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親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第四章:

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4-2. いえ、わたしたち

(✳︎綺夏視点)


今日は思輝くんとお出かけの日。もう桜の季節で、わたしは大学2年生、思輝くんは高校2年生になった。


そんなわたしたちが出かけることになったのは、思輝くんからのある提案だった。


「日本人が花見をしてた理由、知ってますか?」


「うんうん、知らない」


「花見って、その年の穀物の収穫がたくさんとれることを前祝いする習慣だったんですよ」


「前祝いって、あんまり聴いたことないかも…」


「例えば、花見で言うと、すでにたくさん収穫できたということを想像してみんなでお祝いするんです。そうすると、願いが叶いやすいんですって」


「そうなんだ〜!花見ってそんな素敵な日本文化だったんだね。」


「そうなんです。だから、俺たちも前祝いしましょう!」


「え?私たちも?!」


「楽しそうでしょ?」


「うん、新しい試みだね。やってみたい!」


「じゃあ、決まりですね!前祝いには美味しい料理が必要なので、なにか作って持っていきますか?」


「確かに、宴会のイメージがある。なにがいいかな?ピクニックみたいな感じでいいのかな?」


「いいですね。そうしましょう!剣さん、何を作りたいですか?」


「うーん…あんまり料理が得意じゃないから、簡単にできるもの、何かあるかな?」


「じゃあ、サンドイッチとかどうです?俺はお菓子でも焼いていこうかな?」


「サンドイッチなら作れそう!それで決まりだね!思輝くんのお菓子も楽しみだなぁ〜」


トントン拍子で決まっていき、思輝くんの流れにそのまま乗せられてしまった。


前祝いか… わたしは何を叶えたいかな…? なんだか、ワクワクするな…!


あ!そうだ!


わたし、将来大型犬を飼いたいから、ドックカフェ行きたいかも。これも前祝いに入るよね?どこか近場でいいところがないか、探してみようっと。


……


サンドイッチはいつもお母さんが作ってくれるものと同じものにした。食パンにマヨネーズを塗って、レタス、薄焼き卵、ハムを挟んだもの。これ、シンプルだけど美味しいんだよね。お弁当箱に詰めて、私は駅へ向かった。


花見で行こうと思っていた場所の近くに、ちょうどドックカフェがあったから、その最寄駅で待ち合わせ。


思輝くんは時間前に着くタイプな気がする…


あ!やっぱり。


私服姿の思輝くんはジーンズに白いTシャツで… いつも制服か、黒のジャージ姿が多いから、春仕様の爽やかな服装にドキっとした。


本当に高校生なの…?


あまりにも完成した佇まいに、道ゆく人の視線を奪っていた。すると、カメラを持った男性が思輝くんに声をかけているのが見えた。


「今、人を待ってて…」


「思輝くん、おはよう。お待たせしました」


髪型、大丈夫かな?と少し心配しながら髪を押さえた。


「剣さん、おはようございます」


ふっと目が合った。私をみた瞬間、一瞬驚いた顔をした気がした。


「あ、待ってるのって彼女さんだったんですね。もし良かったらカップルショットを撮らせていただけませんか?」


カ、カップル?!そんなふうに見えてるの?


「え、あの、わたしたち…」 「俺たちカップルじゃないので」


声が重なった。あまりにも素早く否定した思輝くんの言葉が、耳に残る。事実なのに、なんでこんな気持ちになるんだろう…


「あー、そうだったんですね。美男美女なのでてっきりカップルかと思ってしまいました。」


「すみません、今から行くところがあるので、また機会のある時にお願いします」


行こうか…とそっと呟き、思輝くんがわたしの肩に触れた。優しくこっちだよとリードする手の温かさにドキドキが止まらない…


思輝くん…これ、無自覚でやってるの… 恐るべし高校生だ…


あまりにも近い距離に、わたしは思輝くんの方を向くことができなかった。手首から香るベルガモットの香りが春の風に乗って届き、私の胸はざわついた。


「剣さん、荷物持つので貸してください。」


「そんなに重くないから大丈夫だよ?」


「いいえ、俺に持たせてください。」


その後すぐに手が離れた。でも、まだその熱は私の肩に残って離れなかった。


まるで海外紳士のように荷物を女性に持たせない。こんな男性を育てた日向家のご両親に尊敬の念が生まれた。


「うん、わかった。ありがとう。思輝くんのお菓子も楽しみだなぁ〜」


「俺もサンドイッチ楽しみです。さぁ、どっちへ行くんですか?」


そうだった…!すでにスタートしていたケータイのナビを見て方向が合っていてほっとする。


「こっちの道をまっすぐだよ。」


……


お目当てのお店が見えて来た。


「このこ階段を登るみたい」


「ここ、カフェとかですか?」


建物の外に漏れる嬉しそうな声に私の胸が高鳴った。


ガチャ


扉を開けると大型犬たちがキラキラした目で飛び跳ねながら私たちを出迎えた。犬特有の匂いがしたけれど、全然気にならない。


かわいいーーー! やっぱり、大型犬、好き!


わたしたちの食料はもちろんロッカーに閉まって、ケータイだけを手に持った。


「さ、行くよ?」


「うん」


思輝くんが柵を開けると、大型犬たちがカチャカチャと足音を立てながらものすごい勢いで走っ来て。あまりの迫力にわたしは小さく叫んだ。


「きゃー!」


「綺夏っ」


犬たちの弾けるジャンプについよろけてしまったところを、思輝くんにガッと掴まれた。


そのまま壁にドンと当たり、あろうことか思輝くんの胸板が目の前にあった。


あまりの近さに声も出ない。


し、思輝くん… ち、近すぎて…わたし、沸騰しちゃうよ!!!


しかも、思輝くんはかなりの時間、その態勢のままだった。


あれ、そういえば… さっき、『綺夏』って呼んでたよね??!


時間差でやってくる事実に、より一層パニックになる。


いつもは『剣さん』なのに、なんで綺夏って呼んだんだろう…


たまに出るタメ口にトキメクのに、次は名前の呼び捨てって…メロすぎる…


はぁ、早く離れないと、わたしの心臓の音が聞こえちゃうよ…


騒がしい犬たちの声は遠ざかり、私の胸の高鳴りが全身に響いていた。 犬たちが次第に落ち着き、思輝くんの腕の中から解放された。


熱い…顔が熱い…


離れた瞬間、涼しいと感じた。 思輝くんって、体温が高い人なのかな?


絶対にわたし、顔が赤くなってる… 恥ずかしくて手で口元を覆った。


「剣さん、大丈夫ですか?」


「あ、う、うん。大丈夫…わんちゃんたち…可愛いね」


お願い、顔が赤いの気づかないで…


犬に夢中になっているふりをして、思輝くんに背中を向けた。 もう、大型犬のことなんて一瞬でどこかへ行っちゃったよ…!


高校生ってもう完全に大人なんだ…


目の前の可愛い犬たちに集中したいのに、私の中に残る熱がそうさせてくれなかった。


【潜在意識の視点から紐解く『第4-2話の答え合わせ』】


①「予祝(前祝い)」のワクワクが受け取り上手な自分を作る

「願いが叶った未来」を先取りして楽しむ前祝いのエネルギーは、心のブレーキ(抵抗)を素直に外してくれます。「大型犬と触れ合いたい」という無邪気で純粋な「好き」を満たしたことで、心が開かれ、相手からの愛やときめきをまっすぐに受け取れる状態が整いました。


②モヤっとする違和感は「自分の本音」に気づくサイン

「カップルじゃない」と否定されて感じた胸のザワつきは、潜在意識からの問いかけです。切なさや違和感という感情のシグナルは、表の意識を超えて「本当に望んでいる関係性」へと自分自身を案内してくれる大切なサインになっています!


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