4-1. 付き合ってないです
今日から第4章です!
(✳︎思輝視点)
今日は綺夏と出かける日。まさか、一緒に花見にいけるなんて…
俺はクッキーとマフィンを作り、綺夏はサンドイッチを持って来てくれる。完全に花見デートだよな…ニヤニヤしそうになる顔を必死で引き締める。
花見の前に、綺夏が行きたいところがあるから一緒に行きたいと嬉しそうに話していた。どこに行くかは秘密らしい。
駅で待ち合わせることにした。多分、綺夏は10分前には着いてるはず。駅に着き、壁に寄りかかると、カメラを持った男性から声をかけられた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
この人、誰だろう…?と思いつつ、挨拶を返す。
「今、ストリートスナップ撮ってるんですが、お兄さんすごくかっこいいので、もし良かったら写真撮らせてもらってもいいですか?」
これがよくSNSで見る、ストリートスナップか!実際に居合わせたことに驚きだった。
「今、人を待ってて…」
「思輝くん、おはよう。お待たせしました」
横から髪の毛を押さえながら綺夏がやってきて、ぺこっとした。
「剣さん、おはようございます」
「あ、待ってるのって彼女さんだったんですね。もし良かったらカップルショットを撮らせていただけませんか?」
「え、あの、わたしたち」
「俺たちカップルじゃないので」
声が重なった。
「あー、そうだったんですね。美男美女なのでてっきりカップルかと思ってしまいました。」
「すみません、今から行くところがあるので、またの機会にお願いします」
そっと綺夏の肩を持ち、これから行く方向に促した。
「剣さん、荷物持つので貸してください。」
「そんなに重くないから大丈夫だよ?」
「いいえ、俺に持たせてください。」
綺夏の手からカバンを受け取った。あの場から離れるためとはいえ、このスキンシップで警戒されたくない。そう思ってすぐに綺夏の肩から手を離した。
「うん、わかった。ありがとう。思輝くんのお菓子も楽しみだなぁ〜」
「俺もサンドイッチ楽しみです。さぁ、どっちへ行くんですか?」
自分から方向転換したのに、実際はどこに行くのか知らない。
「こっちの道をまっすぐだよ。」
よかった、方向あってた。
……
「ここの階段を登るみたい」
「ここ、カフェとかですか?」
扉の向こうから騒がしい音が聞こえてくる。これってもしかして…?
ガチャ
扉を開けると大型犬たちがジャンプして柵の向こう側で待っていた。獣臭の漂う空間に二人で足を踏み入れる。
綺夏の来たかったところって、大型犬カフェだったのか!意外な一面を知れた気がして嬉しくなる。
荷物をロッカーに入れ、ケータイだけを持って準備完了。
「さ、行くよ?」
「うん」
俺が先頭に立ち柵を開けると、大型犬たちが爪音を響かせながら勢いよく飛びついてくる。
「きゃー!」
「綺夏っ」
犬たちの歓喜に圧倒され、綺夏がよろける。俺はとっさに綺夏の腕をつかんで壁に追いやった。冷たい面に両手をつき、その間に綺夏が入っている。俺は大型犬から守るのに必死だった。だって、大型犬は飛びつかれるとアザになったりするから。
犬たちが落ち着くのをしのぐにはこれしかない!と身を挺していると、背中に渾身のタックルをくらい、ピリッとした痛みが走る。
綺夏が被害に遭わなくてよかった…
狭くて安全な隙間にいる綺夏は大型犬に押し倒されることもない。床に転んでしまおうものなら、一瞬でペロペロのしかかり攻撃に遭って起き上がることができなくなるだろう…
犬たちが落ち着き、俺も綺夏から身体を離して、犬たちに向き合った。どの犬も人懐っこくて可愛い。綺夏そっちのけで、1匹1匹に挨拶をしたくなったが、綺夏、なんか変だな…
なにかあったのかな?
綺夏はなぜか片手で顔を隠しながら犬と戯れている。
「剣さん、大丈夫ですか?」
「あ、う、うん。大丈夫…わんちゃんたち…可愛いね」
本当に可愛い。綺夏と大型犬のコラボが尊すぎた…!
犬をわしゃわしゃ触りたいけど、綺夏の様子も気になるし…俺はとにかく目の前のことに一生懸命だった。
【潜在意識の視点から紐解く『第4-1話の答え合わせ』】
①「こうありたい」という設定が現実を創る
二人の世界に浸り「花見デートだ」と純粋に浮き立つ無意識の思考が、通りすがりの第三者から「カップル」として扱われる現実を引き寄せました。潜在意識は現実の条件ではなく、本人が心の中で選んでいる前提をそのまま外側に映し出します。
②「守りたい・大切にしたい」波動が起こす無意識の行動
相手の安全や心地よさを一番に思う純度の高い愛のエネルギーが、反射的な庇う行動や細やかな気遣いとなって現れています。自分の打算を超えて相手を尊重し尽くす深い与える意識が、お互いの絆と信頼を自然と揺るぎないものへ育んでいます!




