↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第三章:冬の終わり、ふたつの影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/30

3-7. たとえ影があったとしても

みなさん!

お久しぶりです。

一か月以上、投稿が止まってしまいました。サイトのシステム変更によりサイトにアクセスできなくなっていましたが、無事に復活することができました。

引き続き、二人の物語を見守っていただけましたら嬉しいです!

(*思輝視点)


 今日の夜、大学の友達を呼んで鍋パをするとちなつから聞いていた。綺夏も来ると聞いていて、俺のテンションは自然と上がっていた。その日の授業の集中力も、部活の気合も十分だった。

 高校生と大学生が会える機会は少ない。いや、俺がそう思ってるだけで、もっと会うことができるかもしれない…そんなことを考えながら帰路に就いた。


「ただいまー」


 玄関を開けた瞬間、楽しそうな声がリビングからあふれていた。そしてバタバタと足音も聞こえてくる。


「ちなつ弟返ってきたー!」


「目の保養ー!」


「今日のお泊りの必須のイケメン枠ー!」


 こんな風に玄関で歓迎してもらったことなんてない。あまりの盛大なお出迎えについ笑みが漏れた。


「部活、おつかれさま」


「はぁ~思輝くん、ほんとイケメン」


 面と向かって誉め言葉のシャワーを浴びながら靴を脱いで揃えていると、


「いやいや、イケメン枠はもう埋まってるだろ!」


「あいつらの目は節穴か!」


 そんな男子たちのさわがしい声も向こうからガッツリ聞こえてくる。いつもこんな風にちなつの友達の定番のネタにされているけれど、悪い気はしなかった。綺夏とちなつの笑い声が耳に届き、それだけで俺はネタになっただけの価値があると思った。


「コントじゃん、完全に!」


 ちなつの大声を背中に聞きながら、


「荷物、置いてきますね」


そう言って、俺はカバンを持って、一度自分の部屋へ向かった。


 リビングの扉を開けると、綺夏とバチっと目が合った。綺夏に会えただけで、幸福感が一気に押し寄せ、一瞬世界が止まったかのように感じた。


「思輝くんお帰り~」


 綺夏の声に、やっと頭が動き出した。


「ただいまです。あれ?」


 でも、綺夏の目が潤んでいる気がした。もっと近くで見たい。何も考えずに、俺は顔を寄せた。


「剣さん、ちょっと泣いたんですか?」


「いや、さっき笑いすぎて涙が出ちゃって」


 のぞき込むときに目が合ったが、綺夏はすぐに目をそらしてしまった。あ…近づきすぎたかも。自分の行動に少し反省した。


「それにしても、ちなつ弟、君は本当に高校1年生なのかい?どうして身長はこんなに可愛くないんだ?」


「知りませんよ、勝手に伸びてるんで」


「くぅ~生意気だな。さ、お腹空いてるだろ、一緒に食べようぜ。」


 肩にぐっと重みがかかる。まるで俺を押さえつけるかのように。これを見て、なぜこんなに女子たちはウケてるんだろう…


「俺は、笑いを提供している。いい仕事をしているだろう」


 まあ、可愛がってもらってるから、有難い話だよな。俺はされるがままに男の間に座らされた。


「ちょっと!ちなつ弟をとらないでよ!」


「待て待て、お腹を空かせた高校生にはまずは飯が必要だ。女じゃない。」


「もーう!じゃあ、あとでたくさん話そうね」


 ぐつぐつと煮えたお鍋の前に座り、おいしそうな湯気の香りに一気にお腹が音をあげる。俺は遠慮せずたくさんとりわけ、夜ご飯を口にかきこんでいった。


……



「みなさん、まだお腹の余裕ありますか?皆さんが来ると聞いてたんで、チーズケーキ作りました。」


「きゃー!」


 女子が黄色い悲鳴を上げる。


「イケメンでお菓子もつくれるって、なにそのギャップ!」


「思輝くんの手作り…幸せすぎ」


 女性陣が盛り上がる。


「ちなつ弟~そういうとこだよな!ほんと、気が利くいい男だな」


「俺たちも見習わないと!まずは見た目から」


「いやいや、見た目はもう無理でしょ」


 ちなつが鋭いツッコみをいれているのを横目に、俺はチーズケーキをとりにキッチンへ行った。


 いつも思うけど、ちなつの女友達ってなんでみんなあんなに陽キャなんだ。元気すぎる…


 すると、トントンと背中をたたかれた。振り向くと綺夏がいた。


「ケーキのとりわけ、手伝うよ」


「ありがとうございます。でも、あとから他の方々が来て、キッチンがてんやわんやになりそうですね」


 俺が苦笑いすると


「ほんとだね、思輝くん、年上女子から人気だから」


綺夏の雰囲気は柔らかく、失恋からも立ち直ってきたのかな?と安心した。


「ちょっと、あんたたちは思輝のこと狙いすぎ!キッチン狭いからこっちにいて!」


「えー、ちなつのケチ~」


 ちなつが後ろで足止めをしてくれているのが聞こえて、姉に感謝だった!


 ケーキを冷蔵庫から取り出すと


「わあーすっごくおいしそう!しかも、2つも焼いたの?大変じゃなかった?」


おいしそうという誉め言葉、大変じゃなかった?という俺への気遣い。綺夏のそういうところが好きだな…


 こんなに喜んでくれるなら、今度ケーキをプレゼントするのもありか?そういえば、マカロンを出した時も、幸せそうに食べてたよな…


「チーズケーキって意外と簡単にできますよ?一つ作るのも、二つ作るのも、手間は変わらないので」


「思輝くんのそういうところがモテちゃうんだろうね。気遣いと喜ばせる天才だもん」


「そんなことないですよ。でも、自分の好きなことでこんなに喜んでもらえたら嬉しいですね」


 いつも嬉しい言葉をくれるのは綺夏だよって思いを込めて、横に立つ愛しい存在の瞳をぐっと見つめた。俺の方を見上げている綺夏の瞳に俺が映っている。いつだってこんな風に、視線を独占できたらいいのに…って無謀な想いが込み上げた。

 キッチンで隣に綺夏が立っている。ただそれだけで、俺の心は浮かれていたというのに。綺夏の頬が少し赤くなっている気がした。


 紅茶とチーズケーキを食べて、みんなでくつろいでいた。そろそろお風呂に入るか…と腰を上げようとした瞬間、その時はやってきた。


「そういえばさ、きなこは由良先輩となどんな感じなん?」


 うっしー先輩がケータイをちらっと見た後、なにげなく聞いた。


「それ、わたしも気になってたー!由良先輩、かっこいいのにシャイだから推せるよね」


 ん…?由良先輩…?いい感じの人がいるってことか?

 俺はお風呂に入るのをやめて、話を聞こうと思った。


「ちなつとバレーの試合を観にいって、何度かメッセージのやりとりしてるだけだよ」


綺夏はサラっと言ってのける。


「え~ほんとにそれだけ?バレーしてるところ見て、惚れたりしなかったの?」


「思輝、熊本県の春高常連校の由良一(ゆら はじめ)って知ってる?その人、うちの大学の2年でいてさ」


 ちなつが由来先輩のことを説明してくれる。


「…うん、知ってる!有名だよね。…生で試合見てきたんだ、迫力すごそう」


 平然を装って返事をしたけれど、俺はなんとか言葉をつなぐのに必死だった。


落ち着け…

いつものことだ。

綺夏がモテるのは…


「でもさ、あの本屋の常連さんはどうなったの?社会人の爽やかな好青年がいるって言ってなかった?その人とは?」


「あ、一ノ瀬さんのこと?その人とは、お店に来た時に少し話すくらいだよ」


「まてまて~、もうすでに二人から言い寄られてるんかい!そいつら、見る目あるな!」


 他の男子がツッコミを入れる。俺は、一気に流れ込む情報を処理することに精一杯だった。つまり、綺夏は今、年上二人からアプローチを受けているってことか?


「でも、全然そんなんじゃないよ。少し話すくらいだし」


「いや~わかんないよ!でも、いいなと思ってなかったらさ、まず話しかけたりしないって」


 その女子の言葉に、俺も共感した。そして、話せば話すほど綺夏のことが好きになっていくんだ、みんな…俺は肯定して、心の中で何度もうなずいた。


「でも、今回の二人、よさげな感じだよね?これまでとは違うっていうか、綺夏のこと大切にしてくれそう」


「たしかにな~」


 何人かが同意していたから、きっといい人なんだろうな。俺は綺夏の恋をコントロールすることはできない。また、他の人のところへ行くのを見送るしかないのか…


 夜ご飯を楽しく食べて、お腹も心も満たされたと思っていたのに、急に味気ない物にかわったのは、きっと俺はショックを受けてるからだ。


「でも、今はね、一人の時間を楽しみたいって思ってるんだよね。当分は恋愛はいいかな。ねえ、それよりさ…」


 次の話題に切り替わり、和やかな談笑の時間が続いていく。俺は明日、部活があるし、情報過多だし、一旦お風呂でも入るか…


 テーブルの上の空いたお皿とコップを手に持てるだけ持って、キッチンへ行く。すると、綺夏も自分のお皿を持ってついて来ていた。


「思輝くん、おいしいケーキだった。ありがとう。部活も勉強もあるのに、そんな中わたしたちのために作ってくれてありがとう。」


「喜んでもらえてよかったです。」


「あれ、もしかして、なんか元気ない?うるさくて疲れちゃったよね、ごめんね」


「いえ、楽しかったです。じゃあ、俺、お風呂に入ってそのまま寝ますね。おやすみなさい。」


「あのっ」


 行かないで…と言われてる気がして振り返ると綺夏が少し早口で言った。


「この前、わたしが失恋したての時さ、いつでも話聞くよって言ってくれたじゃん。今度、いろいろ話したいなって思って。」


 その言葉に、俺は一瞬呼吸を止めた。驚きつつも、綺夏が何を伝えたいのか、全力で理解したいと思った。


「はい、ぜひお話ししましょう」


俺は嬉しくなって微笑んだ。


「バレーの観戦してるときも思ったんだけど、思輝くんがバレーから水泳部になった理由とか、そもそも思輝くんのこと全然知らないなって…だから…わたしの話しも聞いてほしいし、思輝くんのことももっと知りたい」


その言葉が耳に届き、俺はそのまま固まってしまいそうになった。


「…そうでしたね。はい、剣さんの話し、聞かせてください。俺のことも知ってもらえたら嬉しいかもです。」


 綺夏の言葉に舞い上がって、最後は自分の言葉がおかしくなっていた。でも、それでもいいやって思った。

 二人の年上の男性からアプローチを受けている中、俺と話したいって言ってくれたことが本当に幸せだった。


「じゃあ、また予定決めよ。メッセージするね。お風呂、ゆっくり入って休んでね。」


「ありがとうございます。おやすみなさい」


「おやすみ」


 階段を一段ずつ上りながら、ニヤけて緩む顔の唇をかみしめる。

 多分、綺夏にとっては、特別なにか考えて言ったわけではないと思う。あの人は、天然の人たらしだから…

 でも、俺と話したい、一緒の時間を過ごしたいって少しでも思ってもらえて、その言葉を本人から聞くことができたのが何よりも嬉しかった。


 そういえば…今日、あのリビングでみんなで雑魚寝をするってことは、綺夏の寝顔を男子に公開するってことだよな…


 はぁー、羨ましい…


 でも、俺が綺夏の寝てる姿を見たら、変になっちゃいそうで、それはそれで怖い…自分のことを客観視して苦笑いになる。


 綺夏との関係性をもっと早く進展させたい気持ちもわくけれど、焦る必要はないんだと何度も自分に言い聞かせる。


 綺夏が自分で自分を幸せにするって決めたら、俺を選ぶはずだから。


 想いが募る夜、今日は早く寝られるかな…


 きっと、客観的に見たら今の状況は俺にとって好ましいものではない。二人の人が綺夏の魅力に気づいてアプローチしているのだから。でも、自分でもなぜかはわからないけれど、俺の未来は明るい気がする…そんな期待を胸に感じつつ、この舞い上がった心を落ち着けようと、俺は湯船に体を沈めた。




【潜在意識の視点から紐解く『第3-7話の答え合わせ』】


①「愛を出せば返ってくる」というエネルギーの法則

綺夏を喜ばせたい一心でケーキを焼き、純粋な好意(エネルギー)を出した思輝。潜在意識の法則通り、その出した思いは「あなたをもっと知りたい」という綺夏からの素直な言葉となってそのまま還ってきました。


②揺らがない「自分軸」が理想の現実を引き寄せる

ライバル達の出現に一瞬動揺しても、「彼女が自分を大切にできれば俺を選ぶ」と心の奥で信じ切っている姿。この確たる前提(思考)こそが、周囲の状況に惑わされず望む未来(二人の関係性)を手繰り寄せる強力な力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。