぐさま質問してきた。


「今の人、知り合い?」


「うん、俺の姉の親友なんだ」


「そっか、お姉さんの親友なんだね」


 あからさまに安堵の表情を浮かべている。俺は、小森さんと話しながらも、綺夏の会話にも耳を傾けていた。


「今の高校生、知り合い?」


「うん、わたしの親友の弟でね。」


「そうなんだ、親しげだったのはそれが理由か」


 俺は一瞬吹き出しそうになった。俺たちの会話と、綺夏の会話が同じすぎて笑えたから。俺が綺夏と話している時、横の男性から敵意は感じなかった。でも、綺夏に好意を抱いているのはなんとなく感じ取った。そして、綺夏はその好意に気づいているのかはわからないが、まんざらでもなさそうだった。


 そうなんだ…


 綺夏は、本当にモテる。次々彼氏が入れ替わるのは、別れても一瞬で次の候補が現れ、関係が進むからだ。綺夏の吸引力、強すぎだろ…


 俺、何度この光景を見続けるんだろう…目の前で大切な人が他の男子と結ばれ、傷つく瞬間を…そのたびに今すぐ俺が救いたいって何度思ってきただろう…


 でも、いつも自分に問い続ける。


俺はヒーローになりたいのか?

綺夏を悲劇のヒロインにして救いたいのか?

弱った時の心のよりどころになりたいのか?


 違うよなって。そうなりたいから綺夏を好きなんじゃないよな。正直、俺のポジションが一番キツイ気がする。でも、これが俺の本気なんだ。


 綺夏、本人が気づくまで俺は待つ。『自分は大切にされるべき存在だ』って気づけるって俺は信じてるから。


 秋の涼しい風が俺の首筋を冷やす。身が引き締まった。さ、俺は俺の信じた道を行く。そして、最高の未来を手に入れるんだ。


【潜在意識の視点から紐解く『第1-6話の答え合わせ』】


①「悲劇のヒロイン」という潜在意識の脚本

何度も同じ傷つき方を繰り返す綺夏。「わたしは救われる存在ヒロイン」という脚本を握りしめていると、助けを必要とする現実を引き寄せ続けると考えます。


②「相手の可能性」を100%信じる愛

同情で救うヒーローにならず「綺夏は自分で『大切にされる価値』に気づける」と信じ抜く思輝くん。相手を可哀想な存在として見ず、本来の素晴らしさを信じる姿勢は、潜在意識の観点でも最も深い愛の形です。


③「自分の望む未来」へ思考をセットする

ブレずに「最高の未来を手に入れる」と決めている思輝くん。自分の本音と覚悟にフォーカスする思考が、やがて現実を大きく動かしていきます!

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